【日産 キューブ 試乗記】日本を代表する”癒し系”が世界中を癒します

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【日産】2009/01/19

 

キューブらしい四角い個性的なデザインをそのまま受け継いだ

日産 キューブ エンブレム
 2008年11月にデビューしたキューブは完全にキープコンセプトで作られた。今回のモデルは3代目に当たるが、キューブといえば今までの2代目モデルのイメージが強く、名前の通りに四角いクルマという印象を持っている人が多い。そのイメージを継承したのが3代目モデルだ。
クルマの性格としても完全にキープコンセプトで作られた。キューブはきびきびしたスポーティな走りなどとは無縁のクルマ作りがなされていて、デザインだけでなくクルマを運転してもほのぼのとした気分になれるところがあった。今回のキューブでピースフル・キューブというキャッチフレーズが使われているのは、そうしたコンセプトを継承したことを意味している。

日産 キューブ フロント

従来からの四角いデザインを受け継いだエクステリア。わずかに丸みを持たせることでほのぼのした雰囲気を感じさせてくれる。

日産 キューブ リヤ

左右非対称のリヤゲートは新型でも採用されている。荷物の積み下ろしのしやすさと後方視界の良さを両立させたデザインだ。

日産 キューブ フロントマスク

従来モデルよりも横長になったヘッドライトは四角い中にも丸みを帯びた個性的なデザイン。キューブらしさを残しつつ、新鮮さをプラスすることに成功している。

四角い中にも丸さを取り入れた新デザインに注目!

日産 キューブ リヤビュー
 従来のモデルには3列シートのキューブ キュービックの設定があったが、今回は設定がなく、将来的にもラインナップされる予定はないとのこと。キューブ キュービックには全長が4mを切る3列シート車という特徴を持っていたものの、さすがにサイズ的にも無理があった。
外観デザインはこれまでの角張ったデザインを継承するとともに、とがった部分を面取りして角を落とし、四角い中にも丸さのあるデザインとされた。リヤ部分が左右非対称で作られているのは今回のモデルも同じで、これはキューブにしかない独特の個性を表現した部分であると評価していい。
日産 キューブ リヤコンビランプ
日産 キューブ ライダー フロント
日産 キューブ ライダー リヤ
リヤコンビランプはバンパー部分に埋め込まれている。リヤゲートの形状のせいもあるのだろうが、位置が低いので視認性などの安全面を考えるともう少し高い位置にあった方がいいだろう。また、オーテックのカスタマイズカーであるライダーも設定される。専用の前後エアロやフロントグリル、そして大径(16インチ)ホイールやマフラーなどを装備している。インテリアも専用ステアリングやシート地を採用し、標準車との差別化を図っている。

滑らかな曲線を多用したくつろげるインテリア

日産 キューブ インテリア
 インテリア回りの雰囲気も全体にほのぼのとしたピースフル・キューブらしさにあふれている。インテリア全体がジャグジー状というか繭状の柔らかなラインで包まれたようにデザインされていて、自然になじんでくる感じある。インパネやシートなど滑らかなカーブを描いたデザインが採用されていて、リラックスできる雰囲気が演出されている。
インテリアのデザインキーとされているのが水面に水滴が落ちたときに広がる波紋で、これが天井を始めとして室内の 20カ所ほどに配置されている。
ボディカラーは10色が用意され、その中にはイメージカラーとされた段ボールの色もある。3色のインテリアカラーが用意されるのはコンパクトカーとしては珍しい例で、ルーフにSHOJIシェードと呼ぶ直射日光を遮断して優しく明るさを取り入れる仕様もオプションで用意されている。

日産 キューブ インテリア

水滴が水面に落ちたときの波紋をイメージした曲線を取り入れたデザインが非常に印象的。視界も良く狭い道での取り回しも楽にできる。

日産 キューブ フロントシート

インテリアカラーは写真のラウンジブラウンを始め3種類用意される。かけ心地はソフトで非常に快適で、小物類の収納スペースも充実している。

日産 キューブ リヤシート

ボディサイズとホイールベースが拡大されたおかげで、リヤシートのスペースにはかなり余裕が生まれた。また世界戦略モデルだけに、定員分の3点式シートベルトと自立式のバックル、そしてヘッドレストは標準装備となっている

