不具合解消で発売は2月14日に決定した新型フィット!
第3世代の新型ホンダ フィットが、2019年10月に開催された東京モーターショーで公開された。
この新型フィット、当初は年内に発売予定だったのだが、思わぬアクシデントに見舞われた。その理由とは、先に発売が開始されたNワゴンの電動パーキングブレーキ不具合だ。新型フィットもNワゴンと共通の部品を使用していたため、発売日が延期されたのだ。現在では、その不具合が解消され、新型フィットの発売日は2020年2月14日予定となった。
そんな新型ホンダ フィットだが、ホンダの鷹栖プルービンググラウンドでプロトタイプに先行試乗する機会に恵まれた。試作車ではあるが、量産モデルも大きくは変わらないはずである。そこで初乗りの印象を伝えたいと思う。
柴犬をモチーフにしてデザインされた新型フィット
ご存じのようにフィットは、革命的なセンタータンクレイアウトを採用して2001年に登場した。初代モデルは優れたパッケージングによる広いキャビンとスポーティな走りがウケ、瞬く間にコンパクトカーの主役に躍り出ている。
日本だけでなく、海外でも評判はよかった。続く2代目もヒットしている。3代目は、ちょっとクセのあるデザインが災いしてか好き嫌いが分かれたが、実力は高い。
そしてベールを脱いだ4代目新型フィットは、今までと違うテイストのデザインだったのでビックリした。今までと同じように小型車枠を守り通しているが、フランス車を思わせるキュートなデザインだ。
モチーフは「柴犬」だというが、納得である。柔らかな面構成のワンモーションフォルムで、フロント周りの表情も動物のように愛くるしい。3代目フィットは剛の男性的なデザインだった。これに対し4代目フィットは柔らかな面で、女性的なふくよかさを感じさせる。
先代同様広大な室内スペースを誇る新型フィット
新型フィットのインテリアは、開放感にあふれルーミーだ。水平基調のインパネは驚きがある。上面はフラットで、メーターのバイザーも取り除いてしまった。ピラーも細いから、開放感もより強調されている。リュクスと呼ばれるラグジュアリーグレードは本革シートだからクラスを超えた上質感だ。また、ホームと名付けられたグレードの明るい内装やオリーブ系の挿し色を加えたネスの内装も新鮮だった。
キャビンは快適で好評だった先代より広く、フロントシートもたっぷりとしたサイズだ。厚みを増し、ドライビングポジションもよくなっている。リアシートもクッションの厚みを増しているし、上級クラス並みに足元は広く、シートの造りもいいからリラックスして座ることができた。
直接のライバルとなる新型トヨタ ヤリスと比べても広さは際立っている。ラゲッジルームも広く、荷物を積みやすい。
新ハイブリッドシステムの名称は「e:HEV」
新型フィットのパワーユニットは、2種類に絞り込んだ。主役は1.5Lの直列4気筒DOHC・i-VTECエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車である。
ハイブリッド車のメカニズムは一新され、駆動用と発電用、2つのモーターを用いた「e:HEV」になった。名称は違うが、インサイトなどに使われているi-MMDスポーツハイブリッドと基本的なメカニズムは同じだ。トランスミッションは、ツインクラッチDCTに代え、ステップ変速機能を持つ電気式の無段変速機を組み合わせた。新型フィットの実用燃費は、優れていると予想できる。
「e:HEV」と呼ばれる新型フィットのハイブリッド車は、アクセルを踏み込んでいくと、モーター走行を維持したまま滑らかに加速していく。先代フィットはすぐにエンジンがかかったが、新型フィットはEV走行の領域が広い。すぐにはエンジンがかからなかった。アクセルを強く踏み込むとエンジンがかかり、これで発電を行う。そして蓄えた電力を使ってモーターを駆動するのだ。
新型フィットも、ノートeパワーと同じシリーズハイブリッドである。だが、乗り味は1クラス上と感じられた。滑らかさ、静粛性、余裕ともに一歩上を行くし、自然な走行フィーリングも好ましく感じる。バッテリーは小さいから発電のためにエンジンがかかる場面は多いが、その切り替えも上手である。違和感なく滑るように走った。
静粛性に優れた室内空間
残念なのは、2本スポークのステアリングにパドルシフトが装備されていなかったこと。俊敏な加速や、大きな減速が必要なときに便利だから設定を望みたい。
静粛性も大きく向上した。1クラス上と感じられた。遮音材を効果的に使っているだけでなく、吸音対策も徹底している。高速走行時の風切り音とエンジン音も上手に抑え込んでいた。
ちなみに70km/hあたりでエンジンがかかり、その気になれば180km/hまで加速する実力を秘めている。ライバルと比べても、最高速度は上を行っているようだ。
コストパフォーマンスに優れる1.3Lガソリンエンジン
新型フィットのガソリンエンジンは、1.3Lの直列4気筒DOHC i-VTEC(可変バルブタイミング&リフト機構)を搭載する。1.5Lエンジンは整理されたが、試乗してみると不満のない実力を秘めていた。
先代が積んでいた1.3Lモデルより実用域のトルクは豊かで、低速走行もそつなくこなす。平坦路で1、2名乗車なら元気のいい走りを見せる。さすがに登坂路や多人数乗車では余裕を欠く場面があったが、コスパは高そうだ。
しなやかさ際立つフットワーク
ハンドリングは大人っぽい。サスペンションは、先代と同じようにストラットとトーションビームの組み合わせである。ハイブリッド車は16インチタイヤを履き、可変ステアリングギアレシオも採用した。
これまでのホンダ車のように、クイックに向きを変える味付けではなく、しっとりとした操舵フィールとしなやかな足の動きを見せる。狙ったラインに乗せやすい正確なハンドリングとロールを許しながらの軽やかな身のこなしが新鮮だ。
スポーティな感覚とは違う自然な運転感覚なのだが、コントロール性は向上している。
新型フィットは、ワインディングロードでも意のままの走りを披露した。これはボディとシャシーの剛性が高く、足の動きがよく、ブレーキング時のクルマの動きもいいからだろう。
上質な乗り心地となった新型フィット
そして特筆したいのが、乗り心地のよさである。路面からの凹凸を上手にいなし、後席でも快適だった。とくに可変ステアリングギアレシオを採用し、16インチタイヤを履いたハイブリッド車は一体感のある走りを見せるだけでなく、荒れた路面での乗り心地も上質と感じる。
ホンダセンシングと名付けられた運転支援システムは実力を高め、操舵支援の修正アシストも上手くなった。快適性と安全性は大きくレベルアップしたから、RSのようなスポーティグレードが設定されれば、さらに魅力を広げるだろう。公道での試乗が楽しみなコンパクトカーである。
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