
大幅に変貌したスタイル。生粋のファンはどう見るのか?
ミーハーで申し訳ないが、フォード・エクスプローラーというと韓流ブームで大人気となったヨン様を思い出す。ヨン様演じる主人公がドラマでエクスプローラーに乗っていたということもあり、ちょっとしたエクスプローラーブームが巻き起こったほど。もし、新型エクスプローラーにヨン様が乗ったのなら間違いなく驚くに違いない。それほど、新型エクスプローラーは劇的に変身したのだ。
エクスプローラーは、いかにもタフなオフローダー的だった。ワイルドなイメージだから、キャンプなどのアウトドアやサーフィンにスキーといったスポーツとの相性も抜群。クルマが汚れるのは当たり前。ガンガン使い倒してナンボ。そんな自由で力強いライフスタイルにジャストフィットしていた。
ところがだ。もはや、新型エクスプローラーに、そんな泥臭さは一切感じない。もはや、流行りのSUV。洗練されたスタイルは、土の上からアスファルトへ走る場所を変えたと思わせる。フォード自らも、20年にわたる歴史の中でモダンに生まれ変わったというほどだ。生粋のエクスプローラーファンにとっては、少々残念なモデルチェンジかもしれない。

トラックから決別! モノコックボディを手に入れて、静粛性や乗り心地も快適になった
スタイル同様、走りや居住性、燃費までも大きく進化した。今までのエクスプローラーは、ラダーフレームというボディ構造を持つ。つまり、トラックと一緒。はしご状のフレームの上ボディが乗るタイプ。これまでのエクスプローラーは、そういった経緯もあって乗り心地や静粛性、操縦安定性はトラックな雰囲気。安く作れるという利点を優先してきた。ところが、モノコックボディをもつSUVがアメリカ以外からドンドン入ってくると、太刀打ちできなくなり、新型エクスプローラーではようやくモノコックボディの採用となった。その恩恵で、静粛性は抜群によくなった。ゆったりとした乗り心地も含め、快適そのもの。エンジン音もわずかに聞こえてくる程度。十分に高級車といえるレベルと評価したい。
その走りは、もう、ヨン様もビックリ。スタイルも走りも旧エクスプローラーとは、まったくの別物。車重が2170kg、全長5020mm×全幅2000mm×全高1805mmという、日本では完全にもてあましてしまう巨大な物体だが、ボディサイズ以外は意外と軽快。エンジンは3.5リッターのV6。今までのV8エンジンで低速トルクにモノを言わせグイグイ走るというものではなく、あくまで乗用車的。少々、低速トルクが重量に対して不足気味に感じたが、6速ATもスムース。巨体をスルスルと走らせる。
燃費志向に対応する2リッターターボ仕様もあり?
ハンドリングも素直。道幅さえ気にならなければ、峠道も結構楽しめる。この巨大なボディで4WDなのに最小回転半径は、5.8mとなかなか優秀。日産ムラーノ350XVなどは、ひと回り小さいのに最小回転半径は5.9m。そういう意味では、アメ車もやるようになったというべきか。しかし、燃費は今一歩。10・15モードで7.6km/l。もう少し軽量化するとか、アイドリングストップ機能を付けるなどが必要かもしれない。今後、2リッターターボ付きの低燃費エンジンがラインアップされるというから、燃費志向の人はこちらを待つといいだろう。
オフロード性能は、テレインマネージメントシステムと呼ばれる4WD機能を備える。これは、ランドローバーなどとよく似ているシステム。センターコンソールにあるダイヤルには、サンド、マッド&ラット、スノー、ノーマルがあり、路面状況に合わせて選択すると、最適なトラクションを発揮してくれる。また、急坂を降りるときにブレーキをロックさせず車速をコントロールし安全に走行できるヒルディセントコントロール機能も装備されるので、4WD機能に不満はないと高評価だ。
高級車のようなインテリア
インテリアに関しては、まさにタフとかワイルドといった表現がまったく当てはまらないほど、洗練されていてクールだ。アナログとデジタルが融合したメーターには、とくにシビれた。中央にアナログメーターを配置し、左右に4.2インチの液晶ディスプレーを設置。燃費計やトリップメーター、タコメーターに変化する車両情報系は左。携帯電話やオーディオ、エアコン関連が右のディスプレーに表示される。見やすさも抜群だが、高級感もあり、再び、これがエクスプローラーなのか? と、思ってしまった。
センターコンソールにある大きなモニターは、ナビのように見えるかもしれない。これはマイ・フォード・タッチと呼ばれる空調やオーディオなどを制御するモニター。アメリカ製らしいといえばそれで終わりだが、すべてタッチパネルで操作ができる。使いやすといえば使いやすのだが、ナビが無いのが大きな問題。
日本仕様なら、左ハンドルしかないのは困る
ナビが装着されていないことや、左ハンドルしか設定がないことも含め、フォードの日本市場に対する考え方には疑問を感じる。これだけ大きなクルマを日本で乗るとなると、左ハンドルだとかなり不便なことになる。また、右折時に対向車が見にくいなど、安全面に対してもハンデを背負う。大切なのは、エクスプローラーがいいと思っても、左ハンドルしかない不便さで諦めてしまう人がいるかもしれないということだ。フォード側の理屈では、もう少し販売台数が伸びれば、ちゃんとした日本仕様を作ってもいいという話らしいが、そもそも考え方が逆。売る国に合わせてクルマを作ることが基本だ。日本メーカーが北米でどれだけ、マーケットの意見を吸い上げ、それに合わせてクルマを作ってきたか、知らないわけではないだろうに。と、思うのだ。逆にいえば、本国のフォードは日本マーケットなど、どうでもいいという姿勢なのかもしれない。
さて、エクスプローラーにはXLT(440万円)とリミテッド(530万円)の2グレードが用意される。グレードの差は、主に豪華&快適装備の差。リミテッドには、本革シートやデュアルパネルサンルーフ、パワーリフトゲートなどが装備される。
お金に余裕があるのなら、リミテッドのタキシードブラックを選び、アフターパーツの19もしくは20インチのクロームメッキホイールを履く。大きな車体にブラックのボディカラー、そしてクロームメッキの輝き。このハイコントラストの組み合わせは、もう無敵なんじゃないでしょうか。ホイールを替えただけでも、大型セダン系のドレスアップ車なんてフツーに見えてしまうくらい、エクスプローラーの存在感は抜群。そんなシーンを思い浮かべると、本当にオフロードから、街が似合う洗練された本格派SUVに大変身した。
代表グレード | フォード・エクスプローラーXLT |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5020×2000×1805mm |
車両重量[kg] | 2130kg |
総排気量[cc] | 3495cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 294ps(216kW)/6500rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 35.2kg-m(345N・m)/4000rpm |
トランスミッション | 6速AT |
10・15モード燃費[km/L] | 7.6km/L |
定員[人] | 7人 |
消費税込価格[万円] | 440万円 |
発売日 | 2011/05/24 |
レポート | 大岡智彦 |
写真 | 編集部 |
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