ホンダ フィット新車情報・購入ガイド こだわったのは数値ではなく、心地よさ

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【ホンダ】2020/03/05

ホンダ フィット

 

N-WGNのトラブルが飛び火し、発売が大幅遅延した4代目新型フィット

ホンダ フィットホンダは、主力コンパクトカーのフィットをフルモデルチェンジし発売を開始した。フィットは、今回のフルモデルチェンジで4世代目となった。

4代目新型ホンダ フィットは、2019年秋に発売が予定されていた。しかし、N-WGNに端を発してブレーキ部品の不具合が見つかったため、仕様変更や対策部品への交換などのため発売が遅れていた。こうした対策を終え、なんとか繁忙期ギリギリに発売ができるようになった。

ホンダ フィットは、2001年に初代モデルが発売された。ホンダのM・M(マン マキシマム・メカ ミニマム)思想を具現化してコンパクトなボディの中に広い室内空間を持ち、多彩なシートアレンジを可能とした。初代フィットは、当時のコンパクトカーの常識を破ったクルマとして大ヒットした。カローラから33年も続いていた販売ランキング首位の座を奪ったのも初代フィットだった。

その後、2007年に発売された2代目モデル、2013年に発売れた3代目と代を重ね、今回のモデルが4代目に当たる。今では、世界各国で販売されるグローバルモデルとして成長を続けている。

ただ、3代目は発売直後にリコールを繰り返した。スタート直後の大転倒は、その後、大きな痛手となり、フィットの販売台数は伸び悩んだ。今回も発売の遅れがあったことで、発売に絡んでトラブルが発生したのは2世代連続になった。フィット初のトラブルでは無いものの、ホンダの品質管理には、やや疑問を感じさせるデビューとなってしまった。

ホンダ フィット

 

 

新型フィット、4つのこだわりとは?

ホンダ フィット4代目となる新型フィットは、歴代フィットが築き上げた基本性能を始め、コンパクトカーとは思えない圧倒的な室内空間とそのユーティリティーの高さなど、優れた特徴をしっかり継承した。そして、よりユーザーが満足できるクルマを目指して開発された。

ホンダは、ユーザーがクルマに対して求めているものが、クルマでの移動においてもリラックスや癒しであるとの潜在的なニーズを認識。そのニーズに応える「心地よさ」を4代目フィットの新たな提供価値として掲げ、ホンダならではの独創的な技術を織り込むことで「心地よさ」を具現化している。

新型フィットの4つのこだわり、「心地よい視界」

フロントピラーは、断面構造を変えることで従来の半分以下の厚さにした。これによって死角の少ない開けた視界を確保した。

当然ながら十分な強度も合わせて確保し、衝突安全性能にも優れたものにしている。水平・直線基調のインストルメントパネルやシンプルで見やすいバイザーレスメーターの採用などと合わせて、安心感のある心地よい視界を実現した。

「快適な座り心地」

座った瞬間に心地よさが感じられるシートを目指し、フロントシートには骨盤から腰椎までを樹脂製マットで支えるボディスタビライジングシートをホンダとして初採用。

リヤシートも、コンパクトカーでありながら大人がゆったりと座れる厚みのあるやわらかなパッドを採用。前後席ともに長距離ドライブでも疲れにくいを実現している。

「快適な乗り心地」

パワートレーンは、2モーターならではの力強い加速と滑らかな走りを実現するホンダ独創のハイブリッドシステムであるe:HEVをコンパクトカーとして初搭載。優れた燃費性能だけでなく、走る楽しさを両立させた。

また、軽量化・高剛性化・高強度化を徹底したボディや、衝撃を素早く吸収して路面をしっかりととらえるサスペンションなどと合わせ、快適な走りと乗り心地を実現している。

「使い心地の良さ」

歴代フィット同様の広い室内空間や多彩なシートアレンジを継承。さらに、気軽にかばんなどを置けるテーブルコンソールをフロントシートの間に設置。収納レイアウトについても視線・動線を考え抜いた配置とした。

ハイブリッド車は、IPU(インテリジェントパワーユニット)の小型化により荷室容量を確保。これらによって使い心地の良さを実現した。

ホンダ フィット

 

 

ライフスタイルに合わせたグレード設定

4代目新型フィットでは、従来のように装備などの違いでグレードを設定するのではなく、ユーザーのライフスタイルやライフステージに合わせて選択が可能な5つのタイプを揃えている。

