日産スカイライン長期評価レポート Vol.10 「自動運転時代の幕開けを感じさせるプロパイロット2.0搭載!」
スカイラインは「技術の日産」の象徴
スカイラインは「技術の日産」を象徴するクルマだ。初代モデルの発売は1957年に遡り、60年以上の伝統がある。歴代スカイラインは、24バルブDOHCエンジン、ターボ、4輪独立式サスペンションなど、時代を象徴する数々の先進機能を採用しながら進化を重ねてきた。
現行型は13代目に当たり、高性能と豪華さを併せ持つ上質なLサイズセダンに成長している。先ごろマイナーチェンジを実施して、機能を幅広く熟成させた。
まず、ユーザーの関心が高い運転支援機能プロパイロットの機能を大幅に進化させた「プロパイロット2.0」をハイブリッドに搭載している。高速道路上の走行では、ハンズオフ運転も可能にした。V型6気筒3.0Lツインターボエンジン搭載車も用意され、各種の情報が得られるコネクテッドサービス(通信機能の提供)も採用している。
ベテランドライバーが運転しているような「プロパイロット2.0」
まずV型6気筒3.5Lハイブリッドに搭載されたプロパイロット2.0だが、運転支援機能の内容はきわめて先進的だ。
センサーはカメラが7個、レーダーは5個、音波ソナーは12個と豊富に装着され、周囲の車両、白線、道路標識などを検知する。スカイラインの周囲を360度にわたり、常に把握することが可能だ。
そして、プロパイロット2.0の肝のひとつでもある3D高精度地図データも採用した。地図には細かな座標が組み込まれ、車両の位置を正確に測定する。左右方向では5cmの精度があり、車線の中央を安定して走行できる。
そんなプロパイロット2.0の使い方は簡単だ。ナビで目的地を設定した後に、高速道路上でプロパイロット2.0は機能する。ステアリングホイールに装着された青色のプロパイロットスイッチを押し、次にセットのスイッチを押せば作動を開始する。設定速度と車間距離の調節も、スイッチ操作で行える。
プロパイロット2.0の作動中は、ステアリングホイールから手を離しても自動的に操舵され、アクセルとブレーキも、設定速度の範囲内で自動調節される。
同じ車線を走る先行車がいる時は、設定された車間距離を保ちながら追従走行する。ステアリングは道路の曲がり方に合わせて正確に動く。試乗していると、自分の代わりに運転が上手なベテランドライバーが運転している気分になった。
走行中、遅い車両に追い付くと、ディスプレイに追い越しの提案が示される。プロパイロット2.0スイッチの上側に装着された追い越しのスイッチを押して承認作業を行う。ステアリングホイールを保持していれば、自動的に後方確認が行われて方向指示機が作動する。ドライバーも安全確認を行い、パワーステアリングに操舵力が生じて車線を変更する。ナビ連動しているので、分岐などのルート案内と併せて運転支援が行われる。
ハンズオフが可能になり、心理的苛立ちも大幅軽減可能な「プロパイロット2.0」
プロパイロット2.0の一番のメリットは、ハンズオフ走行の可能なクルーズコントロールにより、高速道路を使った長距離移動時の疲労が大幅に軽減されることだ。
渋滞時でもステアリング、アクセル、ブレーキの操作が支援され、発進と停止の操作を繰り返す煩わしさからも開放される。心理的な苛立ちが抑えられ、疲労の軽減と併せて安全運転に役立つ。
また、プロパイロット2.0の設定速度は、法定速度のプラス10㎞/hが上限になる。法定速度標識を検知して、走る速度を自動調節する機能も備わるから、標識の見落としでスピード違反をする心配も大幅に減る。従って高速道路を使った長距離移動の多いユーザーにピッタリだ。
そしてスカイライン ハイブリッドは、高性能と豪華さを併せ持つ上質なLサイズセダンだから、低重心で剛性の高いボディを備える。車両自体も走行安定性が優れ、危険を避ける能力も高い。カーブを曲がる時は左右に振られにくく、乗り心地も優れている。このスカイライン ハイブリッドの「安全と快適」は、プロパイロット2.0の特徴とも合致して、さらに優れた相乗効果を生み出す。
低燃費走行にも貢献。高速道路でのロングドライブが多い人にピッタリ!
また、プロパイロット2.0を作動させると、滑らかな運転が行われるから、燃料消費量を節約できる。エンジン負荷の低いところでは、積極的にモーターのみでの走行も自動で行う。このように、ハイブリッドシステムとの相乗効果で、燃費性能を一層向上できるのだ。
長距離移動の機会が多いユーザーを中心に、プロパイロット2.0を搭載したスカイライン ハイブリッドは、大きなメリットをもたらしてくれる。
「プロパイロット2.0」の先には、ストレスフリーな自動運転世界が見える
そしてプロパイロット2.0は、将来的には自動運転に結び付く技術だ。自動運転になれば、交通事故もゼロに限りなく近付く。クルマを使った移動は、究極的に快適になる。体の不自由なユーザーも、クルマで外出できるようになるだろう。運転免許の返納もなくなり、高齢になってもクルマを使い続けられることも可能だ。
つまり、プロパイロット2.0が進化する方向には、究極の安全と快適がある。完璧な福祉車両の機能も備わり、クルマの進化は最終段階を迎える。プロパイロット2.0を作動させながらスカイラインを運転していると、誰にでも公平で優しい安全で快適なクルマの未来が見えてくる。
V6 3.0Lターボ追加で、405psの400Rが大人気!
