日産スカイライン試乗記・評価 「プロパイロット2.0」期待以上の出来

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【日産】2019/09/08

日産スカイラインハイブリッド

 

もはや、当り前の装備となった車線維持&全車速追従クルーズコントロール

日産スカイラインハイブリッド多くの自動車メーカーが、「自動運転技術」を応用した運転支援機能を設定。数多くのモデルに装着している。すでに、高速道路上などで同一車線内を維持しながら、先行車に追従。さらに、渋滞時などのストップ&ゴーにも対応したクルーズコントロールなどが、その運転支援機能の代表例。こうした運転技術は、軽自動車にも搭載されており、もはやベーシックな装備になっている。

日産では、このような機能をもった装備を「プロパイロット」と呼び、軽自動車のデイズにも用意。幅い広い車種に装着できるようになっている。

日産は、この「プロパイロット」の進化版といえる「プロパイロット2.0」を開発。スカイラインのマイナーチェンジを期に、「プロパイロット2.0」をハイブリッド車全車に標準装備し発売を開始した。

 

 

「プロパイロット2.0」高速道路では、ほぼ自動運転?

日産スカイラインハイブリッドこの「プロパイロット2.0」は、GPSと3D高精度地図データ、360°センシング技術などを使う。前方を監視するカメラは3眼。さらに、車両周囲を監視するカメラがトータルで7個の装着され、車両や歩行者などを検知するレーダーは5個。ソナーは12個も装備されている。

こうした技術により、スカイランハイブリッドは、左右の誤差5㎝、前後誤差1m程度という高精度な走行が可能となり、高速道路同一車線内でハンズオフが認可されている。

しかも、遅い車両に追いついた場合、クルマから車線変更の提案があり、それを承認し、専用のスイッチを押すと、自動で車線変更。追い越し後は、再び走行車線に戻る機能まである。車線変更時は、ステアリングに手を添える必要があるが、ほぼ自動運転に近い走行が可能になった。

さて、こうした機能が登場すると、新聞やTVは「自動運転時代」などとはやし立てているが、私が生きている間には完全自動運転時代はやってこないと思っているほど、完全自動運転には懐疑的だ。なぜ、懐疑的なのかは、長くなるので割愛するが、それゆえ「プロパイロット2.0」って「実際にはそんな役に立たないんじゃないの?」と思っていた。

そもそも「プロパイロット」だけでも十分。ハンズオフしたからって、何が変わるの? それって、なんかメリットあるの? ボタンひとつで車線変更? どうせ交通量が少ない状態じゃないとできなそうだよね? なんて、否定的なワードが頭の中を駆け巡っていた。

日産スカイラインハイブリッド

 

 

ハンズオフって、意外と楽?

日産スカイラインハイブリッド試す前から否定的。とりあえず、ひと通り試してみる。「プロパイロット2.0」を使うには、目的地を設定する必要がある。その目的地までのルート上にある高速道路上「プロパイロット2.0」が使える。中央道河口湖ICに乗り、ステアリングホイール右に端下部にあるプロパイロット2.0のスイッチをON。まずは、従来の「プロパイロット」が起動。「プロパイロット」が起動すると、メーター内の車両グラフィック表示が緑色になる。

そこで、速度を設定。「プロパイロット2.0」を使う場合、法定速度の+10㎞/hでしか設定ができない。設定が終わると、少々時間がかかるがメーター内のグラフィックがブルーに変化。この時点で「プロパイロット2.0」が機能していることになるので、ハンズオフが可能となる。

ハンズオフ状態で10㎞以上走行した。驚きだったのが、ハンズオフでの走行が非常に楽だったということだ。前方監視は必要で、いつでも操作可能な状態にする必要があるのだが、ハンズオフでのドライブはかなり疲労が少なかった。これは、今まで感じたことのない経験といえるもので、積極的に使ってみたくなる。

 

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世界トップレベルの直進安定性を誇るDASってなんだ?

日産スカイラインハイブリッドハンズオフ時に感じたのは、スカイラインハイブリッドの直進安定性の高さだ。多くの車線維持タイプのクルマに試乗したが、スカイラインハイブリッドの直進安定性はトップレベルといえるものだった。とにかく、安定して真っ直ぐに走る。

この卓越した直進安定性を支えている技術がDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)だ。DASは、ステアリングと前輪が機械的につながっていないバイワイヤシステムを使う。ステアリング操作は、電気信号に置き換えられ、前輪側のステアリングアングルアクチュエーターを作動させてタイヤを操舵。路面不整によるステアリング取られが無いため、とくに直進安定性に優れている。バイワイヤ方式なので、ステアリングに不快な振動を伝えない。

 

DAS、凄い!

日産スカイラインハイブリッド「プロパイロット2.0」では、このDASが大きな役割を果たす。左右誤差5㎝程度という高精度な走行位置を瞬時にDASによりトレース。元々、直進安定性に優れたシステムなので、当然フラフラしない。しかも、車内のステアリングは動いていないのだが、DASにより前輪は非常に細かい位置修正を繰り返している。ほとんどドライバーにこうした制御を感じさせることなく、スカイラインハイブリッドは走り続ける。この車線維持&直進安定性は、世界トップレベルの実力。

多くの車線維持機能付きのクルーズコントロールは、車線内を微妙に蛇行する。出来の悪い車両は、左側の車線に寄ると、右側にステアリングを切り、右側の車線に寄ると今度は左側にステアリングを切る。これを永遠に繰り返すので、白線を踏み越えそうでかなり不安。結局、自らステアリングを微妙に操作することが多いのだ。スカイラインハイブリッドは、こうした不安がないので安心してクルージングが楽しめる。

