新型マツダ アテンザ 20S/25S(ガソリン車)試乗評価 クリーンディーゼルばかりが注目されるが、ガソリン車も侮れなり実力! 

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【マツダ】2013/03/11

 

■ワゴンとセダン、異なるボディサイズをもつ新型マツダ アテンザ

新型マツダ アテンザ 20S/25S

 新型マツダ アテンザは、ディーゼル車が良く売れているが、ガソリン車のデキも悪くない。ガソリン車の売れ行きは4分1ほどで、発売当初は2.0L車と2.5L車が同じくらいの比率を占めていた。

ガソリン車は、新型アテンザ ワゴンの20Sとセダンの25S Lパッケージの2台に試乗した。新型アテンザでおもしろいというか変わっているのは、ワゴンよりもセダンのほうがホイールベースが長く、ボディも大きいことだ。

普通なら、セダンをベースに同じサイズか、あるいはボディ後部を延長するか、あるいはボディとホイールベースを延長してワゴンを作るのだが、アテンザは逆にワゴンよりも大きなセダンを作っている。

このことについては、箱根ターンバイクで実施されたプロトタイプ車の試乗会のとき、新型車のセダンとワゴンを見た瞬間に不思議に思ったので、なぜなのかを聞いたのだが、そのときに一時的に混乱したような反応が見られたのは、やはりこの設定が普通ではないからなのだろう。

ワゴンでも十分なラゲッジスペースがあり、バックドアと一緒に開くトノカバーによって使い勝手にも配慮されている。それよりも、大きなセダンが必要なのかどうか。そもそもアテンザでは、全幅が1840mmもあってかなり大きい。セダンではそれに加えて全長も長めに設定されているのだ。

ホイールベースやディが大きいことは、悪いことばかりではない。サイズの拡大によってセダンはワゴン以上にデザイン的な自由度が増し、一段と伸び伸びとしたおおらかなデザインとされている。“魂動デザイン”を具現化できたのはこのサイズだからこそだ。

また、後席にはゆったりした居住空間が確保され、トランク容量もたっぷりだ。ホイールベースが長くなったものの、最小回転半径はわずかに大きくなっただけで5.6mに抑えられているから、この数値は何とか妥協できる。パッケージ全体で見ると良い点のプラスとと悪い点のマイナスとがいろいろある。

新車評価はCORISM

新型マツダ アテンザ 20S/25S
新型マツダ アテンザ 20S/25S
新型マツダ アテンザ 20S/25S
新型マツダ アテンザ 20S/25S

■2.0Lでも不満はない。予算次第だが、余裕のある2.5Lが新型アテンザにふさわしい

新型マツダ アテンザ 20S/25S

 新型マツダ アテンザのガソリン車は、前述の2機種のエンジンが搭載されている。いずれもSKYACTIV-Gのエンジンで、2.5Lはアテンザから搭載が始まったものだ。

最初に試乗したのは、新型アテンザ ワゴンの20S。直噴仕様などによって114kW/198N・mの動力性能を発揮する。大きめのワゴンボディで1450kgの重量があるので、とても良く走るという感じではないものの、特に不満や物足りなさを感じるような動力性能ではなかった。必要十分なレベルと考えていいだろう。

これに対して、2.5Lエンジンはやはり直噴仕様とすることなどによって138kW/250N・mの動力性能を発揮する。こちらは動力性能にも余裕がある。装備の違いなどで2.0L車に対して20kgほど重くなるが、この程度の重量増は全く関係ない。動力性能の向上幅のほうがずっと大きいからだ。

2.5Lエンジンは吹き上がりのスムーズさや排気量の拡大によるトルク感など、2.0Lに比べると格段に良く走るクルマという印象になる。20Sと25S Lパッケージでは50万円もの価格差があるので簡単ではないが、余裕があるなら25S Lパッケージを選びたい。新型アテンザのボディに対しては2.5L車のほうが良くマッチしていると思う。

