BMW 3シリーズ(G20型)長期評価レポート vol.9 走りたい欲求を超刺激!「320d xDrive ツーリング M Sport」

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2020/04/26

BMW 3シリーズ(G20型)

 

久しぶりにロングドライブしたくなった理由とは?

BMW 3シリーズ(G20型)
リヤゲートを開けずに、リヤウインドウのみ開閉できるユニークな機能をもつ。小さな荷物の出し入れに便利だ。リモート・コントロール・キーをもっていれば、テールゲートは、リヤ・バンパーの下で足を軽く動かすだけで開閉可能。両手で荷物を持っているときなどに便利だ。

「もっと、遠くへ行きたくなった」。丸1日、BMW 320d xDrive ツーリング M Sportに、試乗し終えた時に感じた印象だ。

クルマ好きとはいえ、50歳を超えてくると、1日で300kmを超えるクルマでの移動は、非常に疲れが溜まる。こうした移動が必要なときは、ついついクルマではなく、電車などの移動手段を選択することが多い。

ところが、320dツーリング M Sportに乗り300km程度走ったのだが、久しぶりに「もっと走れる」、「もっと走りたい」そんな気分になった。

 

 

疲労が少ないエンジン?

BMW 3シリーズ(G20型)「もっと走れる」そんな気分になった理由は、まず「疲労が少ない」ということだ。

320dツーリングに搭載されている最新世代の2.0Lディーゼルターボエンジンは、低回転域と高回転域で切り替わる2ステージ・ターボ・システムをBMWとして初採用。

元々、BMWのディーゼルエンジンは、振動が少なくスムース。クルマにあまり詳しくない人なら、ディーゼルエンジンであることさえも分からないほど高いレベルにあった。

さらに、2ステージ・ターボ・システムが追加されたこともあり、ターボラグはかなり改善され、アクセル操作に対するレスポンスが向上している。アクセルを踏んだら、クルマが間髪入れず反応する。当り前のようだが、こうしたモデルは数少ない。気持ちよさのレベルは、さらに1段階アップした。完成度は、クラストップレベルといえるものだ。

しかも、静粛性も高い。車内にいる限り、ディーゼルエンジン特有のガラガラとした音もほとんど聞こえてこない。走行中の静粛性も同様。静粛性が高さは、ロングドライブ時の疲労軽減にもつながるし、リラックスして運転できる。

さて、このディーゼルターボエンジンの出力は190ps&400Nm。400Nmという最大トルクは、V8 4.0L級自然吸気エンジンに匹敵する。高速道路や一般道問わず、僅かなアクセル開度で320dツーリングはグイグイと速度を上げる。この余裕あるトルクが、ストレスを減らす。

BMW 3シリーズ(G20型)

 

 

パワフルで経済的、高い人気を誇るディーゼル

BMW 3シリーズ(G20型)一般のユーザーも、BMW製ディーゼルターボエンジンの良さは百も承知。新型3シリーズセダンでは約45%、ツーリングになると約75%がディーゼルターボエンジンを選択しているほどよく売れている。

とくに、ツーリングを購入する顧客は、たくさん荷物を積み長距離移動が多いと予想できる。だから、エンジンの完成度だけでなく、燃費も重要だ。JC08モード燃費は、18.2km/L。WLTCモード燃費は、14.6km/Lとなっている。

試乗時の燃費は、高速道路で制限速度内であれば20.0㎞/Lを楽々超えてくる。この燃費なら、200km走行しても燃料は10L程度。軽油はハイオクガソリンより、30円/L前後も安く、120円/L前後の価格。燃費20.0㎞/Lで10L消費なら、燃料費は1,200円。200kmも走行して1,200円なら経済的なので、積極的に320dツーリングで移動したくなる。

郊外路での燃費は、ていねいに運転してザックリ17~18㎞/Lといったところだった。郊外路で低燃費走行させるには、少しコツがある。なるべくスムースに早く高い速度に上げ、高いギヤでクルージングに入ること。速度調整は、アクセルをあまり踏まずジワっと加速させると比較的よい燃費値が出る傾向だ。

BMW 3シリーズ(G20型)

