【三菱アウトランダーPHEV 長期評価レポートvol.1】 近未来感ある電欠しない電気自動車「アウトランダーPHEV」とは、こんなクルマ!

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2013/09/20

 

自ら発電し走り続ける電気自動車としの魅力に、ツインモーター4WD&SUVという付加価値

松下 宏

自動車評論家 松下 宏が三菱アウトランダーPHEVを解説

 新型三菱アウトランダーPHEV は、発売直後に一部のリチウムイオン電池が発熱してリコールになった。三菱とリチウムエナジージャパン社は、生産ラインの工程上の問題であることを究明し、出荷した車両を回収した上で電池を交換して再出荷するという手順を踏んだ。

リコールというと、一般的には販売会社でメカニックが対応するのが普通で、回収してメーカーの工場で交換作業を行うのは極めて異例。日本のメーカーでは、過去にないしっかりした対応だった。リコール制度と不具合の内容との関係から、こうした対応を迫られた面があったとはいえ、実に立派な対応だったといえる。

また、電池の不具合については製造工程における人的な作業が原因だったことがはっきりしたため、生産工場でその工程を廃止したので、今後は同様の不具合が発生する可能性はないという。この点も安心できる。

アウトランダーPHEVは、電欠の不安なく長距離を走れる電気自動車と考えたら良い。三菱は以前から、市販車として最初の電気自動車であるi-MiEV を販売してきた。電気自動車は、走行することで直接的に有害な排出ガスを発生することがない。三菱は、そんな電気自動車の良さを、最も良く理解しているメーカーだと言ってもいい。

だからこそ、電気自動車が持つ航続距離の短さについても良く理解し、i-MiEVやミニキャブ・ミーブ(ミニ・トラック) になどについて、近場で使うことを前提としたクルマとして販売してきた。電気自動車が長距離を走るためには、別のソリューションが必要と考えていて、その解答として発売したのがアウトランダーPHEVである。電気モーターに加えてエンジンを搭載し、電池の残量が少なくなると、エンジンで発電して走り続けることを可能にした。

前後に60kWのモーターをひとつずつ搭載するほか、発電&ハイブリッド走行用に効率の良い直列4気筒2.0Lエンジンを搭載し、自在な走りを実現する。自宅で充電しておけば、電気自動車として走れる距離がJC08モード走行で60.2kmあるから、たいていのユーザーの日常生活はこれでカバーできる。電池が少なくなってハイブリッド車として走らせてもカタログ燃費は18.6km/Lとされている。

電気自動車としての走りとハイブリッド車としての走りを合わせたプラグインハイブリッド車としての総合的な燃料消費率は、実に67.0km/Lという数値である。電池が満充電でガソリンも満タンなら、総合した航続可能距離は897kmに達する。並みのガソリン車よりもはるかに長い航続距離だ。単に長距離を走れる電気自動車というだけでなく、電気自動車の特徴をSUV という価値と合わせて提供するというのがアウトランダーPHEVの基本的な考えだ。

電気自動車には、高い環境性能、低いランニングコスト、優れた加速性能、高い静粛性、滑らかで上質な走りなどといった特徴があるが、それをSUVの特徴である長い航続距離、4WD、広い室内空間などと合わせて成立させたクルマである。

純電気自動車のリーフ と比べたら、航続距離に不安を感じることなく、ドライブの途中で充電するなどという手間をかけることなく、普通のガソリン車やハイブリッド車と同じような感覚で使えるのが良い点だ。

トヨタが先に充電できるハイブリッド 車として、プリウスPHVを発売しているが、プリウス PHVは電池の搭載量が少なめであるため、電気自動車として走れる距離が格段に少なく、すぐにハイブリッド走行になってしまう。また、プリウスPHVは、電池が少なくなってハイブリッド走行になった後は、一旦充電をしないと再び電気自動車の走りに戻ることができない。アウトランダーPHEVはエンジンで発電して必要な電気を充電すれば、再び電気自動車 として走ることができる。

