航続距離を約40%アップし512㎞とした改良が施された新型UX300e
レクサスは、コンパクトSUVでBEV(Battery Electric Vehicle)のUX300eを一部改良し発売を開始した。
今回の改良では、航続距離を約40%伸ばし512㎞とした。さらに、走行性能の向上、予防安全装備「レクサスセーフティシステム+」の機能向上が行われた。
レクサス初となるBEVであるUX300eが登場したのは、2020年10月。デビュー時UX300eは、54.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は 367kmだった。
今回の改良では、新開発した電池パックの導入。電池容量を54.4kWhから72.8kWhに増量。これにより、航続距離512km(従来型比約40%)に伸ばすことができた。
適正な航続距離とは?
改良前UX300eの航続距離でも、それほど短いとは感じないが、BEVの不安材料のひとつはやはり航続距離。航続距離が300㎞台だと、短いと感じる人が多いということだ。
ただ、航続距離を伸ばすということは、大きく重いバッテリーをたくさん積むことになり、車重が大幅にアップする。車重のアップは、電費ダウンの大きな要因。日々の走行距離が仮に100㎞以下なのであれば、日々大きく重いバッテリーを搭載し効率が悪い走行をしていることになる。しかも、車両価格もアップする。
そのため、航続距離の判断は難しい。UX300eもできれば、従来の電池容量を54.4kWh、航続距離367㎞の仕様も設定し、ユーザーが自ら自分の使い方に合わせたバッテリー容量を選択できるとよい。ちなみに、改良前のモデルに対して改良後のUX300eは、その他の改良も含め50万円価格アップしている。
ボディ剛性をアップし、走行性能に磨きをかけた
BEVは、床下に大きく頑丈に守られた駆動用バッテリーを搭載する。この頑丈に守られたバッテリーを床下に配置すると、ボディ剛性が結果的にアップする傾向がある。
新型UX300eでは、さらにサイドドア及び、バックドア周辺のボディ開口部のスポット溶接打点を計20点追加し、ボディ剛性を向上。
高剛性化されたボディをベースに、すっきりと奥深い走りの味を熟成すべく、EPSやアブソーバー、ブレーキなどのチューニングを行った。あらゆる走行シーンで減速・操舵・加速がシームレスに繋がる気持ち良さなど、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答を追求した。
やや物足りない予防安全装備
そして、重要な予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティシステム+」もバージョンアップした。
重要な自動ブレーキの検知対象は、昼夜の歩行者と昼間の自転車。さらに、より現実的な事故パターンに対応するため、交差点内での検知能力も向上。右左折時の対向歩行者、右折時の対向車を検知。衝突回避・被害軽減が可能となった。ドライバーの操舵をきっかけに、車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援などの機能を追加している。
ただし、最新のバージョンでないのが残念なポイント。UX300eより大幅に安価な価格のトヨタ シエンタでは、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪まで検知できるようになっている。
とはいえ、UX300eの「レクサスセーフティシステム+」の実力は、他の国産メーカーの予防安全装備に比べるとやや高いレベルにある。
また、高級ブランドながら、ローテクな予防安全装備がオプション設定となっているのも微妙な部分。車線変更時など、後側方から接近する車両を検知し警報を発するブラインドスポットモニター、後退時に後方左右から接近する車両を検知し警報を発するパーキングサポートブレーキ前後方静止物+後方接近車両は、オプション設定だ。もはや、ローテク装備で、日々使う頻度の高い装備なので標準装備化が望ましい。
さらに、カメラの映像を合成して、俯瞰からみた映像に変換するなどし死角を無くしうっかり衝突などを回避できるパノラミックビューモニターもオプション装備となった。パノラミックビューモニターには、過去に撮影した路面の映像を車両直下に合成表示。車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助する床下透過表示機能を追加し利便性を向上している。
より、快適&便利になったコネクティッドサービス
マルチメディアシステム、コネクティッドサービスも刷新された。ディスプレイは、12.3インチタッチディスプレイへ大型化。視認性や使い勝手を向上した。マルチメディアシステムとコネクティッドサービスの機能は以下の通り。
