曖昧になってきたセダンとSUVの境界線。あのクルマも・・・
世界的大ブームになっているSUV。しかし、その一方で大きく人気を失っているのがセダンだ。日本では、セダンの代名詞といえる存在だったトヨタ クラウンも、ついにSUV化している。
クラウンクロスオーバーのように、よりセダンに近いロールーフタイプも発売された。シトロエンのC5Xも同様な死タイルをもつ。
クラウンクロスオーバーも言われなければ、4ドアクーペ的にも見える。こうなると、もはやSUVとセダンの境界線も曖昧。
そこで、今回はSUVとセダンの違いや特徴、お勧めを解説する。
そもそも、SUVってなに? 「セダンとオフローダーの良いとこどり」
SUVとは「S(スポーツ)・U(ユーティリティ)・V(ビークル)」の略称だ。直訳すると、「スポーツなどに役立つ乗り物」になる。多目的スポーツ車とも表現されることも多い。
少々分かりにくいのだが、端的にまとめると、SUVは「セダンとオフローダーの良いとこどり」したクルマだ。
荷物をたくさん積めて悪路が走れるオフローダーは、頑強さが重要視される。採用されているプラットフォーム(車台)は、主にトラックなどと同じラダーフレームが使われている。
頑強なフレームの上にボディが載せられているイメージだ。そのため、ボディ歪んだりしても、走行できなくなることも少なく、過酷な悪路にも強いし修理も容易だ。
ただし、悪路走破性は高いものの、車重が重く燃費は悪い。さらに、乗り心地や静粛性も物足りなかった。
反対に多くのSUVに使われているモノコックボディは、過酷な悪路でボディが歪んだりすると走行ができなくなり、修理が難しい。その代わり、乗り心地や静粛性、燃費などに優れる。
【SUVの例:初代レクサスRX】
そこでレクサスは、セダンであるカムリのプラットフォームを使い、オフローダーのようなルックスと走行性能をもつ初代RXを開発した。快適な乗り心地と、悪路もそれなりに走れるということで大ヒットを記録。現在のようなSUVのパイオニア的存在となった。
セダンとは? 「バランスの取れた無難な形と走行性能」
セダンは、3BOXとも呼ばれることがある。エンジンルーム、居住スペース、トランクと独立した3つの空間を合体させているからだ。こうしたカタチをベースに、セダンは一部の例外を除きドアが4つあることが基本となる。
自動車の歴史の中で、セダンは長い間主流だった。その理由は、多くの人を満足させる使い勝手やバランスの取れた走行性能だろう。
セダンは居住スペースとトランクが別スペースなので、静寂性が高い。というのも、騒音の発生源や他の騒音が侵入する部分であるリヤサスペンション回りを、トランクルームに配置しているからだ。居住スペースに騒音が入りにいため、静粛性が高まっている。
また、適度な全高のため、重心高も低めを維持でき運動性能も高い。カーブでも安定した姿勢で走行が可能だ。
SUV、最近の傾向は? なと、続きをcar-topicsで見る
一般的なSUVとセダンの特徴比較イメージ (5点満点)
車種によりやや違いもあるものの、SUVとセダンの特徴は下記のような得点配分になる。それぞれ得意・不得意があるため、「SUVが流行っているから」という理由だけで選ぶと、自分が望むニーズとズレてしまうこともあるので注意が必要だ。
操縦安定性
SUV 3
セダン 4
操縦安定性は、背が高いSUVは重心高が高く不利だ。しかし、最近では全高を低くして操縦安定性を高めたモデルも出てきている。SUVの操縦安定性は、セダンと比べると劣るものの、オフローダーと比べれば、圧倒的に良い。
一部の高級自動車メーカーでは、セダンをベースにしたハイパフォーマンスモデルを多くラインアップしている。それは、スポーツカー並みの優れた走行性能を楽しめ、実用性も担保できるからだ。
悪路走破性
SUV 4
セダン 2
悪路走破性の指標となるのは最低地上高だ。180mm前後の車種が多い中、一部のSUVとオフローダー系は220mmを超える。SUVは、オフローダーほどの悪路走破性とタフネスさは期待できない。
しかし、十分な最低地上高と4WDの組み合わせであれば、セダンでは入っていけないようなオフロード走行も可能だ。SUVの中でも、オフロードを得意とするタイプとオンロード重視タイプに分かれる傾向が明確に出てきている。
静粛性
SUV 3
セダン 5
セダンは、荷室と居住スペースが分かれている。そのため、リヤサスペンションからの音は居住スペースに入りにくく、静粛性は圧倒的にセダンが勝る。高級車の多くがセダンであることも、こうした静粛性の高さにメリットがあるからだ。
乗り心地
SUV 4
セダン 5
SUVの乗り心地は、オフローダーと比べると圧倒的によい。最近では、さらに乗り心地を重視したモデルが続々と投入されている。
SUVはセダンと比べると、ボディが重く大径タイヤを履く。そのためセダンと比べると多少ドタバタした乗り味になりやすい傾向にあった。しかし、その差も、最近ではかなり小さくなってきている。
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積載性&使い勝手
SUV 4
セダン 3
荷室容量は、SUVが有利だ。セダンは、箱型になってしまいどうしても上部のスペースが限られる。
しかし、ハッチゲートタイプのSUVは上方のスペースも使えるので、よりたくさんの荷物が積める。
また、セダンの場合、トランクスルーの機能が無い車種も多く長尺物の積載など不便に感じる。
SUVの中でも、デザイン優先のモデルなどでは、荷室が少し狭くなっているので注意が必要だ。
燃費
SUV 2
セダン 4
SUVは背が高い分、車重も重くなる。セダンと同じエンジンであれば、車重が重い分、燃費は悪くなる。
動力性能面でも同様だ。同じ出力のエンジンであれば、車重が軽いセダンの方が力強く感じる。
運転のしやすさ
SUV 4
セダン 3
SUVは着座位置が高く、車両をやや上部から見ることができるので、セダンよりやや死角が少ない。また、見晴らしもよいので街中で走っていてもあまり圧迫感がない。乗り降りも良好だ。
ただし、SUVはより迫力あるスタイリングにするため、ボディサイズがやや大きい。とくに、全幅が拡大傾向にある。中型のSUVになると全幅1,800mmを楽々超えるモデルが多く、狭い道が多い日本ではやや気を使う。また、大径ホイールを履くため、小回りも少々苦手だ。
<レポート:大岡智彦>
セダンの代わりに選ばれるようになった?
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