被災で中古車価格高騰の本当とウソ【新車・中古車購入術】 [CORISM]

はてなブックマークに追加 Googleブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録
【ビジネス・経済】2011/04/30

1.5倍の価格になった軽自動車も!

 震災でクルマを失った方々が、生活の足として続々とクルマを購入し始め、中古車が高騰している、というニュースが流れている。そこで、実際どういった価格変動が起きているのだろうか。中古車販売の大手であるガリバーインターナショナル自動車研究所の鈴木所長からのレポートによると、低年式軽自動車の価格がとくに高騰していることが判明したのだ。
 例えば、スズキ アルトの平成13年式8キロのクルマが、平成23年4月の小売相場平均が37万円。通常、クルマの価格は年式が古くなるほど価格が下がるのが一般的。しかし、このアルトは過去3年前までの期間で最高値を更新しているのだ。1年前の平成22年4月の価格は、24万円。なんと、約1.5倍もの上昇だ。他の小型車はどうか? 平成11年式トヨタ ヴィッツ8万キロは、平成22年4月が24万円。それが平成23年4月になると31万円となり、約1.3倍の価格に。平成16年トヨタ プリウス7万キロは、平成22年4月に98万円で平成23年4月になると108万円と1.1倍になっている。中古車相場は、マーケットの人気を反映しているので、経済の低迷や低燃費車時代によるダウンサイジングの波もあり、軽自動車や低燃費車は人気があるとはいえ、プリウスを除くアルトとヴィッツの価格は確かに異常かもしれない。
 鈴木所長によると「震災から1ヶ月が経過し、本格的な復旧活動が始まる中で、クルマの震災被害に遭われたかたから軽自動車などの低価格車のニーズが増加しています。その結果低額の中古車は値上がりし、売れ行きも好調になっています。また、補助金終了による新車販売の低迷も下取り車の減少を招き、中古車のタマ不足による価格高騰も同時に起きています」とのコメントだ。

被災地需要だけではない! 中古車が高いのは、新車が売れないから

 中古車のタマ不足というのは、新車メーカーの工場が被災し新車の販売が大幅に低迷したことを指す。中古車は生産できない。新車が売れ、下取りに入ったクルマが出て、はじめて中古車というものが生まれるからだ。新車が売れないということは、中古車が生まれないということでもあり、中古車もまた新車同様に供給ができないという状態が続いているのだ。一部のTV報道のように、単純に需要が高まったから中古車が高くなったというものではない。

軽自動車、コンパクトカー、低価格の3つのキーワードを外せば、中古車はまだまだ安い!

 中古車高騰と聞くと、すべて高い! そんな、印象になってしまうかもしれないが、そうでもない。鈴木所長によると、中古車の高騰は一部に限定されているという。そのキーワードは、軽自動車・コンパクトカー・低価格だそうだ。それ以外のものに関しては、例年通り、逆に一部の大排気量車などは値下がりが顕著だという。つまり、軽自動車・コンパクトカー・低価格のキーワードさえ外せば、中古車はまだまだ買い得感の高い商品であるということになる。

値上がりした中古軽自動車を買うなら、新車の軽という選択

 注意したいのは、安いからといって、安易に低年式の軽自動車に手を出さないことだ。先ほど例に出したアルトの平成13年式8キロなど、すでに10年が経過し8万キロを走行していることからも、かなりボロボロだろう。これが37万円。新車のアルトで高グレードなXで102.9万円。3倍近い価格だから、やっぱり中古車かと思いきや、そうでもない。軽自動車のリセールバリューはかなり高い。スズキの場合、50%程度の残価設定ローンを用意。別に金利がかかるものの3年間は、約50万円で乗れる。この間は故障による修理代などのリスクは、メーカー保証で行われるのでほとんどないだろう。しかし、10年落ちのアルトには、3年間の間には車検もあるし、故障や消耗部品の交換などのトラブルも必至だ。ならば、新車の軽自動車という選択もある。そんな理由で、高値を続ける低年式の軽自動車には注意が必要といえる。

スズキ ワゴンR

 軽自動車界のナンバー1モデルともいえるくらい大人気を誇っているワゴンR。ハイト系軽自動車のパイオニアだ

ダイハツ ムーヴ

 タントにその座は譲ったものの、ダイハツの最量販モデルだったムーヴ。早くからCVTを搭載するなど、低燃費技術を取り入れてきた

スズキ パレット

 子育て世代に人気のハイト系で超スペースが売りのパレット。背が高い分、車両重量が重くなるが、副変速機付きCVT搭載で燃費を向上

【関連記事】

(レポート:大岡 智彦

【オススメ記事】