日産 は、プレミアムセダン であるフーガ を大幅マイナーチェンジし発売を開始した。

　新型日産フーガは、北米で販売されているインフィニティQ70と同じ。すでに発売されているスカイライン も北米ではQ50として発売されている。スカイラインは、すでにインフィニティ エンブレムを装着していることもあり、フーガもインフィニティエンブレムを装着しての大幅マイナーチェンジとなった。

　インフィニティエンブレムを装着するには理由がある。それは、レクサス の存在だ。レクサスは、苦戦が続いているものの地道に続けてきたこともあり、徐々に国内で高級車としての認知がアップ。国産車を輸入車並みの価格で売れるようになってきた。当然、日産も同じように売りたいはず。ただし、日産は一時期、高級車に力を入れていなかったこともあり、多くの高級車顧客が流出している。そのため、新たにインフィニティ販売店を作ってもリスクが大きい。

　また、現在レクサスが日産ブランドより上と見られてしまう傾向もある。これは、日産としてはマイナスだ。そこで、インフィニティエンブレムを装着して、日産ブランドではありながらインフィニティでありプレミアムブランドであることを主張。レクサスと同等のクオリティであることアピールしたい狙いもあるのだろう。こうした高級車を買う顧客的にも、よりプレミアム性が高いイメージになることは悪いことではないので双方にメリットはある。

　インフィニティエンブレムを装着した新型日産フーガは、まず外観デザインが大きく変更された。ひと目で違いが分かるのが、ヘッドライトだ。特徴的なシグネチャーを持つLEDポジショニングランプを備えたLEDヘッドライトとなった。グリルもより一層存在感をアピール。立体感を出し、ウェーブメッシュパターンを採用している。

　リヤデザインも、ヘッドランプと同じく特徴的なシグネチャーを用いたLEDリヤコンビネーションランプとした。立体感もあり車格に相応しいクオリティになっている。

　また、スポーツグレードのフーガ370GT Type Sは、専用エアロバンパーを装備。4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキにスポーツチューンドサスペンションも用意されている。ホイールは、なんと20インチアルミホイールとなった。

　その他のグレードでは、乗り心地や静粛性も向上。VIP仕様のリヤシートは、ホールド性を高めたシート形状とすることで、座り心地を向上させている。

　新型日産フーガは、プレミアムセダンということもあり安全装備も進化した。最先端の安全装備を前方、側方、後方すべてに採用。全方向で“ぶつからないクルマ”を目指した。PFCW（前方衝突予測警報）をはじめ、約60km/hでも衝突回避が可能な「エマージェンシーブレーキ」（自動ブレーキ）等を装備。今回、「MOD〔移動物検知〕」機能を追加した「アラウンドビューモニター」は全グレードに標準装備している。

　新型日産フーガに搭載されるパワーユニットは3つ。V6の2.5Lと3.7L、3.5Lハイブリッドの設定だ。3.7Lのみ4WDの設定がある。売れ筋グレードは、ハイブリッドになることが予想されているが、スカイラインに4WDのハイブリッドがあるのだから、フーガにもハイブリッド車に4WD の設定が欲しいところ。ハイブリッド車は、エコカー減税免税対応だからだ。

　新型フーガの燃費は、ハイブリッド車が17.8㎞/Lもしくは18.0㎞/L。2.5L車が11.2㎞/L、3.5L車が8.9～9.4㎞/Lとなっている。困ったことに、ガソリン車にアイドリングストップ機能が装備されていない。こんなところまで、レクサスをマネしなくてもいいと思う部分で、国産車でありながらダウンサイジングターボ+アイドリングストップ機能を装備した輸入車と燃費では勝負にならない状況だ。ガソリン車は、エコカー減税非対応なことを考えれば、スカイライン同様にフーガにも2.0Lターボの搭載に期待したいところだ。

