新型マツダ 3(アクセラ)プロトタイプ試乗記・評価 素性の良さに期待大! 5月下旬デビュー!!

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【マツダ】2019/05/17

マツダ3プロトタイプ

2019年5月下旬、次期新型マツダ3(アクセラ)が登場!

マツダ3プロトタイプ5月下旬、マツダアクセラのモデルチェンジを行う。正式発表に向けてカウントダウンが始まったが、次期モデルの車名は、慣れ親しんだアクセラではなく海外と同じように「マツダ3」を名乗る。

鳴り物入りで登場する新型マツダ3は、今年の新車の主役となる1台である。その走りの実力について、多くの人が注目しているはずだ。新型マツダ3の実力の一端を、ひと足先に確認することができた。量産に向けた試作モデルだから、当たらずとも遠からず、の実力であることは間違いない。

 

 

 

新型マツダ3プロトタイプを雪上で試乗

プロトタイプに乗る機会を得たのは、北海道剣淵町にあるマツダの雪上コースである。特設コースでステアリングを握ったのは、カムフラージュされた北米向けの4ドアセダンとヨーロッパ向けの5ドアハッチバックだ。どちらもFF(前輪駆動)車で、左ハンドル車だった。

それだけではない。マツダCX-3に進化版のi-ACTIV AWDとGVC(Gベクタリングコントロール)を搭載した試作車に乗ることもできたのだ。もちろん、このメカニズムも次期マツダ3に搭載されることが決まっている。

最初にステアリングを握ったのは、スカイアクティブGと呼ぶ2.0Lのガソリンエンジンに電子制御6速ATを組み合わせたマツダ3のFF車だ。新旧のマツダ3に乗って違いをチェックした。

マツダ3プロトタイプ

 

 

 

新世代プラットフォームとリヤサスペンションに注目

新型マツダ3で注目したいのは、新世代のスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャを採用したことである。もうひとつの注目点は、リヤサスペンションの形式変更だ。

これまで、アクセラは独立懸架のマルチリンク式だった。これに対し次期マツダ3のリアサスペンションは、シンプルな構造のトーションビーム式を採用している。ただし、滑らかに動くように形状に工夫を凝らした。

プラットフォームとサスペンションを一新しただけでなく、振動を抑えるためにボディ各部を適切に補強し、パネルの結合部には減衰ボンドも使用している。

 

バランス保持能力の理論を使った新開発のシートの出来は?

マツダ3プロトタイプまた、人間が持っている動的バランス保持能力に注目し、バランス保持能力を最適に引き出せるシートを開発した。人間が歩くときは、骨盤と上体を自然に逆方向に動かし、頭部を安定させ、骨盤を立てて脊柱が自然なS字カーブを描くようにして歩いている。人間は、骨盤の動きの連続性と規則性を保つために、下肢が地面からの反力を整えて骨盤へと伝えているのだ。

この動的バランス保持能力の理論をシートづくりに応用した。規則的に、連続的に滑らかに動かす理想の状態をクルマでも実現しようと、したのである。そのために歩行時と同じように動的バランス保持能力を発揮できるシートを開発し、次期新型マツダ3に採用した。フロントシートは、背骨がS字カーブを描き、骨盤をきれいに包み込んでくれるから座り心地がいい。しかもきちんとした姿勢で座るから、ステアリングを操作しやすかった。

新設計のシートはフィット感に優れ、コーナリングでは体をしっかりと支えてくれる。ステアリング操作だけでなくアクセルペダルとブレーキペダルの操作も自然だ。加えて、頭部の揺れや視線の動きなどが小さいことがデータロガーによる比較で分かった。また、後席の座り心地とホールド感、これも先代のマツダ3より大幅によくなっている。

 

 

 

新旧マツダ3を比較・評価

場内の取り付け道路で、新旧2台のマツダ3の走りの違いを比べてみた。新型マツダ3は剛性が高く、ボディやフロアがしっかりしているように感じられる。

走行中の不快な振動や騒音もグッと低く抑えられていた。ハンドリングも別物だ。操舵フィールの落ち着きが増し、ほんの少し舵を切ったときでも狙った通りにクルマが気持ちよく動く。滑りやすい雪道でも正確なハンドリングを見せ、ライントレース性、コントロール性ともに優秀だ。

ステアリングを切り込んでいくと素直にクルマが向きを変える。旧マツダ3はタイトなコーナーや速いコーナリングではアンダーステアが顔を出す。最新モデルは洗練された操舵フィールを身につけ、狙ったラインに乗せやすい。操舵したときもクルマの動きは滑らかだ。グリップを失い、クルマが滑ったときもコントロールしやすかった。

この意のままの気持ちいい走りに大きく貢献しているのが車両運動制御技術の進化である。新型マツダ3はシステム間のさらなる統合制御によって持てる実力をフルに引き出せるようになった。

 

 

 

低ミュー路ほど、より実感できるGVC

マツダ3プロトタイプGVC(G-ベクタリングコントロール)は、コーナリングしているときにエンジンのトルクを少し絞り、荷重移動を速やかに行う車両安定制御システムである。GVCを働かせると前輪の接地性が高められ、旋回、回頭性がよくなるのだ。新型マツダ3はモーメント制御を緻密に行うGVCプラスへと進化させ、さらに挙動が安定するようになった。

