ルノー メガーヌR.S.試乗記・評価 感動するほど奥深いフットワーク

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【アルファロメオ】2019/01/02

ルノー メガーヌR.S.

 

愛らしいモデルが多いが、モータースポーツに積極的なルノー

ルノー メガーヌR.S.カルロス・ゴーン事件による連日のニュースで、自動車に興味が無い人も、ルノーがフランスの自動車メーカーだと知る機会が増えた。

一方、最近街中で見かける事が多くなったカングー。国内で販売されるカングーは、ルノー車のなかでも人気モデルで売れている。そんな、愛らしいカングーを見ていると、ルノーは保守的なイメージを持つが、ル・マン24時間レースに優勝し、F1でもタイトルの獲得した事がある。日本で人気の高いかわいらしいカングーのイメージとは裏腹に、実はモータースポーツに対して、熱い血液が流れているメーカーでもある。

熱い血液は、レース車両だけに流れているのではない。市販車にも、熱い血液が注がれたモデルが存在する。それが、メガーヌ ルノー・スポール(以後R.S.)だ。

 

 

ニュルFF最速にこだわるメガーヌR.S.

ルノー メガーヌR.S.ルノー メガーヌR.S.は、2003年に初代がデビュー。今回のフルモデルチェンジで3代目になる「ホット・ハッチ」だ。ピリ辛な高性能モデルである。初代モデルから「本当に早いクルマは公道でも早い」を掲げ、改良を重ね世界一過酷なサーキット、ニュルブルクリンク北コースのFF車最速を塗り替えてきた。

試乗した新型メガーヌR.S.も、更に高いレベルでのパフォーマンスを目指して開発された。搭載した1.8L直噴ターボエンジンは、最高出力279ps、最大トルク390N・mを発生。今回初めて強化された電子制御6速AT (以下6EDC)を組み合わせ前輪に駆動力を伝える。

6EDCはドイツの有名トランスミッションメーカーである「ゲトラグ」との共同開発のデュアルクラッチ式のAT。5つの走行モードがあり、それに対応出来るギヤレシオとシフトパターンが設定されている。

ルノー メガーヌR.S.

 

 

スポーツモードの必要性を感じない?

ルノー メガーヌR.S.実際に運転してみるとスムーズな変速であり、低回転からしっかりトルクの出ているエンジンとの組み合わせは、運転がし易い。良い意味で普通のクルマである。

しかし、一旦アクセルペダルを床まで踏み込めば、トルクの塊が身体をシートに押し付け、タコメーターの針がレッドゾーンを目指して急上昇する。タコメーターの針がレッドゾーンに入ろうとした瞬間、シフトアップは瞬時に終了し、息の長い加速が続く。

コンフォートモードでも充分なパフォーマンスであり、「スポーツ」や「レース」モードをあえて使いたくなる場面は少ない。

 

エンジンパフォーマンスより、感動的な足回り

ルノー メガーヌR.S.エンジンのパフォーマンスより、感激したのは足回りである。通常、スポーツモデルのサスペンションは硬く、グリップ力の高い扁平タイヤを装着するため、ゴツゴツして路面の凹凸をダイレクトに伝え、快適性とは相反する。

しかし、メガーヌR.Sは荒れた路面でも快適で乗員に優しい。理詰めの性能を追求したドイツ製のホット・ハッチとは違い、しなやかなフランス流の角の無い乗り心地である。

 

4HCCと4 CONTROLによる、FF車とは思えない圧倒的な旋回性能をもつメガーヌR.S.