　新型日産フーガの選び方は、まず安価な設定がされているAパッケージ車を外して考えたい。Aパッケージ車は、自動ブレーキを含んだ安全装備が装備されていない。プレミアムセダンに乗る高所得顧客にとって、軽自動車にも用意されている自動ブレーキさえも装備されていないグレードは選びにくいだろう。

　また、ガソリン車はエコカー減税にも対応していない。よほどハイブリッド車が嫌という人でないと、このモデルも選ぶ理由があまりない。今後、低燃費化の流れはドンドンとハイブリッドへと流れる傾向を考えると、リセールバリューもあまり期待できない。こういう状態であるなら、北米インフィニティQ70に用意されている趣味性の高い5.6L V8エンジン車を導入してもいいくらいだ。

　そう考えると、やはり多少高額にはなるがハイブリッド車を中心に選びたい。できれば、ガソリン車のタイプSと同様なスポーツグレードがあったらベストだと思うが、設定されていないのが残念だ。

●エクステリアデザインの一新
立体感とシャープさを際立たせたフロントグリルにウェーブメッシュパターンを採用
LEDポジショニングランプ
LEDヘッドランプ
ヘッドランプと同じく特徴的なシグネチャーを用いた質感の高いLEDリヤコンビネーションランプ
周囲からの視認性を向上したサイドターンランプ内蔵電動格納式リモコンカラードドアミラー
新デザインの18インチアルミホイール
クロームの縁取りをあしらったLEDターンランプとLEDフォグランプを組み込んだ新形状フロントバンパー
新形状トランクリッド
新形状リヤバンパー
ワイド&ローのプロポーションを際立たせる専用エアロバンパー（「370GT Type S」）
プレミアムブラウン、ダークメタルグレー、ダークブルーの新色3色を含む全7色をボディカラーに設定

●全方位運転支援システム
（アラウンドビューモニター以外は、「250GT A Package」「370GT FOUR A Package」「HYBRID A Package」を除く全車に標準装備）
PFCW（前方衝突予測警報）
2台前の車両の動きを検知し、前方車両の急な減速を予測します。自車の減速が必要と判断した場合にはディスプレイ表示とブザーによる警報でドライバーに注意を促す。
約60km/hでも衝突回避が可能なエマージェンシーブレーキ（自動ブレーキ）
BSW（後側方車両検知警報）/ BSI（後側方衝突防止支援システム）
車線変更時に隣の車線の車両を検知して接触事故のリスクを低減。
BCI（後退時衝突防止支援システム）
後退時に接近する車両を検知して衝突のリスクを低減。
MOD〔移動物 検知〕機能および駐車ガイド機能を追加したアラウンドビューモニター（全車標準装備）
歩行者など周囲の移動物を検知し、ディスプレイ表示とブザーでドライバーの注意を喚起するMOD〔移動物 検知〕機能により安心感を高める。

●快適性（乗り心地、静粛性、座り心地）の向上
ショックアブソーバー内部の高応答リップルコントロール形状の変更により、微小ストローク時のシールとピストンロッド間の摩擦抵抗を安定化。小刻みな振動や、うねりのある路面での上下ショックを低減し、スムーズな乗り心地を実現。
ロードノイズを低減する新高剛性18インチアルミホイールを採用するとともに、ボディに遮音材、吸音材、制振材を追加することで、市街地走行時のロードノイズの遮断および高速走行時の遮音感を向上し、高い静粛性を実現。
ホールド性を高めて座り心地を向上した新形状のリヤシートを採用（「HYBRID VIP」「370VIP」）

●利便装備
内部に植毛処理を施した蓋付き小物入れを追加

■日産フーガ価格
＜2.5L車＞
・250GT Aパッケージ 4,104,000円
・250GT 4,710,960円
・250VIP 5,002,560円
＜3.7L車＞
・370GT 5,024,160円
・370GT Type S 5,622,480円
・370VIP 5,924,880円
＜3.7L 4WD車＞
・370GT FOUR Aパッケージ 4,644,000円
・370GT FOUR 5,240,160円
＜ハイブリッド車＞
・HYBRID Aパッケージ 5,139,720円
・HYBRID 6,205,680円
・HYBRID VIP 6,745,680円

