【ルノー メガーヌ R.S. 試乗評価】異型で畏敬なホットハッチ、メガーヌ ルノー・スポール、その真髄とは? [CORISM]

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【ルノー】2011/01/03

こいつはもはやチューニングカーである

メガーヌ ルノー・スポール エンジン

2リッターのツインターボとはいえ、スペック的には250馬力しかない。ただしトルクは34.7kg-mもあって、低速のパンチはここに理由があり

 最近はスポーツカーが少なくなってきているとはいえ、500馬力ぐらいあるモンスターマシンも逆に増えてきているのも事実。それらおしなべて、横滑り防止のESPなどで安全にハイパワーを楽しめるようになっていて、昔のように尻が流れて怖いとか、アクセル踏んだらタイヤが空転して暴れた……、などいうことはない。手の内に収まるモンスターだ。
 と思っていたら、手の内からはみ出る一台に出会ってしまった。それがメガーヌのルノー・スポール。ベースとなる新型メガーヌ導入以前にRSだけ先に輸入してしまう潔さ。ルノー・スポールバージョンが世界で9番目に売れている日本だけに、配慮してくれたのか。新型メガーヌ ルノー・スポール、先代よりもメチャクチャ精悍になっていて、文句なしにかっこいい。ノーマルはまだ見ていないが、ノーマルとはまったく別格だろう。
 しかも走りはそのイメージに違わずで、モンスターというかじゃじゃ馬。もちろんESPなどは装備しているので、危険なことはないだろう。だろう、というのはそこまで行くのには果てしない遠い感じだから。アクセルを踏めば、反応のいいツインスクロールターボが低回転から強烈なブースをかけて、ガツンと頭を殴られつつ、どこまでも加速していく。もちろん速くて、目がついていかないほど。
 コーナーでも粘るなどというレベルではなく、ガッチリと姿勢を決めつつ、なんなくクリアしていく。Gモニターが付いているのであとで見ると、触れ幅は少しだけ。限界はどこにあるのだろうか……。限界などというのはサーキット、それも2速メインの3速チョロチョロのミニサーキットなどではなく、富士スピードウェイあたりでないと持て余すだろう。
 こう書くと、さぞかし足まわりはガチガチなんだろうと思うかもしれないが、そこはフランス車である。当たりは意外にソフトでしなやか。最初に軽くロールしつつ、一発で姿勢が決まったら、そこを維持してくれるので、不快だったり、我慢などは不要だ。
メガーヌ ルノー・スポール 走り
メガーヌ ルノー・スポール 走り
メガーヌ ルノー・スポール 走り

軽くロールはするけど、それは挙動を確認する程度。姿勢が一発で決まったところで、あとはオンザレールで、クリアしていくのみ。アクセルをさらに踏んだいったらどうなるかなどは想像すらできないほどの限界の高さだ

シャーシから違う! ノーマルなどとはまったくの別物

メガーヌ ルノー・スポール フロントマスク
 ルノーというのはつくづく不思議なメーカーである。元は公団。実用車を作るのがうまいと思いきや、昔からF1やWRCに参戦したり、今回のメガーヌ ルノー・スポールのようなハイスペックバージョンを続々と投入してくる。その内容はすでにお伝えしたように過激なまでで、なんとなくのスポーツグレードというのではないのはさすが。
 そのいい例がシャーシで、ルノー・スポールにはふたタイプが用意される。日常の使い勝手を優先した「シャシースポール」とスポーツドライビングに最適化された「シャシーカップ」なのだが、今回のはメガーヌ ルノー・スポールはもちろん後者。フロントはサスペンションは先代から熟成を重ねている「ダブルアクスルストラット」で常にタイヤの中心に荷重が掛かるという優れた性能を持つモノで、ロアアームは今回、アルミ合金に変更。組み合わされるスタビ径は24.2ミリもある。その結果、13%もの剛性アップし、サスペンション前後でも35%/38%それぞれ剛性が高まっているのだが、これはシャシースポールと比べての数値というから、どれだけ高まっているのかということだと評価していい。
 またブレーキ、写真を見てもわかるようにフロントにはブレンボ製モノブロック4ポッド、リヤにはTRW製が顔を覗かせ、どちらも真っ赤。ローターはなんとスリット入り。バッドはフェロードのセミレーシング。これらは標準装備で、どこぞのメーカーみたいにオプションなんぞではない。
メガーヌ ルノー・スポール フロントビュー
メガーヌ ルノー・スポール リヤビュー
メガーヌ ルノー・スポール リヤ