ルノー メガーヌR.S.更に驚いたのは、コーナリングである。路面状況を正確に伝えるステアリングを切り込んでいくと前輪駆動車とは思えない程、アンダーステアリングを感じないままフロントが切れ込んでいく。

しかも、リアタイヤの接地感が高く、コーナリングスピードが速くなっても姿勢は安定している。フロントの回頭性の良さとリアの接地感の高さは、リアタイヤを操舵する4コントロール・システムとダンパー中に内蔵された第2ダンパーを採用した事も大きな要因であろう。

 

 

違和感無い4 CONTROL

ルノー メガーヌR.S.メガーヌR.S.には、電子制御のアクチュエーターによりリアのタイロッドを動かし最大切れ角は2.7°にもなるリヤ操舵システムが装備されている。4輪操舵システムは古くから他メーカーでも採用されていたが、剛性感の低下や制御が不自然に感じてしまいスポーツ走行には不向きであった。だが、メガーヌR.Sはネガティブな部分は全く感じない。

また、ダンパー内の第2ダンパーは4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(4HCC)と呼び、リバウンドや振動を抑制し、タイヤとの路面の設置状態を最適に保つ。

4 CONTROL公式解説動画

https://youtu.be/kZGl-Ju0zNE

 

 

絶妙なR.S.デフ

驚きはこれで終わりではなく、コーナリング中にアクセルペダルを踏んでもアンダーステアリングは少ない。これはR.Sデフと呼ぶ電子制御トルク配分システムによるもので、タイヤに駆動力は伝わるのだが他の前輪駆動車のようなアンダーステアリングが強まる事はない。

前輪駆動車はアンダーステアリングをガマンしながら運転するクルマと思っていたが、メガーヌR.Sは積極的にコーナリングを楽しめる車に仕上がっている。

 

オジサンでも恥ずかしくない落ち着いたインテリア

ルノー メガーヌR.S.メガーヌR.S.のインテリアは黒を基調とし、所々に赤のステッチなどを配してスポーティなイメージを強調している。私が好きな高級生地のアルカンタラを使ったスポーツシートが採用され、ヘッドレストには赤いR.S.のロゴが入り所有欲をくすぐる。私のような年配者にも乗っていて恥ずかしくない落ち着いたインテリアである。

また、安全装備にも抜かりない。車間距離警報、万が一の衝突時の被害を軽減させるエマージェンシーブレーキサポート、車線逸脱警報、後側方車両検知警報などの運転支援システムが装備されている。

ルノー メガーヌR.S.

 

 

理詰めのドイツ車とは異なるエレガントで速いホットハッチ

ルノー メガーヌR.S.メガーヌR.Sは色々な電子デバイスを採用しながら、それを感じさせないドライバーの感性にあったホット・ハッチに仕上がっていて運転が楽しい。ゴルフGTIのようにドイツ車らしいの理詰めのホット・ハッチとは明確に異なる。メガーヌR.S.は、フランスのエレガントを感じるモデルに仕上がっていた。

また、このモデルより4ドアが採用され、より実用性は高くなり、スポーツ走行だけではなく、買い物や送迎も楽にこなす。しかも、AT車として気楽に運転できるので、購入時に奥様を説得する為のハードルは低い。

現役バリバリの若い人だけでなく、ホット・ハッチをそろそろ卒業、或いは再入学したいが、他人とは少し異なるモデルが欲しい人にはピッタリの大人のクルマに仕上がっている。

今回の試乗は短時間であり、メガーヌR.Sの一部しか触れられなかったのが心残りである。長期間、ジックリ乗ると別の味わいが出てきそうな奥の深いモデルであり、多く人にお勧めしたいモデルである。

<レポート:丸山和敏>

 

 

ルノー メガーヌR.S.価格

・メガーヌR.S. 4,400,000円

 

ルノー メガーヌR.S.燃費、ボディサイズなどスペック

ルノー メガーヌR.S.代表グレード:メガーヌR.S.

全長× 全幅× 全高 mm  4,410×1,875×1,435

ホイールベース mm  2,670

トレッド(前/ 後) mm  1,620/1,600

車両重量 kg  1,480

定員  5人

エンジン型式  M5P 直列4気筒DOHC16バルブターボ

総排気量 L  1.798

最高出力 kW(ps)/rpm(EEC)  205(279)/6,000

ルノー メガーヌR.S.最大トルク N・m(kgm)/rpm(EEC)  390(39.8)/2,400

燃料消費率 JC08モード km/L  13.3

トランスミッション  電子制御6速AT(6EDC)

懸架方式 前:マクファーソン/コイル、後:トーション・ビーム/コイル

タイヤサイズ  245/35R19

最小回転半径 m  5.2

 

 

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