煮詰まってきた自動車税制改正の論議
2012年度の自動車税制改革が煮詰まってきました。当初から2012年度から自動車税制の抜本的な改革を行うことになっていて、それに対応して総務省から環境自動車税などという珍案が出されるなどしていましたが、民主党の税制調査会の要望では自動車取得税と自動車重量税の廃止が明記されました。
そもそも自動車取得税は、消費税が導入された段階で廃止されていなければならなかった税金です。一般消費税が課税されるのですから、個別に取得税が課税されるのは二重課税になるためです。
また自動車重量税は道路建設の促進を目的に制定された税金ですが、すでに道路特定財源が廃止されて、一般財源に回されているような状況ですから、これも課税の根拠を失っています。
なので、ふたつの税金とも、筋論からいえば廃止が当然ですが、両方を合わせると9000億円規模の税収となる税金であるだけに、財務省や総務省が難色を示しています。税金を取る側としては、普通に運用されている税金を廃止する意味はないということでしょう。
自動車税制の抜本的な改革は民主党がマニュフェストに書いていたものでもあり、今年の税調で廃止を明記したのは当然といえば当然です。ただ、それがすんなり通るかといえば、必ずしも楽観を許さない状況です。
今後は、政府税制調査会での調整を経た上で、税制改革大綱としてまとめられた上で、法案が国会に提出され、国会審議を経た上で確定することになりますから、まだまだどこでひっくり返されるか分かりません。それでも民主党の税調で要望として明記されたことは大きな前進といえるでしょう。
気になるのはエコカー減税の行方です。自動車税制の改革と、エコカー減税の延長が天秤にかけられたような形になっているからです。税制改正が実施されて自動車取得税と自動車重量税が廃止されたとしても、エコカー減税がなくなったのでは効果はあまり大きくありません。
かといって、代わりになる財源もなしに簡単に税制改正の実施とエコカー減税の継続がすんなり決まるとも思えません。
諸外国に比べて極めて過重な自動車ユーザーの税負担を低減させることで、クルマの販売を伸ばし、それによって景気の回復や雇用の確保を図るのは真っ当な考えだと思いますが、真っ当な話が必ずしも通らないのがこの国です。果たしてどうなるか。当分は税制改正の動きから目が離せません。
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