【三菱アウトランダーPHEV 長期評価レポートvol.13】 4WD性能は譲れない! 先進のツインモーター4WDの実力を雪上で試す!

こだわりの4WDシステムは、なんと8種類! アウトランダーPHEVにはツインモーター4WDが採用。その実力は?

最近では、欧州メーカーがドンドンとPHV車の設定を増やし、日本マーケットに導入してきている。しかし、基本的な構造は従来のハイブリッド車の延長線上にあり、強力なモーターと大容量のリチウムイオン電池を組み合わせたもの。
そこで、改めて三菱アウトランダーPHEV と比べてみると、そのユニーク性が際立っているのが分かる。三菱アウトランダーPHEVは、基本的にエンジンで発電した電力で走るシリーズハイブリッド方式。この方式をベースに、リヤにも独立した高出力のモーターを搭載したツインモーター4WD機能を採用している。似たような仕組みの4WD はあるものの、簡易的なものが多く、本格的な4WDとしているのはアウトランダーPHEVだけといってよい。
では、実際、アウトランダーPHEVのもつツインモーター4WDの実力はどれほどのものなのか、雪上でチェックする機会を得た。三菱といえば4WDのイメージが強い。実際、その通りで三菱の4WD技術は古くはライセンス生産をしていた三菱ジープにまでさかのぼるが、その後は独自の4WDシステムを開発し、さまざまな車種に合わせていろいろな4WDシステム搭載してきた。現在ではオール・ホイール・コントロールとういコンセプトをベースに、全部で8種類のもの4WDシステムを持つ。自動車メーカー1社で8種類の4WDシステムというのは異例なほど多い。何でも同じシステムの流用ではなく、車種別に最適化したらいつの間にか増えたということらしい。それだけ、4WDに対する想いが強いメーカーでもあるという証明でもある。アウトランダーPHEVのツインモーター4WDは、その4WD技術の内の1つだ。




前後独立した大出力モーターで駆動するツインモーター4WD! 低重心化されたボディとの相性もよく、雪上での安定感は抜群!!
アウトランダーPHEVでは、前輪用と後輪用にそれぞれ独立したモーターを持つツインモーター4WDが採用されている。このシステムは、モーターの持つ優れたレスポンスにより、瞬時に前後のトルク配分を変えられるので、加速性能や操縦性、安定性などに優れた走りが得られる。車両運動統合制御システムであるS-AWCを含めた4WDシステムであることも操縦安定性につながっている。
アウトランダーPHEVは、電気モーターやリチウムイオン電池を搭載するため、ガソリン車のアウトランダーに比べてざっと300kgくらい車重が重くなり、これによるデメリットもある。ただ、この重さも影響してか、雪道での安定感はアウトランダーを上回っていた。
走行モードは、ノーマルと4WDロックの設定がある。モーター駆動の4WDなので、センターデフを持たないので4WDロックといってもロックする機能はない。走破性を高める機能という意味で設定されている。アウトランダーPHEVのツインモーター4WDは、ブレーキを制御するAYCを追加。前後駆動力配分とともに、左右駆動力配分を制御している。その他、細かい制御を加え車両の走行安定性を高めている。さらに、大容量のリチウムイオン電池がフロア下にあり、重心が低いことも加わり、様々な路面状況下でも安心して運転できる。基本的に、安定感重視の4WD設定で、リヤタイヤはモーターで駆動しているものの誰もが違和感なく乗れる。当然、静粛性も高くラグジュアリーなSUVにピッタリなシステムだ。
実際の走行では、舗装路から圧雪路までノーマル状態で十分。多くのセンサーがクルマの状況を察知し、最適な制御を行ってくれる。氷上路など条件の悪い路面では、4WDロックを選んで走ると良い。今回の試乗では、ノーマルと4WDロックの両方を試したが、駆動力を生かした積極的な走りをしたいときには4WDロックが良好だった。マイナーチェンジにより、こうした4WDの走破性も一段と高められた。
腕さえあれば、ドリフトの自由自在なセッティングが施された先行開発車。アウトランダーPHEV EVO用?