さらにいえば、前後にモーターを持つ4WD 車である点が、アウトランダーPHEVがプリウスPHVに対して優位に立つ点である。ほかにアコードのPHVもあるが、価格が高い上に現時点では一般のユーザー向けには販売していない。また、これも駆動方式はFFで4WDではないといった違いがある。

三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV

安い電気を使い、さらに補助金まであり、高い経済合理性をもつSUV

三菱アウトランダーPHEV

 アウトランダーPHEVは、経済性にも優れたクルマである。高価なリチウムイオン電池を搭載するため、車両価格の設定そのものは高めだが、国や地方公共団体からの補助金が得られるので割高感は相当に薄められる。2013年度は、国の補助金が基本30万円で、急速充電機能を付けると35万円になる。地方公共団体からの補助金は住んでいる地域によって異なるが、国の補助金の半分(15万円)くらいの補助金を受けられる地域はたくさんある。

さらに、電力会社との契約の仕方によっても変わるが、深夜電力を使って安くすることもできるので、ガソリン代に比べて格安の電気料金でアウトランダーPHEVを走らせられる。深夜電力を使わない契約でもガソリン代よりも電気代のほうがずっと安い。クルマを毎日の通勤に使い、しばしば長距離ドライブに出かけるようなタイプのユーザーには、維持費の面でかなりお得なクルマになる。

逆にあまり遠出をしない人だと、1年間にほとんど給油することなくアウトランダーPHEVに乗ることも可能。どんな使い方をするかにもよるが、割高な次世代自動車ではなく、経済合理性にも十分に見合う現実的なクルマになっている。

三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV

静かで滑らか、それでいて力強い加速が魅力

三菱アウトランダーPHEV

 アウトランダーPHEVは、普通に乗ると電気自動車である。スタートボタンを押すとメーターパネル内に『READY』の文字が表示されるが、エンジン音などは聞こえてこない。室内空間は静かなままだ。発進も基本はモーターで走り出すから、室内の静かは続いている。モーター音がかすかに聞こえ、速度に乗っていくとタイヤの音などがロードノイズとして入ってくる。それでもガソリン車に比べたら格段に静かなままだ。

静かで力強くて滑らかな走りが得られるのが、電気自動車の良いところだ。アウトランダーPHEVの通常の走りは正にこうした電気自動車の走りの特徴を体験できる。坂道や追い越し加速など、力強い走りを要求したときのレスポンスと加速に優れるのも電気自動車の特徴だ。アクセルを踏み込むと、瞬時にモーターのトルクが立ち上がり、段差がなくてスムーズかつとても力強い加速を味わわせくれる。

状況に応じてエンジンが始動して、電気モーターと合わせた一段と力強い走りを得ることもできる。また高速クルージングなどでは、エンジンの駆動力で走行しながら余った駆動力で発電機を回してバッテリーも充電する。高速での追い越しなどのときには、エンジンの走行に加えてモーターがアシストするといった具合だ。

乗り心地はちょっと硬めの印象。重量の重い電池やモーターを搭載したことで、車両重量が300kgくらい重くなっていて、それに合わせて足回りが強化されているためだ。それでもコーナーでは適度なロールを示しながら、安定した姿勢で走り抜けて行くので、乗り心地の良さと操縦安定性とがうまくバランスされている印象だ。

三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEV

多彩な走行モードをもち、ツインモーター4WDの優れた操縦安定性は、他には無い独創のテクノロジー

三菱アウトランダーPHEV

ギヤチェンジ用ではなく、モーターの回生量をコントロールするパドル。右の+側を操作すると回生量が減り、左の-側を操作すると回生量は増える

 アウトランダーPHEVでは、電気自動車としての走行モードと、モーター走行をエンジンの発電がアシストするシリーズハイブリッド車としての走行モード、さらに高速道路などではエンジンの走行をメインに必要に応じてモーターがアシストするパラレルハイブリッド車としての走行モードがある。それもドライバーが意識することなく、走行条件に応じてクルマが自動的に最適な走りを選んでくれる仕組みなのだ。

郊外に出かけて自然環境の中で電気自動車として走りたいようなときは、セーブモードスイッチを押せば、電力消費を抑えてハイブリッド車として走行して現地に到着し、そこからエンジンを使わない電気自動車としての走りにすることもできる。ほかにも強制的にエンジンを動かし、充電を進めるチャージモードも含め、実にいろいろな走りを実現できるのがアウトランダーPHEVだ。

