ポルシェ がスポーツカー メーカーであることは誰も疑わないが、最近のポルシェはSUV のカイエンが良く売れるようになり、さらに新たにカイエンよりもひと回り小さいマカンを投入したことで、SUV メーカーとしての色合いを強めている。アメリカで多くのユーザーがSUVを選ぶため、それに対応するラインナップである。

ポルシェは、フォルクスワーゲン グループのメーカーであり、マカン はグループで開発したプラットホームを使って作られた。そのため基本部分はアウディQ5 と共通するのだが、それ以外のほとんどの部分はマカン専用に作られていて、さすがはポルシェという仕上がりになっていた。

マカン には、プレミアムコンパクト などという言い方もされるが、ボディの全幅は1925mmもあるので、日本ではとてもコンパクトとはいえない。カイエンは3サイズとも、さらにひと回り大きいから、カイエン に比べたらコンパクトてはあるが十分に大きなクルマである。

マカンは、大柄なSUVボディの外観デザインをもつが、ひと目でポルシェと分かるものだ。911などとも共通する部分があり、カイエンとは兄弟であることが明確に分かるような表情に仕上げられている。ポルシェならではの存在感を放つデザインである。

インテリアは、全体としては高い質感を備えている。ベースグレードのマカンと最上級グレードのマカンターボでは仕様の違いも大きいものの、どちらもポルシェのインテリアであることが分かる。センターコンソールに多くのスイッチが並ぶのが特にポルシェらしいところだ。ただ、このスイッチ数は多すぎるのでもっと整理すべきだろう。

　ポルシェ マカンに搭載されるエンジンは、直列4気筒の直噴ターボ仕様。このエンジンはアウディ が開発したものだが、マカンに搭載されるにあたってポルシェ専用のチューニングが施されている。174kW/350N・mのパワー＆トルクはアウディQ5用のエンジンに比べ、より高い回転数でより高いパワーを発生する。吹き上がりのスムーズさも含めて、ポルシェならではといった印象だ。

マカンターボに搭載されるエンジンは、V型6気筒3.6Lのツインターボ仕様で、こちらは294kW/550N・mのパワー＆トルクを発生し、マカンとは比べ物にならないくらいの動力性能を発生する。マカンに比べ車両重量が150kgも重くなるのに、走りは格段に豪快なものになる。

ちなみに、公表されている0-100km/h加速を見ると、マカンが6.0秒なのに対してマカンターボは4.8秒、中間グレードのマカンSは5.4秒ということだから、グレードごとに動力性能が異なり、運動性能にも違いが設けられている。分かりやすい設定だ。

マカンにしてもマカンターボにしても、ボディタイプはSUVながら、走りはSUVというよりもスポーツカー に近いものを持つ。それは動力性能だけでなく、足回りなども含めた全体的な走りがスポーツカーに近いのだ。

マカンやマカンターボに乗って感じるのは、足回りの良さだ。硬くてしっかりした足回りなのに、乗り心地が悪くない。安定感と乗り心地がとても高い次元で両立されている。これは、ほかのクルマでは得られないものだ。

他にも踏み応えがしっかりしていて、剛性感のあるブレーキフィールや手応えは軽めながら確かな応答性のあるステアリングフィールなど、ポルシェならではの乗り味を実現している。クルマというものは、このように動くのかと思わせられる。

マカンで600万円台前半という価格は、絶対的には安いものではない。試乗車にはオプションが装着されて価格は700万円を超えていたし、ポルシェは整備費用なども高いから維持費もけっこう高くつく。でも、この性能と仕様がこの価格というのは十分に納得できる。手の届くポルシェと考えるべきだろう。

ポルシェは、リセールバリューがべらぼうに高いので、手放すときに取り戻せる部分がかなり大きいこともある。マカンは発売前から大量の受注を抱えていたので、リセールバリューについては保証付きといっても良い。