メカに詳しくない女性でも、安心して遠出できる航続距離458㎞(WLTCモード)へ!
2010年に市販化を開始した100%電気自動車(EV)の「日産リーフ」。2017年秋には2代目モデルが登場し、以降、2019年1月の時点で国内累計11万8千台を販売。世界で最も売れている電気自動車として、着々と実績を積み重ねている最中だ。
2019年1月、リーフは40kWhのベーシックな仕様に加えて、駆動用バッテリーの容量を62kWhまで高めた「リーフ e+」を追加した。リーフe+は40KWhと比べて、バッテリーのセル数は1.5倍となり、航続距離はでWLTCモードは458km(JC08モード570km)となった。なんと、40%も足が伸ばせるようになった。
日産担当者のプレゼンによれば、この数字は「横浜から伊豆半島を往復しても、バッテリー残量に余裕がもてるレベル」と語っていたのが印象的だった。EVはエアコンや電装品の使用状況、アクセルの踏み込み次第で航続可能距離が短くなりがちだが、バッテリー残量に余裕をもってドライブ出来るとなれば、移動の道中で充電を行う回数も減り、充電の場所やタイミングに振り回されずに済む。つまり、行動に制約を受けにくくなるワケだ。電欠の不安から解放されれば、メカに詳しくない女性ドライバーでも、安心して日常走行から遠出まで乗りこなすことができそうだ。
2,000円/月の「使いホーダイプラン」マンション住まいでもEVに乗れる! しかも、超経済的!
62kWh仕様がラインナップに追加されたことは、EVライフに憧れていても、なかなか踏み出せなかったみなさんにとっては朗報だろう。実際に、一般的なエンジン車に乗るドライバーが1日に走る距離と照らし合わせてみると、62kWhの仕様は1日の平均走行距離の99.5%をまかなえる計算になるという。
これなら、充電設備のないマンション住民などでも、日産が提供している月額2,000円(税別)で充電し放題のサービス「使いホーダイプラン」を利用すれば、日産ディーラーを中心に立ち寄り先で充電すれば、便利に使えるようになる。
しかも、「使いホーダイプラン」の料金は月額2,000円(税別)と破格の安さ。月に使うガソリン代をイメージしてもらえれば分かりやすい。10,000円/月ガソリン代を使っている人なら、8,000円も節約できることになる。とくに、通勤などで毎日クルマを使っているような人にとっては、かなりお財布に優しい。
車重が重くなったが、45%パワーアップし218psになった!
駆動用バッテリーの容量アップは、満充電で走れる距離が大幅に伸びたり、充電効率がアップして、短い充電時間で走れる距離が増えたりすることに注目されがちだ。だが、リーフe+は実は走りにおいても飛躍的な進化を遂げている。
ただし、実際に走ってみなければ、クルマの動きや走らせやすさがどうなのか分からない。例えば、バッテリーは積むほどに航続距離は伸ばせるとしても、現段階の技術においては、重量増を伴うことは免れない。実際に40kWhの「リーフ G」と「リーフ e+ G」と比べた場合、62kWhのリーフe+の車両重量は160kgも重たくなる。
こうした重量増を補う意味もあり、リーフe+ではe-パワートレーンがもたらす加速性能を大幅に向上。最大出力は45%もアップ、中間加速は13%もタイムを短縮し、爽快な走りを実現している。
先ずは、実車に近づいてみた。リーフe+ならではの特徴はあくまでも控え目な演出にとどまるようだ。40kWhのリーフとの違いは、フロントのリップスポイラーにブルーの塗装が施されていることと、クルマを横から見たときにフロア下にバッテリーが少しだけ張りだしていること。それに伴い、最低地上高は15mmほど低い設定になっている。
高出力の充電に対応したリーフe+
また、フロントの充電ポートはフタを開くと、急速充電用のフタが「e+」のロゴがあしらわれている。ちなみに、充電ポートは自宅や出先の充電設備で普通充電を行う際、40kWhの仕様は3kWに対応する車載普通充電器が標準装備されているが、リーフe+はその倍の6kWの充電に対応車載普通充電器が標準装備されている。
リーフe+には、大電流を受け容れる体勢が整えられ、充電施設側が6kWの充電に対応していれば、3kWで掛かる時間の約半分で満充電を迎えることになる。(3kWの場合は24.5時間、6kWなら12.5時間)。
また、急速充電器(50kW)の場合、充電設備によって充電時間は異なるものの、バッテリー残量警告灯が点灯した時点から、充電量80%まで約1時間で充電可能だ。今後導入される高出力タイプの急速充電器(70kW)なら、50分で80%まで充電できる。リーフe+を上手に充電するコツは、継ぎ足し充電。移動中の休憩時などに、短い時間でこまめに充電すれば、大容量バッテリーをもっているので、充電量が増えより長い距離が走れるようになる。
驚愕!? 40kWhのリーフとは全く違うリーフe+