一方、マイナーチェンジを受けたスカイラインには、V型6気筒3.0Lツインターボ搭載車も用意された。従来型は直列4気筒2.0Lターボだったので、動力性能が大幅に高まった。低回転域から余裕のある駆動力が発揮され、高回転域の伸びも良い。
ターボには400Rと呼ばれる高性能モデルも設定される。ターボのGTやGTタイプSPの動力性能は、最高出力が224kW/400N・m(304ps/40.8㎏-m)だ。だが、400Rは298kW/475N・m(405ps/48.4kg-m)まで引き上げられる。最高出力は101psの増強で、比率に換算すれば133%に達する。
この400Rは、歴代スカイラインが継承してきたスポーティで楽しい運転感覚を最も強く表現している。発売直後の販売比率では、400Rはスカイライン全体の36%を占める。ハイブリッドはGT/GTタイプP/GTタイプSPの3グレードを合計して全体の37%、最高出力が304馬力のターボは、同様に3グレードを合計して27%だ。
リーズナブルな価格! 日産スカイラインのグレード選び
スカイラインのグレードを決める時は、まずご自分のニーズに応じて、ハイブリッド&プロパイロット2.0、ターボの400R、ターボの304馬力仕様の選択をすると良い。
価格は全般的に割安だ。ターボの304馬力仕様で中心となるGTタイプPは463万8700円だが、マイナーチェンジ前はオプションだったダイレクトアダプティブステアリングを標準装着している(以前のオプション価格は消費税10%に換算すると33万円であった)。
価格をマイナーチェンジ前と比べると、エンジンの上級化も含めて約40万円割安になった。開発者に尋ねると「V6ツインターボエンジン搭載車は、ライバル車に対抗することも視野に入れ、ダイレクトアダプティブステアリングを標準装着して価格を割安に抑えた」という。
同様にハイブリッドGTタイプPも割安だ。V6ツインターボの同グレードを117万8100円上まわるが、V6ハイブリッドに加えてプロパイロット2.0、ドライバーモニターなども加わる。先進技術を求めやすい価格で得られることもスカイラインの魅力だ。
GTタイプPをベースにすると選びやすい
ハイブリッドのグレード選びは、GTでも十分だが、上級車種の付加価値を求めると、本革シートなどが備わるGTタイプPを推奨したい。パドルシフト、前後のスポーツバンパーなどが欲しい時は、GTタイプSPにグレードアップさせる。
なお、V6ツインターボでは、スペシャルティな400Rも魅力的。価格は562万5400円に達するが、専用チューニングされた電子制御式ショックアブソーバーなどを装着して、走りを総合的に向上させた。
また、最高出力が400馬力に達するスポーツカーは、日本車ではGT-Rなど一部車種に限られ、価格は1000万円を超える。400Rは高性能な割に価格が安い。
以上のようにスカイラインは、高度なメカニズムや性能を備えながら買い得感がある。これも、歴代モデルから継承された大切な価値だろう。機会があったら、販売店でスカイラインを試乗してみると良い。ハイブリッドではクルマの未来を見据えた先進的な運転感覚、V6ツインターボでは運転の楽しさを満喫できる。
いつの時代でもスカイラインは、日本のユーザーに寄り沿う高性能車であり続ける。おそらく自動運転の時代になっても、スカイラインは日本の道路を走り続けているだろう。
レポート:渡辺陽一郎
日産スカイライン価格
■ハイブリッド車
GT Type SP 6,160,000円
GT Type P 5,816,800円
GT 5,575,900円
■V6ターボ車
GT Type SP 4,908,200円
GT Type P 4,638,700円
GT 4,353,800円
400R 5,625,400円
日産スカイライン 燃費、ボディサイズなどスペック
■代表グレード 日産スカイライン 350GT HYBRID Type SP
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,800×1,820×1,440
ホイールベース[mm] 2,850
トレッド前/後[mm] 1,535/1,560
車両重量[kg] 1,840
エンジン型式 VQ35HR
総排気量[cc] 3,498
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 225〈306〉/6,800エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 350〈35.7〉/5,000
モーター最大出力[kw(ps)] 50〈68〉
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] 290〈29.6〉
ミッション 7速AT
サスペンション(前:後) ダブルウィッシュボーン:マルチリンク
タイヤサイズ前後 245/40RF19
JC08モード燃費 14.4km/L
定員[人] 5
発表日 2019年7月16日
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