・直感的な使いやすさを追求した最新のマルチメディアシステムを搭載。ナビや音楽、車両設定などの各種メニューの選択スイッチを運転席側に常時アイコンで表示することで優れたアクセス性を実現するとともに、画面全体のレイアウトも最適化し、操作フローを統一し使いやすさにこだわった。
・クラウド上の地図情報を活用。交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。さらに、従来の車載ナビとコネクティッドナビを組み合わせたハイブリッド型のナビゲーションを採用した。
・最新の音声認識機能は、ステアリングのトークスイッチ操作による起動に加え、ディスプレイのマイクアイコン操作や音声による起動を可能とした。あらかじめ設定された起動ワード(例 : Hey Lexus!など)を発話することで、スイッチ操作や再生中の音楽停止をすることなく、音声認識機能の起動が可能。さらにクルマと会話するような自然な発話での操作にも対応している。
・iPhoneやAndroidデバイスの専用機能を車載機ディスプレイにて使用する、Apple CarPlay、Android Autoを設定。Apple CarPlayは、従来のUSB接続に加え、「Wi-Fi」による無線接続にも対応。
・DCM(Data Communication Module)を活用したインターネット接続により、Webサイト(ニュースやブログ、ストリーミング音楽、YouTube動画など)を閲覧することができるWebブラウザー機能を設定した。
・「マイセッティング機能」では、Bluetooth機器(スマートフォンなど)に紐づけてナビやオーディオなどのマルチメディアシステムの個人設定を車両に登録することが可能。また、G-Link契約中は、マルチメディア設定がデータセンターに格納され、別の車両でも利用することができる。
・「My LEXUS」により、スマートフォンでクルマの電池残量と航続距離の確認が可能。さらに、乗車前にエアコンを作動させておけるリモートエアコンなどのサービスも利用できる。「マイカー始動ロック」では、「My LEXUS」からの操作により任意の期間においてクルマのEVシステムの始動を停止することが可能。夜間や長期の旅行・出張等の際に利用でき、クルマを使わない時間のセキュリティを高めることができる。
・DCMによる無線通信でソフトウェアの更新が可能となるOTAソフトウェアアップデート機能を採用。マルチメディアの表示内容や操作性の改善に加え、新機能の追加や性能向上などを行うことができる。
レクサスUX300eの後悔や失敗しないグレード選び
レクサスUX300eのグレード選びは2グレード設定なので、必要な装備でグレードが決まる。バージョンCとバージョンLの価格差は55万円。大きな装備差は、3眼LEDヘッドライト、ハンズフリーパワーバックドア、18インチアルミホイール、本革シート、アダプティブハイビームシステム、ヘッドランプクリーナーなど。UX300eが、高級車という視点でみれば、ぜひ欲しいアイテムばかり。そうなると、お勧めはバージョンLとなる。予算重視で、乗り潰すのであれば、バージョンCも悪くはない。
リセールバリューもバージョンLの方が高くなると予想できるので、短期の乗換えなら、よりバージョンLがお勧めだ。
ただし、バージョンLで満足できるかというとそうでもない。後側方、後退時車両接近警報であるBSMやPKSB+後方接近車両、パノラミックビューモニターは安全面で必須といえるオプション。
デジタルキーやムーンルーフ、置くだけ充電、カラーヘッドアップディスプレイなどは、好みで選ぶとよい。
ただ、こうした装備をオプション選択すると、車両価格は楽々700万円以上となる。そうなると、トヨタブランドだが、1クラス上のbz4Xや日産アリアなどもターゲットになる。こうした車種と比較、検討してみるのもよい。
レクサスUX300e価格
・UX300e “version C” (FF) 6,300,000円
・UX300e“version L” 6,850,000
レクサスUX300e航続距離、ボディサイズなどスペック
代表グレード:レクサスUX300e Version L
ボディサイズ[mm]: 4,495×1,840×1,540
ホイールベース[mm]: 2,640
最低地上高[mm]: 140
最小回転半径[m]: 5.2
車両重量[kg]: 1,820
フロントモーター最高出力[kw(ps)]: 150(203)
フロントモーター最大トルク[N・m(kg-m)]:300(30.5)
駆動方式:前輪駆動
一充電走行距離WLTCモード[km]: 512
交流電力量消費率(電費)[Wh/km] 141 (約7.0㎞/kWh)
バッテリー 種類:リチウムイオン
総容量[kWh] 72.8
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
タイヤサイズ前:後:225/50R18
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