シンプルで自分らしさが光る“BASIC”(ベーシック)、生活になじむデザインと快適性を備えた“HOME”(ホーム)、毎日をアクティブに過ごしたい人のための“NESS”(ネス)、週末に出かけたくなるエンジョイライフに応える“CROSSTAR”(クロスター)、洗練と上質を兼ね備えたスタイリッシュな“LUXE”(リュクス)から、最適なフィットを選べる。

 

3代目の反省点はデザイン? 癒し系デザインになった4代目フィット

ホンダ フィット4代目新型フィットの外観デザインは、「親しみ」「安心感」「走り」をキーワードに、だれからも愛されるデザインを目指した。

ひと目で分かる通り、4代目新型フィットのデザインは、3代目フィットのデザインテイストを一切感じさせない。大変貌を遂げた。これは、3代目フィットのデザインが不評で、販売が伸び悩んだことが大きな要因とされている。

そこで、4代目新型フィットでは、クルマ全体にわたるシームレスなサーフェスと、シンプルでありながらぬくもりを感じさせるフロントフェイスによって、思わず触れたくなるような「親しみ」を表現。車内からも車外からも「包まれている安心」が感じられる造形とした。

また、フロントピラーからルーフへのつながりを流れるような前傾ラインで構成。フェンダーは、滑らかさを持たせながら、しっかりと張り出し安定感をアピール。造形そのもので前進感や躍動感のある「走り」を表現している。

フロント回りは、ちょっとファニーな印象を与えるデザインを採用。存在感を主張するグリルを廃することで、フロント全体にシンプルで穏やかな印象を与えている。そのうえで、優しいまなざしを思わせるヘッドライトを採用。各種のパーツを、全体バランスを重視しながら入念にデザイン・配置することで、親しみを超え信頼までも感じられるフロントフェイスとしている。このグリルレスのデザインが、穏やかな癒し系ともいえる優しい顔を生み出している。

4代目新型フィットでは、人の目に相当するヘッドライトを、つぶらな瞳を思わせるデザインとすることで、親しみやすさを強調した。フルLEDヘッドライトは、プロジェクタータイプを採用したうえでハウジングをブラックアウトし、瞳のイメージを強調。デイタイムランニングランプとターンランプを、あたかも人の目を縁取ったかのように配置している。

ボディサイドのデザインでは、キャラクターラインを初めとするデザイン要素を限界まで減らすことで、塊そのものの造形美を率直に表現した。

フロントピラーからルーフエンドまでの流麗なラインを、角度と幅を吟味したリアピラーで受け止め、豊かに張り出させたリアフェンダーにつなげることで、躍動感と安定感を強めている。テールゲートは、従来モデルに対し前傾させることで、塊感を強調しながら軽快な印象が与えられた。

リヤビューは、塊感の強い台形フォルムをベースに、横基調のリアコンビネーションランプを低い位置で車幅いっぱいに配置し、厚みを持たせたバンパーとともにどっしりとした低重心イメージを創出した。

リアウインドウやリアコンビネーションランプを、ボディーパネルとの段差が少ないシームレス表現とすることで塊感をさらに強調し、安定感と安心感に満ちたリヤビューを実現している。

ホンダ フィット

 

 

新開発の次世代シートを投入し快適性を向上

ホンダ フィットインテリア回りのデザインは、「明るく」「楽しく」「気持ちよく」がベース。パノラマ視界を引き立てるインパネデザインや、後席乗員の視界に配慮したフロントシートなどにより、乗員みんなが明るく爽快に過ごせるインテリア空間を目指している。

楽しく運転ストレスを軽減するシンプルで見やすいインターフェイスや、リビングテーブルを思わせるフレキシブルアタッチメントテーブルなどにより、豊かなコミュニケーションを後押しする環境づくりをしている。

フロントシートは、新開発された。新世代フレームを初採用。ホールド性と座り心地を高い次元で両立させた。ボディースタビライジングシートが用意された。座面パッドは従来モデルに対し30mm以上厚くし、パッドの硬度を下げることでソフトな着座感を実現している。

 

燃費勝負を回避? トヨタ ヤリスに引き離された燃費性能

ホンダ フィット新型フィットに搭載されるパワートレーンは、1.3Lのガソリンエンジンと、1.5Lのガソリンエンジンにふたつの電気モーターを加えたハイブリッドの2種類が設定される。