では、肝心の走りはどうだろう。日産本社の地下駐車場から出発すると、周囲に嫌なノイズを響かせたり、排ガスを出すこともない。とてもクリーンな状態で走り出せるのが嬉しく思えてくる。当然のことながら、エンジンが無いので振動も変速ショックもない。
「40kWhのリーフと全く違う!?」と驚かされたのは、一般道で加速してみた時のこと。これまでよりも軽い踏み込みで、必要な車速に到達。EVは大トルクで強烈な加速Gを発生する発進加速の良さが強みと言える。それが、高速道路の料金所を通過して、本線への合流となったとき、実に伸びのいい加速で車体を前に進めていく。
エンジンを載せたクルマの場合は、回転が高まると同時に力を漲らせていくものだが、それがピュアEVのリーフe+の場合、パワーユニットが発する音や振動は無く、高速域までシームレスに、またたく間に車速を伸ばしていく。まるで、飛行機が離陸していくかのような不思議な感覚が新鮮でたまらない。
リーフ e+のe-パワートレインは、バッテリーのセル配置を2並列から3並列化することにおって、電流が流れる量を大幅にアップ。それにともない、インバーターの性能をアップすることで大電流を緻密に制御し、ギアボックスも強化している。
乗り心地など、走りの質も高まったリーフe+
加速中にふと思い出したことは、160kgもの重量増によるネガを感じていなかったこと。むしろ、しっとり走れる安定感に結び付いている。
高速道路でカーブに差し掛かると、大型トラックと併走していても不安感はナシ。ハンドルの切り始めは少し反応が鈍い印象を受けるが、無駄な揺すられ感が少なく、走りの質が高まっている印象だ。アクセルペダルを踏み足したり、緩めたりすると、車体の動きがそれに反応して素直についてくる。重たさに身を任せて意のままに走れる感覚が心地いい。
バッテリーは容量がアップしながらも、新技術による新開発リチウムイオンバッテリーの恩恵で室内スペースは40kWhのリーフと同じ。重量物であるバッテリーが床下に敷き詰められているため、重心高は10mm下がっている。
さらに、操舵特性も変更。結果的に車体が傾くロール角は40kWhのリーフより5%抑えられることに繋がっている。
多様性に対応できるようになり、EVライフの幅を広げたリーフe+
EVは移動もできる蓄電池としての活躍も見込めるなど、一般的なエンジン車とは異なる利用用途もある。これは、クルマ単体の魅力として捉えてみれば、その魅力は多岐にわたる。
その点、今回のリーフ e+は航続距離が大幅に伸びて移動の自由が拡がったこと、圧倒的にパワフルな加速フィールが得られるようになったこと、走りの質が高まっていること、そこに高速道路同一車線内走行時に、ステアリング(ハンドル)、アクセル、ブレーキを制御し、運転操作を支援する技術「プロパイロット」、アクセルペダル一つで加減速できる「eペダル」、衝突被害を軽減するエマージェンシーブレーキなど、充実した内容が盛り込まれている。
それらを踏まえて、「リーフ e+ G」の車両価格は472万9320円。40kWの「リーフ G(399万9240円)」と比較すると73万円程度高い設定となった。高価になったが、その価値が見合う生活パターンを送る人や、パフォーマンスを求める人には、十分な価値が感じられるはずだ。
その一方で、「そこまでの容量は必要ないから、40kWhの仕様で十分」と判断するユーザーも増えているそうだ。いずれにせよ、選択肢が用意されたことは正解。ライフスタイルに合わせ、自分に最適なEVライフが送れるようになったことは、更なるEVの普及に拍車をかけること確実だ。
<レポート:藤島知子>
日産リーフ価格
・リーフe+ G 4,729,320円
・リーフe+ X 4,162,320円
●バッテリー容量40kWh車
・リーフG 3,999,240円
・リーフX 3,661,200円
・リーフS 3,243,240円
日産リーフ燃費、ボディサイズ、燃費などのスペック
代表グレード 日産リーフe+ G
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4480x1790x1545mm
ホイールベース[mm] 2700mm
車両重量[kg] 1680kg
最小回転半径 5.4m
総電力量[kWh] 62kWh
最高出力[kw/rpm] 160kW(218ps)/4600~5800rpm
最大トルク[N・m/rpm] 340N・m//500~4000rpm
WLTCモード一充電走行距離 458㎞
JC08モード一充電走行距離 570km
タイヤサイズ 215/50R17
定員[人] 5人
消費税込価格[円] 4,729,320円
発売日 2019/1/23
レポート 藤島知子
写真 編集部
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