アウトランダーPHEVは、リチウムイオン電池を床下に搭載することによって、前後50:50の最適な重量配分を実現し、これによる操縦安定性の高さがあるほか、ツインモーターの4WD車として操縦安定性に優れた駆動方式に仕上げられている。

さらに、操縦安定性を高める電子制御も満載されている。4WDのSUV としての素性の良さに加え、アクティブヨーコントロールのAYCやアクティズスタビラリティコントロールのASC、ABSを加えたS-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)によって、前後左右のタイヤに適切に駆動力を配分し、最適の走りが得られる。

三菱アウトランダーPHEV

60.2kmEV走行できる12kwhものリチウムイオン電池を搭載する。その電池容量は、プリウスPHVの約2.7倍だ

三菱アウトランダーPHEV

エンジンは発電機として使用され、自ら発電した電気でEV走行するシリーズ式ハイブリッド

三菱アウトランダーPHEV

高速走行など、エンジンで走るほうが効率がいいと判断するとエンジン主体で走行する

アウトランダーPHEVのグレード選びでは、衝突被害軽減ブレーキの「e-Assist(イー・アシスト)」は絶対に外せない!

三菱アウトランダーPHEV

オプションで73,500円の急速充電機能。これはおすすめ。急速充電器がある場所を長距離ドライブ時の休憩ポイントなどにすれば、外部からの充電が可能になり、使用量にもよるが、ガソリンを使わずにすむので経済的で環境にも優しいドライブが楽しめる

 アウトランダーPHEVは、ベースグレードのEのほか、Gをベースに、セーフティパッケージ、ナビパッケージ、プレミアムパッケージの合計5グレードから選択できる。

EとGは衝突被害軽減ブレーキなどをセットにした「e-Assist(イー・アシスト)」が装備されないので除外して、セーフティパッケージ以上の3モデルから選ぶことになる。個人的には、カーナビをあまり使わないので、セーフティパッケージを選び、必要に応じてディーラーオプションのナビゲーションを装着すれば良いと思う。

セーフティパッケージなら、本体価格が360万円台なので、オプションや諸費用を含めても400万円以内。ここから補助金が減額される形である。これくらいの予算で買うのがリーズナブルな選択といえるだろう。

純正ナビが装着されたナビパッケージを選ぶと本体価格が400万円近くになり、ロックフォード・フォズゲートのプレミアムオーディオや本革シートが装着されたプレミアムパッケージは本体価格が430万円に近い。予算に余裕のある人が選ぶグレードだ。

三菱アウトランダーPHEV 価格、燃費、スペックなど

<三菱アウトランダーPHEV価格>
・E(受注生産)3,324,000円
・G 3,569,000円
・G Safety Package 3,664,000円
・G Navi Package 3,978,000円
・G Premium Package 4,297,000円

<三菱アウトランダーPHEVスペック>
・全長×全幅×全高 4655mm×1800mm×1680mm
・ホイールベース 2670mm
・タイヤサイズ 225/55R18
・車両重量 1770~1820kg
・乗車定員 5 名
・駆動方式 4WD
・モーター
種類 永久磁石式同期モーター
搭載数 2 基 (フロント 1、リヤ 1)
最高出力 フロント:60kW、リヤ:60kW
最大トルク フロント:137N・m、リヤ:195N・m
・バッテリー
種類 リチウムイオン電池
総電圧 300V
総電力量 12kWh
・エンジン
種類 2.0L 4 気筒 MIVEC ガソリンエンジン
最高出力87kw(118PS)、最大トルク186N・m(19.0kg-m)
・ジェネレーター 発電量 70kW
・AC200V(15A) 約 4 時間(満充電)
・充電時間の目安  急速充電  約 30分(約80%)
・EV 走行換算距離(JC08 モード) 60.2km
・複合燃料消費率(JC08 モード)67.0km/L
・ハイブリッド燃料消費率(JC08 モード) 18.6km/L

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