1.3LでアトキンソンサイクルのDOHC i-VTECエンジンは、72kW/6000rpm、118N・m/5000rpmの動力性能を発生し、WLTCモードの燃費はモデルによって19.4km/L~20.4km/L(FF車)となっている。組み合わされるトランスミッションは新たに開発された無段変速のCVTだ。

ハイブリッドはホンダがe:HEVと呼ぶ2モーターのハイブリッドシステムで、これがコンパクトカーに搭載されるのは初めてだ。このシステムは、エンジンで発電しながらモーターで走行するシリーズ式の「ハイブリッドドライブ」を基本に、バッテリーに蓄えた電力のみで走行する「EVドライブ」や、エンジンで直接タイヤを駆動する「エンジンドライブ」など、3種類のドライブモードを状況に応じて最適に使い分け、あらゆるシーンで高効率な走行を実現する。

動力性能は1.5LでアトキンソンサイクルのDOHC i-VTECエンジンが72kW/5600~6400rpm、127N・m/4500~6000rpmのパワー&トルクを発生し、モーターは80kW/3500~8000rpm、253N・m/0~3000rpmを発生する。2モーターは電気式のCVTに組み込まれ、コンパクトなシステムに仕上げられている。4代目新型フィットのWTLTCモード燃費は仕様によって27.2km/L~29.4km/Lに達する。

ガソリン車、e:HEVのハイブリッド車とも、全タイプにビスカスカップリング式の4WD車が設定されている。

 

 

数値、ナンバー1にこだわり続けるホンダに期待したい

ホンダ フィット新投入されたe:HEVの燃費値は、最もよいグレードで29.4㎞/L。ライバルとなるトヨタ ヤリスの燃費は36.0㎞/Lなので、6.6㎞/Lもの差が付いた。4代目新型フィットの燃費性能は、ヤリスの82%程度に止まった。

ホンダは、実燃費の向上を含め、数値にはこだわらない、としている。しかし、これだけ大差を付けられると、もはや「数値にこだわらない」は言い訳にも聞こえてくる。完全に白旗を上げてしまったようにも見える。

世界トップレベルの燃費値を誇る日本のハイブリッド車は、ある意味、多くのメーカーが数値にこだわって積み上げてきた技術の結晶でもある。そして、圧倒的な技術力で、それをリードしてきたホンダから「数値にこだわらない」というアピールは、トヨタへの敗北宣言とも受け取れる。愚直に燃費0.1㎞/L、出力1psと数値にこだわり続け、ナンバー1を目指すホンダの姿をまだまだみていたい。

 

クラストップレベルの室内空間を維持

ホンダ フィット4代目新型フィットは、引き続きホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用。クラストップレベルの室内空間を誇り、快適で使い心地の良い室内空間を作っている。

使い勝手面では、センターコンソール部分に設置したフレキシブルアタッチメントテーブルが新しいアイデアで、鞄などを気楽に置けるものとした。豊富な収納スペースを持つのは従来のモデルと変わらない。

リヤシートはユーティリティーモード、ロングモード、トールモードなど、さまざまなアレンジが可能で、長尺物や高さのあるものなど、積載する荷物によって自在な使い勝手を実現する。これも従来のモデルと変わらない。

荷室の開口部は従来に比べて幅を拡大し、荷物の出し入れを一段と容易なものにした。ハイブリッド車の荷物は、メカニズム部分を見直すことで、段差をなくして使いやすくするとともに、荷室アンダーボックスの容量を拡大している。

 

 

ミリ波から、ワイドビューカメラに変更したホンダセンシング

ホンダ フィット自動ブレーキなどの予防安全装備「ホンダセンシング」は、フロントのセンサーをミリ波レーダーからワイドビューカメラに変更し、高速画像処理チップと組み合わせることで、機能と性能を高めた新システムを採用した。

従来からの機能も合わせ、11種類の機能を備えることで、サポカーS<ワイド>に相当する仕様としている。

「ホンダセンシング」は、以下の機能を備えている。
1)衝突軽減ブレーキ<CMBS>
2)誤発進抑制機能
3)後方誤発進抑制機能
4)近距離衝突軽減ブレーキ
5)歩行者事故低減ステアリング
6)路外逸脱抑制機能
7)渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロール<ACC>
8)車線維持支援システム<LKAS>
9)先行車発進お知らせ機能
10)標識認識機能
11)オートハイビーム

