これ以上ナニが必要? 世界最高級の電気自動車に試乗評価!【ロールスロイス ファントム 102EX エクスペリメンタル・エレクトリック】
室内の静けさは、エンジン車もEVも同じ?
102EXはファントム・エクスペリメンタル・エレクトリック(ファントムEE)とも呼ばれる。つまり102EXはファントムをベースとしたコンバートEVで、エンジンルームにはリチウムイオンバッテリーを搭載、リヤアクスルのサブフレームの上に2機の電気モーターを搭載した後2輪駆動のEVである。
運転の仕方は通常のロールス・ロイス・ファントムと同じ。スイッチを入れてDレンジにセレクターを動かし、ブレーキペダルから足を移してアクセルペダルを踏めばいい。EVは強い加速をしていっても静かで、信号待ちで停止しているときも静かであるが、そもそもV12気筒エンジンを搭載したファントムが同じ場面でも通常のクルマとは桁違いに静かだから、102EXが特別静かになったという感激はない。
完成度の高いEVだが、熟成期間中
走っていて、車両重量の重さを感じるケースがある。加速に関しては、2機のモーターで最高出力290kW、最大トルク800Nmを発揮できているので、バッテリーパック重量が640kgで空車時にも2.7トンもある車重を軽々と押し出してくれる。
しかし、カーブを曲がっているときとブレーキングではファントムより慣性の強さを感じる。だからといって止まれなかったり曲がらなかったりするというわけではなく、ロールス・ロイスらしい走りをする分にはまったく問題ない。
乗り心地もファントムに分がある。102EXは車重が思い分だけタイヤの空気圧も高くなっているから、凹凸路でタイヤが硬く、低速時にバネ下の振動も感じることがある。
またモーターとドライブシャフトの間にはギヤを介しているので、アクセルオン・オフのときにファントムにはない軽いバックラッシュを感じる。
まあ、この辺の問題はロールス・ロイスでも理解していて、最初の実験EV車だからまだこれから問題を洗いなおしていくところだ。逆にいかにファントムが熟成された良いクルマだということを102EXに乗って再確認することができた。
ショーファー・ドリブンとして、価値のあるEV
そもそもロールス・ロイスに電気自動車が必要か? という疑問を持つ方もいるだろう。充分に静かなエンジンも持っていることだし、伝統を守るロールス・ロイスは保守的な方が似合うという意見もわかる。しかし、ロールス・ロイスは常に最先端の技術を取り入れたクルマ創りをしているし、社会環境を考慮することも他の自動車メーカーと変わることはない。
102EXに乗って、ロールス・ロイスがEVになったらどんなメリットがあるか考えてみた。
例えば、何台ものクルマをガレージに入れているオーナーが、何ヶ月に1度クルマに乗るとしよう。EVならガレージに半年置いておいても充電さえできていれば、そのまま乗り出すことができる。特に102EXは非接触充電もできるシステムを持っているから、いちいちコードを繋いだり、外したりする手間がないと評価していい。ガレージで非接触充電システムの上に駐車しておけばいいのだ。
もうひとつは、ショーファー・ドリブンのときだ。長い時間クルマを待たせるケースでも、エアコンの効いたクルマのなかでドライバーは快適に待つことができる。もちろんこの間エンジンを掛けないからCO2の排出もない。200kmというEVとしては長い航続距離(RANGE)は71kWhという大きなバッテリーによるものだが、この大きな容量のバッテリーを走らないときにも有効に使えるのだ。
102EXは実験車といっても、ボディカラーにはこれまでにない特殊なメタリックを採用したり、インテリアもこれまでにない皮のフロアやパネルなどにも新しい素材を採用して特長を出している。
ロールス・ロイスのEVが将来登場したら、それはそれで価値があるのではないかと思った。
取材協力先
ロールス・ロイス・モーターカーズ横浜
ニコル・モーターカーズ株式会社
http://www.rolls-roycemotorcars-nico...
