モビリティの過去、現在、未来「東京モーターショー2019」

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【イベント・モーターショー】2019/11/02

東京モーターショー2019

 

目立つコンセプトカーが少ない?

東京モーターショー2019
「FUTURE EXPO」会場には、コンセプトカーなども展示された

今年の東京モーターショーのテーマは”OPEN FUTURE“。「ひらけ、みらい」という割には、絶対に市販されないけどめちゃくちゃえげつなかったり、かっこよかったり、へんてこだったり、という自動車の出展は、かつてよりかなり少なくなりました。しかし、今年のモーターショーはそんなことよりも、もっとへんてこなことがあったのです!

 

 

クルマが無いトヨタブース

超小型EV
2020年冬頃に発売が予定されている「超小型EV」。1回の充電で約100㎞の走行が可能。シティコミューター的使い方を目的としたEVだ。

トヨタのプレスブリーフィング、モリゾー社長のアニメが出てきていろいろ説明していると思ったその矢先、本物のモリゾーこと豊田章男社長が登場! そして、のたまった言葉が!

「来年出てくるクルマは、ここにはありません。(ミライ、ヤリスなど)間もなく出てくるクルマは、この近くの会場にありますので、そちらでご覧ください!」

なにーーー、と叫びそうになりましたが、何とか自制しました。章男社長は、「自動車業界は100年に1度の大変革の時代」「モビリティとは何かをゼロベースで考える」といったことをずっとおっしゃっており、その長期的視点を今回のモーターショーに持ち込んだまでに過ぎないのです。

東京モーターショー2019豊田章男

豊田章男社長のプレゼンに感服!

トヨタe-RACER
未来の「Fun to Drive」を代表するモビリティとして登場したトヨタe-RACER。専用のデジタルグラスを装着すれば、走行シーンを現実世界に重ね合わせられる。

その後もモリゾーワールド全開! すべてを記載すると長くなるので「超要約」すると「モビリティは、人の心に寄り添うものでなくてはならない」。

その一方で「人の心を動かすためには”FUN TO DRIVE“も必要」、との2つのことをプレゼンされたと筆者は理解しました。

このプレゼンは、聴く者の心を打つものであり、さすが製造業世界最大手のトヨタ様、と感服いたしました。

しかし、ひねくれものの筆者は、こうも思いました。「これ、例えばマツダやスバルの社長がおんなじプレゼンしたら同じ共感は得られないだろうなあ、章男社長だからできる芸当だろうなあ…」と。

そんなわけで、章男社長のプレゼンのとおり「未来のモビリティ」を考えるのがテーマの今回のモーターショーですが、未来の話だけでなく、過去と現在のことも織り交ぜたレポートといたします。

https://youtu.be/UrlMbhnw3pg

 

 

ワゴン? それともクーペ? 自在に変化するスズキ WAKUSUPO

スズキ WAKUスポ(ワクスポ)まず未来のクルマなのに、温故知新を感じさせるお話から。

スズキのステージに社長がコンセプトカーとポーズをとっていらっしゃいましたので写真撮っていると、ン、何か形変わった?

ワゴンだったのに、1周しているうちにクーペルックに変わってる!クーペにもワゴンにもなるスズキのコンセプトカー、WAKUSUPOです。

スズキ WAKUスポ(ワクスポ)昔、クーペに屋根を付けるとワゴンに変わる日産エクサがありました。また、デザインは、かつてのスズキのX-90も思い起こされます。両車とも販売的に成功したとはとても言えませんでしたが…。今回モーターショーでステージの真ん中に、このコンセプトカーを据え置いたスズキの戦略やいかに??

