軽自動車のド真ん中にチャレンジするホンダの戦略車がNワゴン
ホンダ は2011年に発売した N BOX を大ヒットさせた後、N BOX+ 、N-ONE を投入し、軽自動車市場での存在感を高めてきた。2013年の新車販売ランキングでは、N BOXが軽自動車で首位を確保したのだから凄い。
そして、今回はさらに、軽自動車市場のど真ん中にあるボリュームゾーンに向けて、新型ホンダN-WGN(エヌワゴン)/N-WGNカスタムを投入した。
新型ホンダNワゴン(N-WGN)は、いわゆるハイトワゴンのジャンルに入る軽自動車で、全高の高さはN BOXとN-ONEの中間というか、N-ONEに近い。サイズ的に見ると似たようなクルマだが、N-ONEがパーソナル性やプレミアム性を訴求したクルマであるのに対し、Nワゴンは広さ、見た目の立派さ、利便性、快適性、経済性、安全性など、軽自動車に求められる要素をすべて満たす欲張りなクルマを目指して開発された。
プレミアム性に特化したN-ONEに対し、総合的なバランスの良さを追求したのがN-WGNと考えたら良い。N-ONEは大量に売れるクルマではないが、Nワゴンは量販モデルである。
センタータンクレイアウトの低床プラットフォームで、クラストップレベルの居住空間を生み出した
ホンダNワゴンも最近の軽自動車の例に漏れず、外観の仕様は標準系とカスタム系の2種類が用意されている。いずれもリヤビューに特徴があり、テールランプが上下左右に広がっていくイメージでデザインされている。これは、夜間にライトを点灯させるとそれが良く分かる。
インテリアは、左右に広がるインパネの造形が広さを感じさせるとともに、質感の高さは並み軽自動車の水準を超えたものとされている。内装の質感ではN-ONEが優れているので、それには及ばないものの、匹敵するくらいの質感がある。
また、カスタム系の主要グレードには、専用のシートや内装の仕上げが施されたクォリティインテリアが標準となる。
基本プラットホームはN BOX以降の軽自動車と共通で、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用した低床プラットホームだ。これをベースに、大人4人がしっかり座れる十分な室内と荷室を両立させた空間設計がなされている。
後席の前後スライドやシートアレンジによって、自在な使い勝手を実現するほか、荷室の床下にはアンダーボックスも設定されている。豊富な収納スペースを持つのは、今どきの軽自動車のお約束ともいえるものだ。
燃費は屈辱の惜敗。しかし、実用性と走りの質で勝負!
今回のNワゴンでは、駆動系の改良が進められた。動力性能の数値は従来と変わらないものの、軽自動車初のツインインジェクションやナトリウム封入バルブを採用することで、燃費性能を大きく向上させている。
軽自動車では、激しい燃費競争が繰り広げられているため、現時点ではワゴンR が燃費で首位に立っている。Nワゴンの数値はワゴンRには届かなかったが、自然吸気エンジンの搭載車で29.2km/L、ターボ車で26.0km/Lを達成した。いずれもエコカー減税で免税対象になる燃費レベルだから、十分に良い数値である。
ホンダとしては、燃費でも軽自動車首位に立ちたいところだったと思うが、スズキはグリーンテクノロジーを採用して頑張っているため、Nワゴンは後出しとなったが、ワゴンRを超えることはできなかった。
燃費の向上は、エンジンだけの改良ではなく、無段変速のCVTの改良やボディの軽量化、空力特性の追求など、いろいろな技術の集大成として達成されたものだ。無理な燃費競争をして走りの質を悪くするより、実際に走らせてどうかということを考えたほうが良い。
Nワゴンには、燃費運転を支援するECONスイッチを備えるほか、メーターの色が変わって燃費運転を促すエコインジケーターも標準となる。アイドリングストップ機構は、ターボ車を含めた全車に標準だ。
高い安全装備のあんしんパッケージの装着車がお勧めだ!
Nワゴンは、駆動系の改良によって走りのフィールも良くなった。ターボ車はもちろん、自然吸気エンジンの搭載車でも低速域から力強いトルクを感じさせるから、市街地走行ではアクセルを踏みすぎることなく交通の流れに乗っていける。柔軟性が高まって、扱いやすいエンジンになった印象だ。
試乗したNワゴン カスタムのG・ターボパッケージには、パドルシフトも装備されていて、ハンドルから手を離すことなくマニュアル車感覚の走りを楽しめる。
足回りも熟成が進んだように感じられた。乗り心地を損なうことなく、しっかりした走りを実現しているからだ。ターボ車とカスタム系のモデルには、フロントにスタビライザーが装着されているため、落ち着きがあって安定感のある足回りとされている。
逆に標準系の試乗車であるG・Aパッケージには、フロイトスタビライザーが装備されていない。そのため柔らかめの乗り心地は良いが、操縦安定性にはやや物足りなさも感じた。ダイハツのように全車標準の方向性で取り組むべきだろう。
この他、走行中の静粛性も軽自動車の中でかなり良いレベルにある。とりわけエンジンの回転数を抑えられるターボ車が、静粛性の面で有利にななっている。
Nワゴンは、装備の充実度も高い。最近話題の自動ブレーキを含むあんしんパッケージは、主要グレードに標準で、ベースグレードにもオプションで用意されている。結果、装着率は80%に近いという。横滑り防止装置のVSAは、ヒルスタートアシスト付きで全車に標準装備される。
快適装備もフルオートエアコンが全車に標準装備され、上級グレードはプラズマクラスター付きになるのを始め、プッシュ式エンジンスタート、高熱線吸収&UVカットガラスなどが全車に標準だ。ディスプレーオーディオとナビ装着用スペシャルパッケージはオプションで用意されている。
初期受注のデータは、標準系のG・Aパッケージ、カスタム系のG・Aパッケージ、同G・ターボパッケージがバランス良く売れている。この3グレードで70%近い比率を占めるとのこと。予算に余裕があるならカスタム系のターボパッケージがお勧めだが、Aパッケージも含めて好みと予算に合わせて選べば良い。あんしんパッケージの装着車を選ぶのは必須の条件だ。
ホンダNワゴン/Nワゴンカスタム価格、燃費、スペックなど
■ホンダNワゴン(N-WGN)価格
G FF 1,131,000円
4WD 1,251,000円
G・Aパッケージ FF 1,250,000円
4WD 1,370,000円
Gターボパッケージ FF 1,350,000円
4WD 1,470,000円
■ホンダNワゴンカスタム(N-WGN Custom)
G FF 1,335,000円
4WD 1,455,000円
G・Aパッケージ FF 1,450,000円
4WD 1,570,000円
Gターボパッケージ FF 1,510,000円
4WD 1,630,000円
代表グレード | ホンダNワゴンG・Aパッケージ FF車 |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3,395×1,475×1,655mm |
ホイールベース[mm] | 2,520mm |
トレッド前/後[mm] | 1,305/1,305 |
車両重量[kg] | 820kg |
総排気量[cc] | 658cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 58PS(43Kw)/7300rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 65(6.6)/4,700rpm |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 155/65R14 |
JC08モード燃費 | 29.2km/L |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 1,250,000円 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 編集部 |
ホンダ Nワゴン標準車画像
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