世界戦略車にふさわしい広々した室内空間

日産 キューブ SHOJIシェード
 従来のモデルに比べると全長×全幅×全高の3サイズがすべて拡大され、さらにホイールベースは100mmも延長されているので、室内空間はグンと広くなった。頭上にも肩回りにも足元にもいずれも余裕が生まれている。
後席に座っても頭上や足元に十分な空間があり、広さに不満を感じない。実はキューブは今回のモデルから欧米にも輸出されることになった。そのために欧米人の体格に合わせて室内空間が拡大されたようだ。
日産 キューブ メーター
日産 キューブ ラゲッジ
日産 キューブ ラゲッジ
メーターのデザインはとても個性的で可愛らしいもの。平均燃費の表示は中央の見やすい位置にあり好感が持てる。ラゲッジの広さはコンパクトカーとしては満足できるもの。ただリヤシートを収納しても大きな段差が残ってしまうので、不便だと感じる場面もあるかもしれない。

日産 キューブ 走り

緻密な制御のCVTによる滑らかで自然な走りが魅力だ

 今回のキューブではパワートレーンは1種類だけになった。搭載エンジンは1.5リッターのHR15DE型で、アダプティブシフトコントロールという新しい制御の加わったエクストロニックCVTが組み合わされている。FFが基本でe-4WDの設定もある。
ボディがやや大きくなったので車両重量は増加したが、1.5リッターエンジンが発生する109ps(80kW)/15.1kg-m(148N・m)のパワー&トルクは十分なもの。軽くアクセルを踏み込むだけでスムーズに走り出し、その後も走行状況に応じて必要な変速比が滑らかに選択されるので、何のストレスを感じることもなく走らせることができる。
CVTに追加されたアダプティブシフトコントロールは、ごく自然に働くので具体的にどのように機能しているかを感じ取ることはできないが、全体としてごく自然な走りのフィールが得られることが、この機能の良さを証明していると評価しよう。
 日産 キューブ 1.5リッターエンジン
日産 キューブ 15インチタイヤ&ホイールキャップ
日産 キューブ 16インチタイヤ&アルミホイール
新型キューブに搭載されるエンジンは1.5リッター直4のみ。カタログ数値的にはたいしたことはないが、軽くアクセルを踏むだけでストレスのない加速が味わえる。最上級グレードの15G(写真右)は16インチのアルミホイールが標準装備。その他のグレードは15インチタイヤ&ホイールキャップとなる。どちらの仕様を選んでも静粛性の高さと快適な乗り心地が味わえる。

コンパクトカーの水準を凌ぐ静かさと乗り心地

 主に街中と一部首都高を走らせて感じたのは、静かさと乗り心地の良さだった。従来のモデルは筑波の市街地や郊外路で走らせたが、そのときにはまだ騒音や振動のレベルはいかにもコンパクトカーという水準にあった。それに比べると新しいキューブは格段に騒音や振動のレベルが低減されていて、心地好い走りが得られるようになった。
このほか、ボディサイズやホイールベースが拡大された割に、最小回転半径は4.6mと小さく抑えられていて、小回り性能に優れることも評価できるポイント。試乗中に確認するようなシーンには至らなかったが、横滑り防止装置のVDCがFF全車でオプション装着できるようになり、後席の中央にも3点式シートベルトが装備されたのも評価できる。強いていえば、SRSサイドエアバッグの設定が一部に絞られていることが課題か。
日産 キューブ シフトレバー
日産 キューブ 走り
日産 キューブ 走り
ミッションは4WDも含めて全車CVTとなる。アダプティブシフトコントロールという新しい制御を取り入れ、滑らかで自然な走行フィールと低燃費を実現した。エンジンは十分な動力性能を発揮するのでスムーズな走りが楽しめる。またCVTは緻密な制御をすることで、滑らかで気持ちのいい走りと低燃費を両立させている。さらに注目なのはコンパクトカーの水準を超える静粛性の高さと乗り心地の良さだ。

代表グレード 日産 キューブ 15X
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3890×1695×1650mm
車両重量[kg] 1180kg
総排気量[cc] 1498cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 109ps(80kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 15.1kg-m(148N・m)/4400rpm
ミッション CVT
10・15モード燃費[km/l] 19.2km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 153.3万円
発売日 2008/11/19
レポート 松下宏
写真 佐藤靖彦

(レポート:松下 宏

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