ノーマルのボディをワイド化。さらにローダウンもしているだけに、存在感はかなりのモノで、どっしりと構えた感じはスポーツカーの風格すら漂ってくる。見ての通り、リヤウインドは小さくて、後方視界はあまりよくない。ただし、このクルマのキャラクターからすれば些細なことか

メガーヌ ルノー・スポール マフラー

ルノースポールの特徴であるセンター1本出しのマフラー。サウンドは弾けるような感じ。最高出力が出たときに、最高の音色になるようにチューニングされているとのこと

メガーヌ ルノー・スポール ホイール

大きなブレンボは珍しくはないが、ローターにスリッドまで入っているとは力が入っている。その効きは強烈で、減速Gは凄い

メガーヌ ルノー・スポール インパネ

ステアリング上部にはセンターの印が付いていたりする。コクピットと言ったほうがピッタリくるような、硬派なイメージだ


メガーヌ ルノー・スポール ミッション シフト

6速MTのみ。クロスレシオで、こまめに操作するというよりも、一般道では3速までで十分といったところ。6速全開はどうなることやら

メガーヌ ルノー・スポール フロントシート

シートはレカロ製が両席に標準で付く。クッションは最小限ながら、乗り心地はまずまず。乗り降りは少々苦労するが、それもまた雰囲気

メガーヌ ルノー・スポール ラゲッジ

実用車のメガーヌベースだけに、ラゲッジはけっこうな容量が確保されている

スポーツドライビングの真骨頂はESPにあり

メガーヌ ルノー・スポール メーター

こちらはメインのメーター。タコメーターだけ、黄色のメーター地とはやる気にさせられる感じだ。インパネセンターにはR.S.モニターも付く

 横滑りを防止するESPを積極的に制御して、安心してスポーツドライビングを楽しめるようにするというのは、スポーツモデルにおいて世界的に行なわれていること。もちろんメガーヌ ルノー・スポールも例外ではない。ノーマルに加えて、介入が遅くなり、スポーツモード。そしてオフの3つ。さらにスポーツを選ぶと、アクセル感度が敏感にもなるのだが、この感じ方自体も選ぶことができる。感度が低い順に、スノーモード/プログレッシブモード/ライナーモード(アクセルとスロットルが正比例)/スポーツモード/エクストリームモードと、じつに細かいが、プログレッシブモードですでにじゃじゃ馬なので、何度も言うけど、その性能天井知らず。エクストリームモードで、ESPをオフなんかにした日にはどうなるやら……、である。
 と、なると価格もさぞかし高かろう。500万円オーバーは硬いだろう。そもそもエンジンだって、世界の趨勢を考えると400馬力はあるかも、などと思ってしまったのだが、どれも大ハズレ。エンジンはたったの250馬力で、スペックではなく、直感的な楽しさ優先という欧州車の文法ゆえだろうし、オネダンはたったの385万円なりである。よくGT-Rがスペックに対して、バーゲンプライスなどというけど、そんなの甘い。こちらのほうが、超バーゲンプライスだ。しかもメガーヌに関しては限定ではないのもうれしいと評価していい。
メガーヌ ルノー・スポール R.S. モニター
メガーヌ ルノー・スポール R.S. モニター
メガーヌ ルノー・スポール R.S. モニター

ブーストや油温などがメーターに表示されるのは、チューニングカーそのもの。ちなみにブーストは1kg/cm以上かかっているようではある。ラップタイムも記録できるのはサーキットで役に立つだろう

メガーヌ ルノー・スポール R.S. モニター
メガーヌ ルノー・スポール R.S. モニター
メガーヌ ルノー・スポール R.S. モニター

真ん中が前後左右のGが表示/記録される画面。一般道で少々激しく走ったのだが、グラフは中心部分にチョロチョロっと記録されただけ。振り切るなんて絶対に無理だ。そして一番右が、ESP設定とアクセル感度の切り替え画面。細かく、そしてどうなるかわかりやすい表示がされる

メガーヌ ルノー・スポール 走り

車名 ルノー メガーヌ ルノー・スポール
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4320×1850×1435mm
車両重量[kg] 1430kg
総排気量[cc] 1998cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 250ps(184kW)/5500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 34.7kg-m(340N・m)/3000rpm
トランスミッション 6速MT
10・15モード燃費[km/L] 11.8km/L
定員[人] 5人
消費税込価格[万円] 385.0万円
発売日 2011/2/10
レポート 近藤 暁史
写真 オフィスマッシュルーム

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(レポート:近藤暁史

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