〒220-8172
横浜市西区みなとみらい2-2-1
フリーダイヤル : 0120-188-250
TEL : 045-680-4500
info@rolls-roycemotorcars-nicole.com
<ロールスロイス ファントムEE スペック>
・全長 5,840 mm
・全幅 1,990 mm
・全高(空車時) 1,638 mm
・ホイールベース 3,570 mm
・回転直径 13.8 m
・トレッド(前) 1,687 mm
・トレッド(後) 1,671 mm
・肩位置での車幅(前) 1,509 mm
・肩位置での車幅(後) 1,431 mm
・レッグルーム(前) 1,028 mm
・レッグルーム(後) 1,109 mm
・ヘッドルーム(前) 1,051 mm
・ヘッドルーム(後) 979 mm
・トランク容量(DIN 規格) 460 ltr
・空車時重量(DIN 規格) 2,720 kg
・車両総重量 3,030 kg
・最大積載量 300 kg
・最大軸重(前) 1,473 kg
・最大軸重(後) 1,548 kg
・最高出力 290 kW
・トルク 800 Nm
・バッテリー:
・構成 NCM (リチウム・ニッケル・コバルト・マンガン酸化物)リチウムイオン
・セル数 96 (パウチ形状)
・容量 71kWh
・バッテリーパック重量 640 kg
・ピーク電流 850アンペア時に330 kW
・公称電力 388V DC
・充電時間(推定) 単相20 時間 / 3 相8 時間
・トランスミッションタイプ シングルスピード6:5:1(インテルグラル・ディファレンシャル付)
・ステアリング・タイプ EHPSラック・アンド・ピニオン、速度感応式
・伝達ギア比可変機構付き電動パワーステアリング
【関連記事】
- 世界最高級の電気自動車(EV)登場【ロールスロイス102EXファントム・エクスペリメンタル・エレクトリック】
- ロールスロイスNEWS一覧
- 燃費も重視した最新オープンモデルが早速日本デビュー【フェラーリ 458スパイダー新車情報】
- サイズや機能、それとも燃費? 失敗しない日産ミニバンの選び方教えます!
- 経済性でハイブリッド車並のSKYACTIVディーゼルエンジン【マツダ CX-5プロトタイプ試乗記】
- 未来への夢を乗せて電気で走るレーシングカー【日産リーフ ニスモRC】
- 【日産 電気自動車 リーフ 新車試乗記】ついに街へ飛び出した話題の最新型EVは"使える"ヤツなのか
- 10/9情報追加! ヴィッツ級ハイブリッド車はトヨタ アクアに決定!【スクープ!】ヴィッツ級ハイブリッド車は「ヴィッツ」にあらず!
- 10/5情報追加! 発売日は10月末!スクープ! 2011年秋、発売予定【ホンダ新型フリードハイブリッド】の燃費&価格、概要が見えてきた!!
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
【関連記事】
- 日産、ホンダ、三菱連合誕生! トヨタ、ダイハツ、マツダ、スバル同盟に対抗? それとも「オールジャパン」体制への布石?【日産】
- スズキ、10年先を見据えた技術戦略とは?【スズキ】
- ホンダN-VAN e: 新車情報・購入ガイド ライバル発売延期で、千載一遇のチャンス!?【ホンダ】
- 三菱eKクロスEV新車情報・購入ガイド 一部改良で商品力強化!【三菱】
- マツダ 創 ARATA(アラタ)新車情報・購入ガイド 2025年中国に投入予定の新型電動SUV公開!【マツダ】
- マツダEZ-6(イージー シックス)新車情報・購入ガイド 長安汽車の電動技術を使った合作電動車、初公開!【マツダ】
- スズキ eWX 期待の軽BEV! JAPAN MOBILITY SHOW 2023レポート【スズキ】
- AFEELA Prototype JAPAN MOBILITY SHOW 2023レポート【ホンダ】
- ホンダ N-VAN e:プロトタイプ JAPAN MOBILITY SHOW 2023レポート【ホンダ】
- トヨタ IMV 0(アイエムブイ ゼロ) 日本導入が気になる1台 JAPAN MOBILITY SHOW 2023レポート【トヨタ】
【オススメ記事】
- 速報!2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー「ホンダ フリード」に決定!!【イベント】
- トヨタRAV4(50系)新車情報・購入ガイド 新型RAV4デビュー直前? 最後の改良か?【トヨタ】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストカー取材会開催!【イベント】
- 【動画】トヨタ アルファード (40系)後悔・失敗しないための内外装レビュー【トヨタ】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!