より運転が上手くなった運転支援装備で疲労軽減

BMW 3シリーズ(G20型)また、全車速追従式クルーズコントロールも優秀だ。首都高速などでは、交通量が多く、日中は自由にクルマを走らせることは不可能に近い。クルマの運転を楽しむという環境には程遠く、とりあえず前方のクルマにダラダラと追従することしかできない。こんなストレスを感じながらの移動は、全車速クルーズコントロールにお任せだ。自車の最高車速をセットすれば、前走車と一定の車間距離を空けて追従走行。停止からの再発進も可能。この機能さえあれば、ひたすら退屈な運転から解放される。

こうした機能も、ドンドンと制御が上手くなっていて、人の感覚に近くなっている。これは、新型3シリーズに標準装備された3眼カメラと毎秒2兆5,000億回の演算能力を持つ画像処理プロセッサーによるものだ。

前走車との車間距離を最大に設定しておけば、まったく不安を感じないドライブが可能だ。やや無理な感じで前方に割り込まれた時でも、カメラの視野が広いこともあり、早めに減速。強いブレーキをかけることなく、再び通常の追従走行を始めた。

緻密な車両周辺監視が可能になったことで、高速道路の渋滞時にはハンズオフが可能となっている。ハンズオフ時には、車線を維持しながら前走車に追従走行してくれる。

最初は、ハンズオフできることが、それほど大きなメリットなのか疑問感じていた。だが、渋滞時に5分程度でもハンズオフしていると、とにかく楽。ステアリングに手を添えている、たったそれだけのことが無くなるだけで、これほど楽に移動できるとは、ちょっと目から鱗状態だった。

こうした先進の運転支援技術と、気持ちよくストレスないディーゼルターボエンジンのおかげで、大幅に疲労軽減ができた。

 

 

安全面でもメリットのあるAIを活用したBMW インテリジェント・パーソナル・アシスタント

BMW 3シリーズ(G20型)そして、新たな機能として搭載されたのがBMW インテリジェント・パーソナル・アシスタント。

「OK, BMW」と発話すると起動する。ドライバーは、発話によりナビやオーディオの操作や情報へのアクセスが可能。AI技術を活用していることで、より自然な会話でドライバーの指示や質問を理解する。使い込むほどにドライバーの好みを学習。使いやすさを際立たせていく運転支援システムだ。

他メーカーの同様なシステムは、起動コマンドがひとつの場合が多い。しかし、BMW インテリジェント・パーソナル・アシスタントは、「OK, BMW」という起動コマンドの他に、ドライバーが任意のワードで起動コマンドを設定できる。妻や子供、ペットの名前、またはニックネームを設定し、システムを起動させることができる。まぁ、どんな名前にせよ、車内で一人で喋っている姿を誰かに見られていると思うと、気恥ずかしい気持ちなった。

このBMW インテリジェント・パーソナル・アシスタント、便利だが少々慣れが必要だ。例えば、エアコンの温度設定など、いちいち発話している時間があれば、自分で行ったほうが早かったりする。

こうした、単純な操作は自ら行ったほうが早いが、ナビの目的地設定など、少し手間がかかる操作などは、発話で設定が便利。走行中も話すだけなので、前方監視も疎かにならないので安全面でのメリットは大きい。iPhoneのアシスタント機能であるSiriのようなもので、使い慣れてくると面白い。

 

 

スタイリッシュさと走りを昇華させるM Sport

BMW 3シリーズ(G20型)
荷室は通常時500Lの容量をもつ。スッキリとしたスクエアな荷室となっており使いやすい。また、左右ギリギリまで広くリヤゲートが開くので、大きな荷物も積みやすい。

そして、「もっと走りたい」という気持ちになったのは、やはり「走る楽しさ」だ。

試乗車は、320d xDrive ツーリング M Sport。M Sport専用となるスポーティなエアロパーツや、ややハードなセッティングが施されたサスペンションが装着されたモデルだ。車高は、スタンダードモデルに対して10mm下げられ、ホイールは1インチアップの18インチに。タイヤサイズは、前後異サイズでフロントが225/45R18、リヤが255/40R18だ。

M Sport専用エアロパーツにより、視覚的な重心を下げているだけでなく、専用サスペンションで10mmの車高ダウンしフェンダーとタイヤの隙間を減らした。

さらに、1インチホイールサイズをアップし、ホイールの大きさを強調。古典的だが、スポーティなシルエットに魅せる手法をBMWは十分に理解している。BMW車のほとんどで高い人気を誇るのがM Sportであるというのも、十分に納得できるカッコ良さだ。