代表グレード	日産 フーガ ハイブリッド
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	4980×1845×1500mm
車両重量［kg］	1850kg
総排気量［cc］	3498cc
エンジン：最高出力［ps(kw)/rpm］	306ps(225kW)/6800rpm
エンジン：最大トルク［kg-m(N・m)/rpm］	35.7kg-m(350N・m)/5000rpm
モーター：最高出力［ps(kw)］	68ps(50kW)
モーター：最大トルク［kg-m(N・m)］	29.6kg-m(290N・m)
システム出力［Kw(ps)］	268Kw(364ps)
トランスミッション	マニュアルモード付電子制御7速ハイブリッドトランスミッション
JC08モード燃費［km/L］	18.0km/L
定員［人］	5人
消費税込価格［円］	6,205,680円
発売日	2015/2/13
レポート	編集部
写真	日産

　日産 は、2月中旬に大幅マイナーチェンジを施し発表する予定の新型日産フーガ の外観画像を公開した。

　日産フーガは、2004年に初代フーガがデビュー。その後、2009年に2代目フーガが登場した。そして、ついに2010年10月に1モーター2クラッチ式のハイブリッドシステムを搭載したフーガ ハイブリッド が投入され話題となった。日産フーガは、北米でプレミアムブランドであるインフィニティQ70 として販売されている。

　今回公開された新型フーガの外観でひと目で違いが分かるのが、フロントグリルとヘッドライト。グリル中央にあった日産エンブレムは、インフィニティエンブレムへ変更された。スカイライン と同様なイメージをもつ鋭い眼光をもつヘッドライトに変更され、一段とシャープで精悍さをアピールしている。

　こうした流れは、スカイラインにフーガと、日産の高級セダン は、車名こそ違うものの北米インフィニティモデルに統一されていくことを予感させる。

　未だ新型日産フーガの詳細は明らかにされてはいないものの、北米のインフィニティQ70はすでに発表済み。これによると、インフィニティQ70ハイブリッドのスペックに、大きな変更はないようだ。恐らく、3.5Lの306psエンジンと68psのモーターの組み合わせで、システム出力364psのままだろう。このハイブリッドシステムは、約100㎞/hまでEV 走行を可能とし約2㎞走行可能だという。
　
　インテリアデザインも、画像で見る限りでは、それほど大きな変更点は無い印象。主に、外観デザインが大きく変更されているようだ。

　また、スカイラインで搭載されたステアリングのバイワイヤ技術であるダイレクトアダプティブステアリングなどが、新型フーガに搭載されているかなどは不明だ。

　インフィニティブランドは、すでに欧州でも発売されており、ガソリンエンジンだけではなくディーゼル車 も用意されている。また、北米ではV8 5.6Lというモデルもあることから、現在の2.5L、3.7L、ハイブリッドといった日本仕様のエンジンラインアップも若干変更になる可能性もある。

　とくに2.5L V6エンジンは、そろそろ役割を終えていることから、スカイラインにも搭載されたメルセデス・ベンツ製2.0Lターボの搭載も十分に考えられるだろう。新型フーガのパワーユニットにも注目したい。

　そして、新型日産フーガの価格。インフィニティQ70の価格は55,900ドル。日本円に換算すると約670万円。さすがに、この価格だと高価な印象。同時期に発売が予定されているホンダ レジェンド がAWD で680万円。この価格を目安にすると、現行フーガは600万円をわずかに切っていたものの、新型フーガのメイングレードの価格は少々アップし、630万円前後になると予想した。

　多くの企業の決算が3月と言うこともあり、法人名義で購入されることの多い新型フーガに新型レジェンドと高級セダンの争いは激しくなりそうだ。

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