今回の試乗会では、アウトランダーPHEVに新しい制御を取り入れたい先行試作のプロトタイプ車も用意されていて、短時間ながらこれを体感することができた。
基本システムは、アウトランダーPHEV用のツインモーター4WDで変わりがない。だが、前後輪の駆動力配分を後輪寄りに設定し、よりアクティブ走りを可能としたシステムだ。
特に4WDロックの走行モードを選んだときの走行フィールはかなり力強いものになり、やや後輪が横滑りしやすくなるような感覚もある。その横滑りを容易にコントロールできるのが好印象だった。この先行試作車で4WDロックを選んでの走りは、一定の横滑りを許容し走る楽しさを一段と際立たせている。そのため、ある程度のテクニックがあるドライバーであることが前提となり、誰にでも勧められるものではない。逆に、腕に自信のあるドライバーにとっては、雪道でもアクティブな走りを楽しめるクルマでもある。
北海道では、女性ユーザーでも雪道でハンドブレーキを使ってクルマの向きを変えるような走りをする人が多いというが、そんなユーザーであれば先行試作車のアクティブな走りを大歓迎するのではないだろうか。もしくは、アウトランダーPHEVエボリューションとしたラリー系モデルを用意して装備するのも面白そうだ。
三菱が今後、どのような形で先行試作車を具現化していくか分からないが、ツインモーター4WDの新しい可能性を示したものとして注目される仕様だった。
侮りがたし! フロントに電子制御LSDまで搭載したこだわりの4WD機能をもつガソリン車のアウトランダー
さて、最後はガソリン車のアウトランダーも雪上で試乗した。マイナーチェンジにより、三菱の新デザインコンセプトであるダイナミックシールドにより変更されたフロントフェイスが好評で、ガソリン車のアウトランダーも売れている。2.4Lの4WDで2,791,800円からという価格もリーズナブル。と、いうのもかなり本格的な4WD機能をもっているからだ。
今回の雪上試乗ではいろいろな4WDシステムを体感したが、中でも雪道での安定した走りが印象的だったのはアウトランダーの4WDシステムだ。
アウトランダーの4WDは、リヤデフの前に配置した電子制御カップリングによって前後のトルク配分を適切にコントロールするもの。4WDエコ、4WDオート、4WDロックの3種類の走行モードを備え、これに本体価格8万円のオプションでS-AWCを設定した仕様もある。これには、4WDエコ、ノーマル、スノー、ロックの4種類のモードが設定される。
さらに、AFD(アクティブフロントデフ)がある。この機能は、電子制御クラッチによりフロントデフの差動を制限し、前輪左右の駆動力配分を制御するフロント電子制御LSD。左右輪の駆動力や制動力をきめ細かくコントロール。このAFDにより、より高い旋回性や走破性を得ている。
4WDエコは、通常FF状態で走って燃費の良い走りを実現し、ノーマルは常時4輪の駆動力を適正に配分して高い走行安定性を実現する。スノーは、文字通り雪道など低ミュー路での安定した走りを実現するものだ。ロックは後輪へのトルク配分を高めることで、高い走破性によって悪路での走行に優れるほか、ぬかるみからの脱出などでも力強い走りを実現する。
コンソールのスイッチによって、ドライブモードの選択が可能なほか、インパネ内にはS-AWCによる左右の駆動力配分なども表示されるから、自分のクルマがどんな状態で走っているのかを確認しながら走らせることができる。
今回は、雪道での走りだったので、スノーモードを中心にいくつかのモードを試したが、全体として安定感の高い走りが印象的だった。ノーマルモードでも雪道の走りを十分にこなせるし、ロックモードを選べば積極的な走りが楽しめる。一瞬、曲がらないかも、と思ってしまったカーブでも意外なほどクルリと向きを変えてしまうほど。アウトランダーPHEVの4WD機能もなかなかのものだが、アウトランダーの4WD機能はさらに高いレベルにある印象だ。
三菱アウトランダーPHEV価格
・M 3,596,400円
・G Safety Package 3,882,600円
・G Navi Package 4,233,600円
・G Premium Package 4,590,000円
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三菱アウトランダーPHEV燃費、スペックなど
・全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
・ホイールベース 2670mm
・トレッド前 / 後 1540/1540㎜
・タイヤサイズ 225/55R18
・車両重量 1850㎏
・乗車定員 5 名
・駆動方式 4WD
・モーター 搭載数 2 基 (フロント 1、リヤ 1)
・モーター最高出力 フロント:60kW、リヤ:60kW
・モーター最大トルク フロント:137N・m、リヤ:195N・m
・バッテリー
種類 リチウムイオン電池
総電圧 300V
総電力量 12kWh
・エンジン
2.0L 4 気筒 MIVEC ガソリンエンジン
最高出力87kw[118ps]/4500rpm、最大トルク186N・m[19.0㎏-m]/4500rpm
・ハイブリッド燃料消費率(JC08 モード) 20.2㎞/L
・充電電力使用時走行距離 60.8km/L
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