スズキ スイフト ハイブリッドSG/SL新車情報・購入ガイド 脱軽自動車? ストロングハイブリッド投入! 2つのハイブリッドで、コンパクトカーマーケットに全力チャレンジ! [CORISM]
■ストロングハイブリッドモデルの追加で、2つのハイブリッドシステムをもつ新型スイフト
少々分かりにくいのだが、スイフトは2017年1月に発売されたときに、すでにハイブリッドモデルをラインアップしていた。グレード名はスイフト ハイブリッドMLとハイブリッドRSの2グレード。この2グレードは、ISGと呼ばれるモーター機能付発電機を使用。減速時のエネルギーを利用して発電し鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーに充電。加速時には、蓄えた電力を使いモーターを駆動させエンジンをアシストし、燃費を向上させる仕組みをもつ。モーターはあくまでアシストのみ。モーターだけでの走行はできないため、マイルドハイブリッドと呼ばれている。
4代目スイフトは、こうしたマイルドハイブリッド搭載車の他に、1.0直3ターボエンジンを搭載したモデルや1.2L直4自然吸気エンジンなど、多彩なパワーユニットを搭載。発売以来、連続して新車販売台数ベスト30以内をキープし、堅調な販売台数を誇っている。
今回投入されたハイブリッドシステムは、スズキが独自に開発したもの。すでに3つのパワーユニットをもつスイフトだが、これで4つ目となる。このスズキ独自のハイブリッドシステムは、従来のマイルドハイブリッドに対して、いわゆるストロングハイブリッドと呼ばれるタイプのものとなった。ハイブリッドSG、ハイブリッドSLという2グレードに搭載された。
つまり、新型スズキ スイフトには、2つのハイブリッドシステムが用意されたことになる。
■5速AGSを使用したスズキ独自のハイブリッドシステムを搭載
さらに、使用するミッションは自動変速機能付きの5速AGS(オートギヤシフト)。コストが安いだけでなく、CVTに比べコンパクト で軽量というメリットもある。
この5速AGSは、CVTと比べるとややギクシャク感が出る。シフトチェンジ時の妙なトルク抜け感は、なかなか不快だった。スズキの5速AGSは、制御により随分ギクシャク感が低減されているものの、やはりCVTのようなスムースさには欠けている。
しかし、駆動用モーターが追加されたことで、かなりスムースなギヤチェンジが可能となった。なんと、クラッチの切り離し時にモーターがアシストするため、妙な空走感やギクシャク感が減り随分スムースになっている。
ただ、スムースになったとはいえ、若干ギクシャク感は感じるし、CVTほどのスムースさとはいえない。CVTほどのスムースさは無いものの、AT免許で運転に自信がない人でもそれほど違和感なく乗れるようになっいる。以前の5速AGSは、AT免許で運転に自信がない人にはお勧めできなかったが、スイフトハイブリッドの5速AGSなら、そんな人にもお勧めできるレベルになっている。
微妙なのは、5速AGSのギヤ比だ。CVTはワイドな変速比なので、高速道路でのエンジンの回転数は低く静粛性も高い。しかし、5速AGSだと高速域ではエンジンの回転数が上がり、街中での高い静粛性に対して、意外と騒々しい感じがする。当然、エンジンの回転数が高いため、燃費面でもマイナスだ。
■燃費は32.0㎞/L! と優秀だが、モーターの存在感が無い!?