スズキ WAKUスポ(ワクスポ)
スズキ WAKUスポ(ワクスポ)は、世代を超えて色々な使い方を1台で楽しめるパーソナルコンパクトPHEV。Aセグメントのコンパクトボディーに、車体形状、フロントマスク、インテリア表示コンテンツを切り替えるワクワクスイッチを搭載し、姿ををかえる不思議なコンパクトカー。人それぞれの楽しさ、ワクワクに応えてクルマが変化し、みんなで共有できる未来の「小さなクルマ」を提案。

 

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WAKUSUPOのコンセプトとは? 歴史は繰り返す?

スズキ WAKUスポ(ワクスポ)近くにいたスズキ社員の方に声をかけたところ、なんとたまたまWAKUSUPOのデザイナーの方でした! 20代後半と思われるイケメンデザイナーに、端的に「このクルマのコンセプトやいかに?」と尋ねました。

「ワゴンの積載性が高さも持ち合わせつつ、荷物を載せず2人での移動する際はクーペにすることで、見た目のかっこよさも大事だと思っている50代~60代の方をターゲットにデザインしました」とのこと!

すごい! 過去の失敗、もとい、過去にそんなコンセプトのクルマがあったことを知らない世代のデザイナーが、未来の社会を見据えて再構築したクルマだったとは! 因果応報、輪廻転生、世の中はぐるぐると周り、歴史は繰り返すのです。

それにしても、このクルマをモーターショーに送り出した先輩社員の皆様の頭も柔らかいと感心。結果的に、X-90 は四半世紀も生まれるのが早かったということでしょうか。もしかしたら上司がX-90のかつての担当者だったりして。

スズキ WAKUスポ(ワクスポ)

マツダは量産EV、MX-30推し!

マツダMX-30続いて、現在の最新のクルマのお話を1つ。マツダは量産EVを公開しました。その名もMX-30。CX-30と区別がつかず、取り散らかしてしまいそうなのは私だけでしょうか。何はともあれ、正真正銘、世界初公開のクルマです。

マツダのプレゼンもなかなかで、丸本社長のイントロダクションの後、MX-30の開発主査である竹内都美子氏がこのクルマの魅力をプレゼンテーション。トヨタとは正反対に一貫して新型車推しなのがマツダらしく潔いです。

マツダMX-30

来年早々、欧州で発売を開始するMX-30

マツダMX-30
マツダMX-30の電池容量は、意外と少なく35.5kWh 程度とみられ、航続距離は200㎞前後と予想されている。

デザインについては「従来のCXシリーズと一線を画したデザインでありながら、マツダのアイデンティティを生かしている」というのが筆者の評価です。

マツダデザインの中では、柔らかい線で構成されているのが特徴で、いわゆる「ドイツ車的でない」のもかえって欧州で受けるかもしれません。

その欧州では、本日より予約を開始、来年早々には販売も開始するとのことです。ヨーロッパでのマツダの評価は上昇中でありますが、マツダ初のEVが市場でどのように評価されるのか興味津々です。そして早期の日本での発売も期待したいところですね。

マツダMX-30

マツダMX-30

 

 

見せ方の上手いホンダブース

東京モーターショー2019さて、最後に過去のお話。展示方法は各社工夫を凝らしておりますが、「見せ方」の視点から言えばホンダブースがピカイチでした。

例えばこの写真。雑誌の表紙を思わせますが、これがCBの歴史を取り扱った展示の入り口なのです!

中はこんな感じ。時代とともにホンダ二輪の強さに熱狂した皆様にとっては、至福の場所でしょう。

このスペースのすぐ横には、F1をはじめとしたホンダ四輪レーシングの歴史が展示されており、これもモータースポーツファンにとってはたまりません。なんといっても、今年はホンダF1が初めてパワーユニットで勝利した年です。F1ブームも陰りつつある昨今ですが、この展示を見てホンダへの熱狂が再来するかもしれませんよ。

<レポート:北澤淳一>

ホンダe
電動化を進める八郷隆弘 社長。2020年発売予定のEV、ホンダeと電動スクーターBENLY e:(ベンリィ イー)。

東京モーターショー2019 ホンダ2輪

 

 

 

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