日産スカイラインハイブリッド

 

 

車線変更もスイッチひとつでOK

日産スカイラインハイブリッド「プロパイロット2.0」でクルージング中、前方に遅いクルマに追いつくと、車両側から車線変更の提案がメーター上に表示される。この時に、ステアリング右端上にある車線変更ボタンを押すと、周囲の安全を確認した車線変更を開始。このときには、ステアリングに手を添える必要がある。車線変更が終わると、同様の手順で走行車線に戻る。

一般的な車線変更だけでなく、ジャンクションでの分岐、高速道路の出口などでも、こうした運転支援機能が作動する。例えば、分岐が近付くとシステムから車線変更の提案がある。スイッチを押し提案を了承すると、しばらく走行。分岐手間にさしかかると自動でウインカーを点滅させ車線変更する。

出口などで、料金所が近くなると事前に「プロパイロット2.0」機能は、ハンズオフからハンズオン、そしてステアリング制御中止となる。高速道路の出口は千差万別なので、出口車線に入ったらいつでも自分で運転できる状況にしておく必要がある。

また、高精度の3Dマップが重要なため、地図のアップデートがされていない道路、GPSの電波が届かない長いトンネル内などでは、ハンズオフ機能は使えない。3Dマップは、年数回自動でアップデートされる。

車線変更が、なかなか上手なのも「プロパイロット2.0」の特徴。ジワっとステアリングを切り、スルリと車線を変える。運転が雑なドライバーより、はるかに上手いので安心感がある。

基本的に車線変更のシステムも高い水準にあり、とても便利だった。システムの設定をはるかに超える速度で急速に近付いてくる車両があったが、一旦ウインカーは出たものの、即座に車線変更を中止するなど、安全面でも高いレベルにあった。

 

 

精神衛生面でも効果がある「プロパイロット2.0」

日産スカイラインハイブリッド最初は少々懐疑的だった「プロパイロット2.0」だったが、実際にじっくりと試してみると目からうろこ状態。こりゃ、とっても便利! となってしまった。これだけ、安心して運転を任せられると、精神衛生面でもメリットがあった。

交通量が多く、ダラっとした流れで思うように運転ができないと、少々イライラしてくるし、運転もついつい雑になる。「プロパイロット2.0」を使いハンズオフ状態だと、意外なほど心は平穏。のんびりと走行車線をクルージング。車両が遅いクルマに追いついて、車線変更を提案しても非承認。運転時に無駄なストレスから解放された。

こうした自動運転っぽいシステムを称賛すると、運転好きの人からは否定的な意見をよく聞くことがある。運転好きの人でも、渋滞時になどでは「プロパイロット2.0」を使いストレスやリスクから解放される。気持ちよく自由に走れるときには、「プロパイロット2.0」をオフにして走ればいい。要は自分の都合で使い分ければいいだけだ。

 

乗り心地がちょっとね・・・

日産スカイラインハイブリッドさて、日産スカイラインハイブリッドのマイナーチェンジでは「プロパイロット2.0」の他、外観も変更された。従来のインフィニティエンブレムは姿を消し、日産エンブレムに変更。グリルは、日産のデザインアイコンでもあるVモーショングリルを装着した。全体的にシャープなVモーショングリルということもあり、スポーティさはアップした。まぁ、それほど変わったという印象はない。

「プロパイロット2.0」機能を搭載し、より魅力的なクルマに進化した日産スカイラインハイブリッド。しかし、物足りない部分もあった。それは、乗り心地性能。とても、500~600万円という高級車の乗り心地ではない。

スカイラインハイブリッドは、ランフラットタイヤを使うことから、硬いタイヤ特有のゴツゴツ感が出るのは仕方のないこととはいえ、まぁ、とにかく動きのシブい足回りで、路面の悪いところでは路面の凹凸をダイレクトに伝えてくる。18インチホイール装着車だと、多少マイルドになる。

2014年のデビュー時は、これでもなんとかなったが、同価格帯の輸入車や国産車と比べると、もはや大きな差になっている。せっかくのマイナチェンジなのだから、こうしたクルマの基本性能の部分にも、しっかりと手を入れてほしかった。

<レポート:大岡智彦>

 

 

日産スカイライン価格

■2WD(後輪駆動)

日産スカイラインハイブリッド・GT Type SP [HYBRID] 6,048,000円

・GT Type P [HYBRID] 5,711,040円

・GT [HYBRID] 5,474,520円

・GT Type SP [V6 TURBO] 4,818,960円

・GT Type P [V6 TURBO] 4,554,360円

・GT [V6 TURBO] 4,274,640円

・400R[V6 TURBO] 5,523,120円

■4WD

・GT Type SP[HYBRID] 6,327,720円

・GT Type P[HYBRID] 5,990,760円

・GT[HYBRID] 5,754,240円

 

日産スカイライン 燃費、ボディサイズなどスペック

■代表グレード 日産スカイライン 350GT HYBRID Type SP

日産スカイラインハイブリッドボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,800×1,820×1,440

ホイールベース[mm] 2,850

トレッド前/後[mm] 1,535/1,560

車両重量[kg] 1,840

エンジン型式 VQ35HR

総排気量[cc] 3,498

エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 225〈306〉/6,800エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 350〈35.7〉/5,000

モーター最大出力[kw(ps)] 50〈68〉

モーター最大トルク[N・m(kg-m)] 290〈29.6〉

日産スカイラインハイブリッドミッション 7AT

サスペンション(前:後) ダブルウィッシュボーン:マルチリンク

タイヤサイズ 245/40RF19

JC08モード燃費  14.4km/L

定員[人] 5

税込価格[円] 6,048,000円

発表日 2019年7月16日

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