ただし、ストロングハイブリッドとはいえ、モーター走行できる範囲がやや狭い。まず、停車中エコモードが条件でブレーキから足を離すとモーターによるクリープができる。ここで、アクセルを踏むとエンジンが始動する。標準モードでは、モーターによるクリープはなく、すぐにエンジンが始動。モーターは、エンジンをアシストする。
この何とも言えない中途半端な感じは、搭載された駆動用モーターの出力が13.6ps&30Nmと小さいことが原因。トヨタ アクアは、61ps&169Nmというモーターを使用している。ストロングハイブリッドとはいえ、フィーリング的には、マイルドハイブリッドに近い。
ただし、燃費性能に関してはマイルドハイブリッドの27.4㎞/Lに対して、新型のハイブリッドシステムは32.0㎞/Lという数値を達成。約17%もの燃費を向上させている。アクアの34.4㎞/Lほどではないが、かなり接近した優れた燃費値といえるだろう。この燃費値を達成できたのは、スズキの軽量化技術による部分も大きい。スイフト ハイブリッドSLの車重は960㎏と軽量。アクア と比べると、ややボディサイズが大きいとはいえ1,090㎏で130㎏も違う。
■優れた安全装備もつハイブリッドSL。今時自動ブレーキさえ装備することさえもできないハイブリッドSG
インテリアは、メーターパネルがやや異なっていて、EV表示灯やモーターパワーメーター、エコモード表示灯が追加されている。また、メーターそのものはブルーイルミネーション化された。
そして、上級グレードのハイブリッドSLにはパドルシフトが採用されていて、積極的にギヤチェンジが楽しめる。
ハイブリッドSLの安全装備は、なかなか充実している。歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「デュアルセンサーブレーキサポート」が標準装備化。さらに、軽自動車ではオプションでも装備できないモデルが多い中、サイド&カーテンエアバッグも標準装備。さすが、グローバルモデルといえる安全性能を誇る。
しかし、エントリーグレードとなるSGには、なぜかこうした装備が一切用意されていない。オプションでも選択できないという状況だ。相変わらず、売価ばかりを重視するスズキのマーケティング戦略は、安全重視の時代に逆行している。こうしたことが、最終的にスズキのブランド価値を下げている。顧客が欲しいのは、安かろう悪かろうではなく、安くてよいクルマなのだ。
■スズキ スイフトハイブリッドの選び方
予算を重視するのであれば、マイルドハイブリッドのMLで十分といったところ。また、マイルドハイブリッド車には、スポーティな仕様のRSがあるが、ストロングハイブリッド車にはこうしたグレードの設定がない。スポーティ仕様が欲しいのなら、マイルドハイブリッドのRSで1,787,400円となる。
また、マイルドハイブリッド車はCVTを使うため、非常に滑らかな走りが特徴。副変速機付きのCVTなのでギヤ比の幅が広く、高速道路ではエンジンの回転を抑えてくれてなかなか快適だ。全体的な完成度という面では、マイルドハイブリッド車が勝る印象だ。
ただ、ストロングハイブリッドは5速ASGを使う。CVT特有のラバーバンドフィールが嫌いというのであれば、ストロングハイブリッドが良い。通常のMTがベースなので、なかなかアクセル操舵に対してダイレクトな走りが楽しめる。しかし、RSのような引き締まったサスペンション仕様ではないため、せめてRSの設定があれば・・・、といったところだ。
また、ストロングハイブリッドのハイブリッドSL車の価格は1,949,400円とかなり高価。モータードライブをより楽しみたいというのであれば、日産ノートe-POWER が買えてしまう価格帯。このあたりも、かなり微妙なところだ。
■スズキ スイフトハイブリッド価格
・HYBRID SG 1,668,600円
・HYBRID SL 1,949,400円
■スズキ スイフトハイブリッド燃費・スペックなど
代表グレード | スズキ スイフトHYBRID SL |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3,840×1,695×1,500mm |
車両重量[kg] | 960kg |
総排気量[cc] | 1,242cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 91(67)/6,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)] | 118(12.0kg・m)/4,400 |
モーター最高出力[ps(kw)] | 10.0(13.6)/3,185~8,000rpm |
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] | 30(3.1)/1,000~3,185 |
ミッション | 5速AGS |
最小回転半径[m] | 4.8m |
バッテリー 種類 | リチウムイオン電池 | 定員[人] | 5人 |
価格 | 1,949,400円 |
レポート | 編集部 |
写真 | スズキ |
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