トヨタ ミライ(MIRAI)長期評価レポートVol.7 ミライの価値は、単に水素で走るクルマだけではない! [CORISM]

ミライは、完全に炭素フリーのクルマではないが・・・、

だが、現状では、燃料となる水素は天然ガスなどの炭化水素から炭素を取り除いて水素を取り出す方式を採用している。そのため、燃料電池車のミライも完全に炭素フリーの自動車ではない。走らせるときに発生しないだけのことである。
ただ、ガソリン車やディーゼル車 のように、1台1台のクルマが発生するC02を処理するのは難しい。ところが、炭化水素から水素を取り出すような形で1ヶ所で発生するC02なら、それを処理するのも容易になる。そう考えると、やはり燃料電池車は環境負荷の少ないクルマと考えていい。




電気を水素にして貯蓄する。環境で左右される再生可能エネルギーを効率よく使うことができる!

例えば、現在は水素を捨てている精油所や製鉄所などのいろいろな工場で、生産の過程で副次的に発生する水素も、回収して商業ルートに乗せることが考えられていくだろう。
それ以上に、太陽光や風力など再生可能エネルギーを使って水素を作る方法がいろいろと考えられていくはずだ。
自然エネルギーでの発電は、環境や場所に大きく左右される。今の技術では電気を蓄えることは難しく、効率の良い供給ができない状態だ。しかし、発電した電気を水素に換えることで蓄えることが容易になれば、必要な時や場所を自由に選択して使える。水素を媒介にすることで、総合的なエネルギー効率が大きく高まるという期待もある。
CO2が地球温暖化につながるという前提に立つなら、炭素社会から水素社会への流れはかなりの時間がかかるにしても、歴史的な必然ともいえるものだ。



日本は、ミライによってクリーンな水素社会への第一歩を踏み出した!

化石燃料を中心にした資源がほとんど採れない日本では、水素社会へ向かうことはエネルギーの政策からも大きな意義がある。いろいろな水素の生産方法が考えられることで、化石燃料の消費を大きく減らすこともできるからだ。主に中東などから輸入している原油の使用量を減らすことができれば、ほぼ100%原油を輸入に依存している日本にとって、エネルギーの自給自足ができ日本全体にとって良いことになる。
日本は2020年の東京オリンピックで、こうした水素社会への技術を世界中にアピールしたい目論みがある。資源エネルギー庁によると、日本の燃料電池分野の特許出願件数は世界一位。日本が強い競争力を持つ分野で、水素関連産業を振興させ日本の経済力をより強固なものとする考えだ。
燃料電池車のミライは、そうした明るい未来をミライを目指したクルマでもある。単に水素で走るクルマというだけではなく、日本はミライによってクリーンな水素社会へ向けた一歩を踏み出したといえる。だからこそ、トヨタ ミライに乗ることが誇りに思える。
【FCV】HOPE~水素社会と、これからのエネルギーのはなし~(動画)
トヨタ ミライ価格、航続距離、スペックなど
代表グレード | トヨタ ミライ(TOYOTA MIRAI) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,890×1,815×1,535mm |
ホイールベース[mm] | 2,780mm |
トレッド前/後[mm] | 1,535/1,545mm |
車両重量[kg] | 1,850㎏ |
最小回転半径[m] | 5.7m |
FCスタック型式 | FCA110 |
FCスタック最高出力[kw(ps)] | 114(155)kw(ps) |
高圧水素タンク容量[L](2本) | 122.4L(前方60.0L/後方62.4L) |
モーター最大出力[kw(ps)] | 113(154)kw(ps) |
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] | 335(34.2)N・m(kg-m) |
駆動用バッテリー | ニッケル水素電池 |
容量[Ah] | 6.5Ah |
サスペンション(フロント/リヤ) | ストラット式コイルスプリング/トーションビーム式コイルスプリング |
最高速度(㎞/h) | 175㎞/h |
一充電走行距離距離[㎞] | 約650㎞(JC08モード走行パターンによるトヨタ測定値) |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 7,236,000円 |
発表日 | 2014年11月18日 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | トヨタ/編集部 |
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