ホンダ フィットまた、コネクティビティを強化しつながるクルマとして、ホンダコネクトを初搭載。機能は以下の通り。

1)緊急サポートセンター
・エアバッグ展開時自動通報
・緊急通報ボタン
・トラブルサポートボタン
2)Honda リモート操作
・エアコン操作
・し忘れ通知・ドアロック操作
・クルマを探す
などの機能を備えた。申し込みから12か月は無料で、それ以降は有料のサービスとなる。

 

 

新型ホンダ フィットのグレード選び

ホンダ フィット4代目新型フィットのバリエーションは、ガソリン車とハイブリッド車の両方に、ベーシック、ホーム、ネス、クロスター、リュクスの5タイプが設定されている。合計10タイプの設定で、さらに全車にFFと4WDの設定がある。

価格帯はガソリン車のベーシックは150万円からの設定で、e:HEVのハイブリッド車の4WDが250万円台までと幅広い。

今回の新型フィットでは、グレードと呼ばずユーザーの使い方に合わせたタイプという表現を使っているが、基本的にはタイプによる装備の違いなどもあってグレードと大差のない印象だ。

まず、ガソリン車かハイブリッド車かという選択だが、ガソリン車に対してハイブリッド車は35万~45万円も高い設定である。この差は、かなり距離を走るユーザーでないと燃費差による燃料費では取り戻せないから、大半のユーザーにとっては1.3Lエンジンを搭載したガソリン車のほうが経済的だ。

ただ、これからクルマを買うというのに、普通のガソリン車といのも環境面的にも微妙な選択。予算に余裕があるのであれば、環境や先進性といった観点からもハイブリッド車という選択がお勧めだ。

5タイプのうちまずベーシックは、装備が貧弱なので問題外。安全装備などは全車標準ながら、いろいろな装備が省略されている。逆にリュクスも本革シートなど、さほど必要ではない装備が設定されていて高価なので、これも除外して考えていいだろう。

さらに、クロスターも外観デザインの違いなどによってリュクスに近い価格設定がされている。よほど、このデザインが好きというのであれば話は別になるが、基本的にはこれも除いて考えていいだろう。

そうなると、ホームかネスのいずれかという選択が無難になる。この2タイプの間には、けっこういろいろな装備の違いがある。スピーカー数が2と4で違っているほか、撥水シートやプラズマクラスター、LEDフォグライト、アルミホイールの有無などが違うのだ。

価格はガソリン車のホームが1,718,200円で、ネスが1,877,700円と、16万円ほどの違いがある。この価格差なら、ネスを選んだほうが後々満足度が高いと思う。ハイブリッド車も同様だ。

 

ホンダ フィット価格

■新型フィット1.5Lハイブリッド車価格

ホンダ フィット・e:HEV BASIC FF 1,997,600円/4WD 2,195,600円

・e:HEV HOME FF 2,068,000円/4WD 2,266,000円

・e:HEV NESS FF 2,227,500円/4WD 2,425,500円

・e:HEV CROSSTAR FF 2,288,000円/4WD 2,486,000円

・e:HEV LUXE FF 2,327,600円/4WD 2,536,600円

■新型フィット 1.3Lガソリン車価格

・BASIC FF 1,557,600円/4WD 1,755,600円

・HOME FF 1,718,200円/4WD 1,916,200円

・NESS FF 1,877,700円/4WD 2,075,700円

・CROSSTAR FF 1,938,200円/4WD 2,136,200円

・LUXE FF 1,977,800円/4WD 2,186,800円

 

 

ホンダ・フィット燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード:フィットe:HEVネス(FF)モード

ホンダ フィットボディーサイズ:全長×全幅×全高=3995×1695×1540mm

ホイールベース:2530mm

トレッド前、後:1485、1.475

車重:1200kg

エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ

エンジン最高出力:98PS(72kW)/5600-6400rpm

エンジン最大トルク:127N・m(13.0kgf・m)/4500-5000rpm

モーター最高出力:109PS(80kW)/3500-8000rpm

ホンダ フィットモーター最大トルク:253N・m(25.8kgf・m)/0-3000rpm

WLTCモード燃費:27.4㎞/L

最小回転半径:5.2m

タイヤサイズ前後:185/55R16

 

 

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