FF最速を目指したシビックTYPE Rの歴史
ホンダは、スポーツカーのシビックTYPE Rをフルモデルチェンジし発売を開始した。新型シビックTYPE Rは、今回のフルモデルチェンジで6代目となる。
初代シビックTYPE Rは、1997年に登場した。その後、モデルを重ねるたびに、速さへのこだわりが強くなっていった。大きな変革期となったのがFK2型の4代目シビックTYPE Rだ。このモデルから、なんとニュルブルクリンクでFF(前輪駆動)車最速を目指し、エンジンは新型と同じくK20C型直4ターボエンジンを搭載。最高出力は310psを発揮した。
その後、5代目FK8型シビックTYPE Rになると、エンジンもやや進化し320psをアプトプット。プラットフォームが刷新されたことにより、運動性能は飛躍的に向上。再び、ニュルブルクリンクでFF最速の座を奪い返した。
よりワイド&ローなボディサイズになり、運動性能が向上
このように、4代目シビックTYPE Rから、FF最速にこだわり続けてきたモデルでもある。6代目シビックTYPE Rのフルモデルチェンジでも、FF最速、究極のFFスポーツカーを目指して開発されている。
ただ、プラットフォームとエンジンは5代目と同じ。劇的進化というよりは、熟成バージョンのように見える。
ただ、熟成型プラットフォームは、ホイールベースを先代から+35mm伸ばして2,735mmとした。さらに、全幅は+15mm、全高は−30mm、左右のトレッドもワイドになった。全体のシルエットは、よりワイド&ローが強調されスポーツカーらしさが増している。とくに全幅&トレッドの拡大と全高を下げたことは、運動性能を一段とアップしたことが伺える。
運動性能の高めるために、タイヤサイズは265/30ZR19となった。FF車は、フロントタイヤの負担が大きい。そのため、旋回限界を高めるためには高い荷重領域でのタイヤパフォーマンスをいかに確保するかが鍵となる。そこで、6代目新型シビックTYPE Rでは、荷重移動特性から、最適なタイヤをミシュランと共同開発。旋回時最大Gにおいて、FFモデルナンバー1を実現したという(ホンダ調べ)。
さらに、タイヤのグリップにこだわり、ノーマルタイプのリムに対し、インナーとアウターの形状を反転させた 「リバースリム構造」 を採用した。これにより、ホイールイン側の歪みを低減し、旋回Gや加減速時のタイヤ内側の接地圧を安定させ、さらなる接地性向上と、タイヤの能力をさらに高く引き出している。
この専用タイヤやホイールに合わせて、デュアルアクシス・ストラットサスペンションも進化させている。
数値向上だけでなく、スポーツカーとしての感性領域も重視
そして、K20C型2.0Lターボエンジンも進化している。主にターボチャージャーを刷新。ターボエンジンは、ターボラグによるレスポンスの悪化がある。レスポンスの悪化を避けるために、ターボのハネの枚数を減らすなど、回転系の慣性を13%低減。ターボ効率を向上させて高出力・高レスポンス化を達成した。もちろん、吸気系や排気系、ECUも改良が施された。
その結果、出力はさらに10ps、トルクは20Nmそれぞれアップし330ps&420Nmとなっている。
6代目新型シビックTYPE Rにも2ペダルではなく、引き続き3ペダルの6速MTが採用された。速さを求めるのなら、2ペダルがベストな選択といえるが、そこは価格や、コストの問題なのだろう。
今回も究極のシフトフィールを目指し、新設計のシフトレバー構造を採用。レバーの高剛性化と横方向のレバーのガタつき要素を排除。ダイレクト感と節度感を向上させている。
さらに、トランスミッション内部のシフトリンク機構の最適化や、シフトゲートのストレート部分を延長。5速から4速といった斜めシフト時のスムーズ感を向上し、すっきりとした操作感に磨きをかけた。
シフトフィールの向上の他、クラッチのフライホイールが軽量化された。減速操作に合わせてエンジン回転数を自動調整するレブマッチシステムは、エンジン回転数差が最も大きい2速から1速へのシフトダウンにおいても適用できるようになっている。
新型シビックTYPE Rは、排気サウンドにもこだわった。エンジン回転上昇時の中周波音を増強。迫力ある排気原音とした。
また、排気の主流が通過するサイレンサーの中央配管には、アクティブ・エキゾーストバルブ機構を新採用。エンジン回転数に応じて最適なバルブ開度とすることで、車外騒音法規を満たしながら、エンジン出力向上と迫力ある排気サウンドを両立。さらに、アクティブサウンドコントロールシステム(ASC)を採用し、駆動力レスポンスに呼応する気持ちの良いエンジンサウンドを実現しました。
速く走るための客観的データが手に入るHonda LogR
6代目シビックTYPE Rの外観デザインは、現行シビックベースだが、細部に渡り速く走るための工夫が施されている。限界走行時における安定性を実現するため、フロントとリアともにダウンフォースを向上。ダウンフォースを得ながら空気抵抗も減らしている。
リアスポイラーは、まるでアフターパーツのように贅沢なアルミダイキャスト製のステーを装備。空気抵抗を低減するとともに、リアスポイラー下面に負圧が発生する面積を拡大しダウンフォースを向上させた。
その他、スポーツカーを楽しむために、シビックTYPE R専用データロガーであるHonda LogRを車載ナビにアプリとして搭載。ステアリング舵角やブレーキ圧、アクセル開度、ヨーレート、前後左右のGや、3Dモーション、タイヤの摩擦円をリアルタイムに算出して表示。運転の癖や他の速いドライバーとの違いなど、データで走りを分析できるようになり、ドライバーのスキルアップに役立つ機能となっている。
発売直後から、リセールバリュー爆上がり確定!? 買って損無し?
新型6代目シビックTYPE Rは、恐らくホンダにとって最後の純ガソリンスポーツカーになるだろう。
先代シビックTYPE Rは、現在も高い人気を誇っていて、中古車価格は非常に高値を続けている。非常に高いリセールバリューとなったモデル。それに加え、新型6代目シビックTYPE Rは、最後の純ガソリン車という要素が加わる。しかも、ホンダのホームページではコロナ禍の影響で納期半年以上。
しかも、巷では注文が殺到し、今から注文しても数年待ちとの噂もあるほど。こうなると、もはや6代目シビックTYPE Rのリセールバリューは爆上がり確実と思われる。恐らく、しばらくの間、中古車市場では、新車価格を超える価格で取引される可能性が高い。
こうしたマーケットが正しい姿とは思わない。だが、リセールバリューが高ければ、乗換えの時に支払い金額も少なくなりメリットが大きいのも事実。リセールバリューの高さも新型6代目シビックTYPE Rが顧客にもたらすベネフィットでもある。新型6代目シビックTYPE Rは、とても魅力的なクルマなので、しばらく待ってでも手に入れたいモデルでもあることに間違いない。
ホンダ シビックTYPE R価格
・4,997,300円
ホンダ シビックTYPE R燃費、ボディサイズなどスペック
ボディサイズ 全長×全幅×全高[mm]:4,595×1,890m×1,405
ホイールベース[mm]: 2,735
最低地上高[mm]: 125
最小回転半径[m]: 5.9
乗車定員[m]: 4
車両重量[kg]: 1,430
総排気量[cc]: 1,995
エンジン種類:K20C型 直4 DOHC16バルブ ターボ
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm]:243(330)/6,500
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm]: 420〈42.8〉/2,600-4,000
ミッション:6速MT
WLTCモード燃費[km/l]: 12.5km/l
サスペンション前/後:マクファーソン/マルチリンク
タイヤサイズ:265/30ZR19
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