試乗したプロトタイプには、GVCプラスのオン/オフスイッチが装備されていたから、その違いは明快だ。GVCプラスを切ってスラローム走行をしてみた。新型マツダ3は、シャシー性能と足の動きがよくなっているから、GVCプラスを切ってもコントロールしやすい。

だが、スピードを上げていくとリズムが乱れ、リアも流れ出す。揺れの収まりとクルマの動きが鈍いから、狙ったラインに乗せるためにはステアリング操作を忙しく行う必要がある。ついにはアンダーステアが出て、曲がれなくなった。

GVCプラスをオンにすると、同じスピードなら安定感、接地感ともに大きく向上しているように感じられる。ステアリングを戻したとき、ロールしたときの揺り戻しが減り、挙動の乱れは大幅に減った。速度を10km/hほど上げてもドライバーにはコントロールできる余裕がある。林間コースでも舵の利きがよく、コントロールしやすかった。

連続するコーナーを駆け抜けても揺り返しが減り、姿勢は安定している。レーシングドライバーのように滑らかなコーナリングを見せ、ミューの違う路面を走ったときのクルマの挙動も安定していた。

ミューの低い雪道では、とくに効果は絶大である。スラロームやダブルレーンチェンジのような場面でも明確な違いが感じ取れた。ステアリングを戻すタイミングで外側のタイヤに絶妙にブレーキをかけ、安定性を高めてくれるのだが、その介入は自然だ。回頭遅れがほとんどなく、舵の収束は早い。また、不快な揺り返しも小さく抑えられていた。コントロールできる範囲が大きく広がり、運転がうまくなったように感じられるのである。

コーナリングの途中からはブレーキを制御してステアリングを戻す操作時の収束性を高めてくれるのがミソで、狙った通りにクルマが向きを変えた。スラローム走行をしても余裕があり、滑ったときも余裕を持って対処できる。走行中の静粛性が向上していることも特筆できるところだ。エンジン音は低く抑えられ、後席でもロードノイズが耳につかない。

マツダ3プロトタイプ

設計哲学の集大成が新型マツダ3

マツダは加速から減速、コーナリングまで、運動性能の連携性にこだわり続けてきた。新型マツダ3は、その設計哲学の集大成モデルだ。ブレーキやステアリング、アクセルなどの操作感と応答性をバランスさせ、一貫性を持たせることによって人が運転しやすい車両特性を実現している。2代目より正確なハンドリングを身につけ、コントロールできる領域も広げられていた。また、マツダのDNAである操る楽しさの演出も上手だ。

エンジンの実力は、雪道だから評価できるレベルにはなかった。だが、印象的だったのは、2.0LのスカイアクティブGが軽やかなパワーフィーリングだったことである。実用域でフラットなトルクを発生するから雪道でも扱いやすかった。6速ATも洗練度を高め、つながりは滑らかさだ。静粛性も向上している。

 

 

 

GVCと統合制御され意のままに走れる4WDとなった新型マツダ3

新型マツダ3には4輪駆動のi-ACTIV AWDの設定もあるようだ。CX-5などと同じ電子制御式のアクティブ・オンデマンド4WDで、路面状況が変わって滑りやすくなると前後輪のトルク配分を自動的に可変させ、クルマを安定方向に導く。

i-ACTIV AWDの特徴は、各種のセンサーを総動員して路面状況やドライバーの操作を先読みし、前後の駆動トルクを瞬時に連続可変してクルマを安定させることだ。これがとても緻密なのである。

最新のi-ACTIV AWDは自然に操作でき、人間感覚に合った人間中心の思想をさらに強化した。限界域まで意のままにGVC協調制御できるようにし、操縦安定性を向上させている。そのために制御ロジックを統合し、トルクコントロール領域も広げた。トルク変動を抑えるために追加したのがパワーテイクオフダンパーだ。また、リアデフユニットの抵抗を低減するために低粘度オイルを採用した。実用燃費もよくなっているはずである。

マツダCX-3に搭載したi-ACTIV AWDは、新旧で大きな違いを見せた。最新のi-ACTIV AWDは動き出しの瞬間から強力なトラクション性能を発揮し、ロスなくクルマが前に出る。スタッドレスタイヤの能力を上手に使い切っているのだ。コーナリングでも狙ったラインに乗せやすい。

コーナーからの脱出では前輪へのトルクを上手に戻して旋回時の挙動の収束を早くしている。安定していることに加え、旋回特性もニュートラルだ。

ステアリングを切り込んだときにエンジンのトルクを絞り、前輪に荷重を移動させることによって滑らかなコーナリングを実現しているのが売りだが、実際に走ってみると違いは分かりやすかった。

ターンインではステアリングを切り込む舵角が小さくてすむ。コーナー脱出の立ち上がりでも動きは滑らかで、無駄がない。八の字旋回では旋回中にクルマが外側にはらむアンダーステアに悩まされないし、修正舵を当てる回数も大きく減っている。前後のトルク配分は今までより後ろ寄りになったようだ。安全な走りを手助けしてくれるだけでなく、コントロールする楽しさも増していた。

新型マツダ3は、グローバル市場を狙ったマツダ渾身のファミリーカーである。その素性のよさは最終プロトタイプの雪上試乗で確認できた。走りの質に加え、内外装の質感も大幅に高められている。その真の実力をご自分の腕でチェックしてほしい。

<レポート:片岡英明>

 

 

 

 

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