 

「もっと走りたい欲求」を刺激する走行性能

BMW 3シリーズ(G20型)
リヤシートを倒すと、荷室容量は1,510Lと十分な広さをもつ。リヤシートは4:2:4の分割可倒式。積載する荷物に合わせて、リヤシートの形状を使い分けることができ便利。

M Sportの太いステアリングを握り、走り出す。BMWは50:50の重量配分など、走りの質にこだわっているメーカーだ。カーブをひとつ、二つ、三つと重ねていくほどに、常に自分がクルマの中心にいる。走り込むほどに、クルマと自分が一体化していく感覚はBMW車ならではのものだ。

切れ味鋭いハンドリングもM Sportの魅力だ。M Sportは、10mmローダウンされ引き締められたサスペンションを装備。プラットフォームそのものの重心が低く、カーブなどでは安定感は抜群だ。指1本分くらいの操舵にも、敏感に反応する。

こうしたハンドリングをもつM Sportは、BMWらしさを凝縮したグレードといえる。稀に、機敏過ぎると感じる人がいるようだが、そう感じる人はM Sport以外のモデルを選べばいい。

BMW 3シリーズ(G20型)
12.3インチのフル・デジタル・メーター・パネル。タコメーターの針は、従来の右回転から左回転となり、慣れるまで少し時間が必要だ。また、ナビの案内もメーター内に表示可能。モニターを見るより視線移動が少ないので安全面での効果も大きい。

M Sportは、引き締められた専用サスペンションを装着している割に乗り心地はよい。硬めであることは間違いないのだが、サスペンションそのものはしっかりと動いていて、カーブではそれなりにロールもする。路面の凹凸もしっかりと吸収していて、妙な突き上げも感じない。

どちらかというと、ランフラットタイヤ特有の硬さを感じる程度。スポーツグレードとしてならば、十分に許容できる範囲内だ。

そして、高速安定性は一段と進化している。エアロダイナミクスが素晴らしく、速度を上げるほどにピタリと路面に張り付くように走る。良い意味でスピード感がなく、高速道路では気が付くとかなり高い速度になっていることがあった。高速移動の安心感は高い。もちろん、xDriveは4WDなので、直進安定性も高い。

こうした走りの楽しさもあり「もっと走りたい」という気持ちになった。

週末が待ち遠しくなるクルマが320dツーリング

BMW 320d xDrive ツーリング M Sportは、走る楽しさと疲労の少なさが高いレベルで融合したモデルだ。そのパフォーマンスは、まさにツーリングというモデル名に相応しい。しかも、ディーゼルなので経済的だ。さて、次の週末はどこに行こうか?  そんな楽しい悩みが尽きなくなりそうだ。

<レポート:大岡智彦>

 

 

BMW 3シリーズ ツーリング価格

・320i SE ツーリング 4,940,000円

・320i ツーリング 5,670,000円

・320i ツーリング M Sport 6,190,000円

・320d xDrive ツーリング 6,140,000円

・320d xDrive ツーリング M Sport 6,660,000円

・330i ツーリング M Sport 6,690,000円

・M340i xDrive ツーリング 10,050,000円

 

BMW 3シリーズ公式HPへ

 

BMW 320d xDrive ツーリング M Sport、ボディサイズ、燃費などスペック

全長x全幅x全高(mm) 4,715x1,825x1,465

ホイールベース(mm) 2,850

トレッド F:1,585 R:1,570

車両重量(kg) 1,730

最小回転半径(m) 5.7

トランク・ルーム容量(L) 500

定員(名) 5

エンジン型式  B47D20B 直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量(cc) 1,995

エンジン最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) 140〔190〕/4,000

エンジン最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC) 400〔40.8〕/1,750-2,500

燃料消費率JC08モード(国土交通省審査値)(km/ℓ) 18.2

燃料消費率WLTCモード(国土交通省審査値)(km/ℓ) 14.6

トランスミッション  8速AT

タイヤ  F:225/45R18 R:255/40R18

サスペンション F:ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式 R:5リンク式

 

 

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