「レクサスGX(ランクルプラド)は買ってはいけない!」ってホント!? 北米・コンシュマーレポートの顛末

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【ビジネス・経済】2010/04/23

 

プリウス騒動に代表されるトヨタバッシングが沈静化するなか、「レクサスGX460は高速道路のランプで横転する可能性あるので危ないとコンシュマーレポートが言っている。買っちゃいけない」という情報が入ってきた。その原因について、自動車評論家、国沢 光宏氏による解説を速報でお届けする。

素早かったトヨタの対応

「レクサスGX460」の兄弟車、「トヨタ ランドクルーザープラド」[日本仕様] タイヤ&ホイール

 このところアメリカに於けるトヨタバッシングも下火になりつつあるますね、と思っていたら、突如「レクサスGX460は高速道路のランプで横転する可能性あるので危ないとコンシュマーレポートが言っている。買っちゃいけない、という非常に厳しい警告を出したらしい」という情報が入ってきた。
動画を見ると、本来であれば姿勢制御装置VSCが稼働してなければならない状況で見事にテールスライドしてます。状況。VSCのヒューズを抜いたのか、と思いました。しかしコンシュマーレポートはアメリカで最も信頼されているバイヤーズガイドだ。ヒューズ抜いて「アブナイ!」はやらないかと。
トヨタも問題だと判断。すぐさま世界規模でGX460の販売を停止し、続いて工場も止めた。4月17日になってVSCが十分な機能を果たしていないと認め、19日の月曜日にリコールを発表。やはり不具合あった、ということ。果たして何でVSCは稼働しなかったのだろうか?

 

 

ポイントは"ブレーキを踏まずにテスト"したこと

「トヨタ ランドクルーザープラド」[日本仕様] 走り

 詳しく動画をチェックしてみたら、興味深いことに気づいた。ブレーキランプが点いてないのだ。改めて記事を読むと「アクセルもブレーキも踏んでいない」。普通、この手のテストを行うときはブレーキペダルを踏む。というか、公道だとブレーキ踏んでいる時に起きる挙動であります。
以下、現時点で100%の確度こそ無いものの、原因を推測出来た。ご参照程度にして頂ければ幸いです。姿勢制御装置は当然のことながら「横滑りを感知」してから対応を開始する。その際「通常走行」の体勢から制御を開始するのと「ブレーキ踏んでいる」状態から制御するので若干違う。
ブレーキ踏んだ状態だと当然の如くブレーキ系統はすでに油圧を発生している。センサーが横滑りを感知したら、すぐさま姿勢の制御に入れるという寸法。しかし「通常走行」の状態だと姿勢をコントロールするためブレーキ圧の制御に入るまで、若干のタイムラグがある。0.4秒くらいか? 私の場合、姿勢制御装置付きのクルマでもこのタイムラグを使って後輪を横滑りさせた写真撮ります。
もう一つ。姿勢制御装置が付いていても、ある程度深いドリフトアングルになるとVSCの稼働を中止する(テール流れてヘタにカウンター当てるとオツリが来るのと同じ)。このタイムラグの間に姿勢制御が不可能な横滑り状態になると。GX460の動画と同じような状況になってしまうワケ。GX460というモデル、重いV8を搭載するとリア荷重配分が少なくなり、さらに電子制御サスペンションとの相性や燃料タンクの位置もイマイチだったんだと思う。普通のクルマより高速域でテール流れやすい基本的な挙動を持つクルマになってしまった。したがって「通常走行」してるときにハンドル切ると、制御開始までのタイムラグの間にスピンモードまで行ってしまうんだと考えられる。なお、V6を搭載するランドクルーザー プラドなどは問題なし。
ちなみにリコール対応はプリウスの時と同じくコンピューターの制御ソフトの書き換えで済む。VSCの稼働タイミングを早めにする、という対応だろう。

(レポート:国沢 光宏

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