新型マツダ アテンザ 20S/25S
新型マツダ アテンザ 20S/25S
新型マツダ アテンザ 20S/25S

■19インチはカッコイイが、乗り心地を重視するなら17インチがおすすめ

マツダ アテンザ 20S/25S

 新型アテンザの試乗車には、オプションのBOSEサウンドシステムが装備されていて、これには心地よいエンジンサウンドを演出する機能も備えられている。余分なノイズをキャンセルするだけでなく、エンジン音を補完する音を積極的にスピーカーから出す仕組みだ。

これによって、徹底して静粛性を追求するのとは違う運転する気分を高めるサウンドが聞けるのだ。

本当なら、そのようなことをしなくても自然に気持ちの良いサウンドの出るエンジンを作るべきなのだが、BOSEのシステムによってアテンザの走りが楽しさを増してた面があるのは確かだ。

アテンザ20Sには17インチタイヤが、また25S Lパッケージには19インチタイヤが装着されていた。ディーゼル車も同じだが、タイヤの違いによる乗り心地の違いが大きく感じられた。路面によって印象が変わる部分があるものの、19インチタイヤの乗り心地は快適性の観点から見るとちょっと厳しい。このサイズのセダンに乗るユーザーには、快適性の高さを求める人が多いと思う。

19インチタイヤの装着車は、レスオプションの形でタイヤを17インチに変えることができる。もちろん17インチタイヤ装着車のタイヤを19インチに変えることもできる。これを利用して25S Lパッケージに17インチタイヤを装着しても良いのではないか。実際に、この仕様に乗っていないので断言しにくい面があるが、19インチが硬すぎるのは確かだ。

マツダ アテンザ 20S/25S
マツダ アテンザ 20S/25S
マツダ アテンザ 20S/25S
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■ディーゼル車との価格差は、40万円もある。これだけ差額が大きいと、ガソリン車を選ぶ価値もある

 新型アテンザのガソリン車は、20Sと25S Lパッケージで50万円の価格差があるのは前に書いた通り。ディーゼル車と比較するとXDに対して20Sが、またXD Lパッケージに対して25S Lパッケージが40万円安い設定とされている。

ディーゼル車の圧倒的なトルクは魅力的なものだが、40万円の価格差(ディーゼル補助金によって実際は縮小する)があることを考えると、ガソリン車を選ぶ意味もある。

面白いのはセダンとワゴンが、同じ価格に設定されていることだ。これはガソリン車でもディーゼル車でも同じで、グレードが同じなら価格も同じに設定されている。普通なら、セダンに対してワゴンは、ボディ代として10万〜20万円くらい高くなるのが普通だが、セダンよりも小さいワゴンに、セダンより高い価格を設定するわけにはいかなかったようだ。

■新型マツダ アテンザ 価格、燃費、スペックなど

<新型マツダ アテンザ販売予定価格>
■セダン
・20S SKYACTIV-G 2.0 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,500,000円
・25SL Package SKYACTIV-G 2.5 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,000,000円
・XD(クロスディー) SKYACTIV-D 2.2 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,900,000円 SKYACTIV-MT(6MT) 3,026,000円
・XD L Package SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,400,000円
■ワゴン
・20S SKYACTIV-G 2.0 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,500,000円
・25S L Package SKYACTIV-G 2.5 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,000,000円
・XD(クロスディー) SKYACTIV-D 2.2 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,900,000円SKYACTIV-MT(6MT) 3,026,000円
・XD L Package SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,400,000円

 

 

 

代表グレード マツダ アテンザ ワゴン20S
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,800×1,840×1,480mm
ホイールベース[mm] 2,750mm
トレッド前/後[mm] 1,585/1,575mm
車両重量[kg] 1,450
総排気量[cc] 1,997cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 114(155)/6,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 196(20.0)/4,000
ミッション 6AT
タイヤサイズ 225/55R17
JC08モード燃費 17.4km/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 2,500,000円
発売日 2012年11月20日
レポート 松下 宏
写真 編集部

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