トヨタ サイ(SAI)新車試乗評価 スタイルに、燃費&静粛性、さらにリサイクル材などの積極採用! 全方位で進化したエコカー

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【トヨタ】2013/12/31

 

 

どんなクルマにも似ていない価値あるデザイン

トヨタ サイ(SAI)

 トヨタ サイ(SAI)がマイナーチェンジで大きく変身した。大きく変わったのは外観デザインで、これまでのいかにもおとなしい感じのデザインから、個性を強調するデザインに変わった。

開発を担当したチーフエンジニアは“大人がもてるための武器”をテーマに開発したとアピールする。こんな下心をあらわにしたようなことを言うチーフエンジニアは珍しい。それくらい意欲的なデザインがなされた。

実際、新型トヨタ サイは見るからにカッコ良い。前後のライトが左右いっぱいに広がり、夜間に点灯したときの見え方が特に良い。しかも、他のどんなクルマにも似てなくて、前から見ても後ろから見てもすぐに新型サイと分かる。

4ドアセダンでありながら、テーマカラーは鮮やかな赤(レッドマイカメタリック)だ。セダンのテーマカラーが赤というのも前代未聞の設定である。

外観デザインについては、好き嫌いの要素が大きいのでこれくらいにしておくが、マイナーチェンジ後の新型サイが良く売れているのは、このデザインを良しとするユーザーが多いからだ。

インテリアも変わった。ウイング状に張り出すセンタークラスターは従来から採用しているが、従来はその部分がカバーでおおわれていた。すっきりしていた印象があったものの操作性には不満もあった。

そこで、今回はウイング形状はそのままに、スイッチ部分を表に出す形に変更して操作性を高めた。そのスイッチのつまみ部分は、アルミ製の削り出しで作られているというから念が入っている。

 

トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)

燃費&静粛性をアップし、着実に進化

トヨタ サイ(SAI)

 

 

 

見た目のデザインだけでなく、メカニズム部分もしっかり進化した。まずは燃費の向上だ。ハイブリッドの制御の変更などにより、JC08モードで22.4km/Lを実現した。カムリクラウンが2.5Lエンジンのハイブリッドシステムを採用してさらに良い燃費を出しているから、単純に喜んではいられないが、新型サイも今回の改良での燃費向上幅は大きい。

燃費を向上させる一方で、スポーティな走りも実現できるようスポーツモードを設定した。これを選んで走ると、軽くアクセルを踏み込むだけで力強い加速が得られるのが分かる。エコモードとの違いは明確だ。

当然ながら、スポーツモードで走ると燃費は悪い方向に向かうから、普段はエコモードやEVモードを選び、走りを楽しみたいときにスポーツモードを選ぶという走り方をすれば良い。

走りに関連して、もうひとつ良くなったのが静粛性だ。SAIはハイブリッド専用車としてそもそも静かなクルマだった。クラウンハイブリッドには及ばなかったが、プリウスよりは静かなクルマという印象があった。

新型サイでは、エンジン音の遮断が徹底され、風切り音も低減させるなど、静粛性の向上を図っている。高速クルージングなどで一段と静かな走りが味わえる。

トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)

 

 

エコプラスチックや再生樹脂などを徹底的に使用し、燃費だけではない本当の意味でのECOカーに

 新型サイのクルマ作りでは、従来からテーマとされていた環境への配慮もさらに徹底された。トリムなど、インテリアの表面部分の80%くらいに植物由来樹脂(エコプラスチック)が使われ、また床下のアンダーカバーなど見えない部分には再生樹脂(リサイクルプラスラック)が採用されている。

トヨタは、かねてから植物由来樹脂や再生樹脂の使用量を20%以上にすることを自主的な目標に掲げてきたが、今回はその目標年次を2年前倒しする形で達成した。

これらの樹脂は、普通のプラスチックに比べると、ともすれば品質で劣り、コストが高くつくことになりかねない。さまざまな研究開発を進める中で、新品の石油系樹脂と同等かそれ以上の品質や耐久性、コストを実現できたという。だからこそ採用が大きく広がった。

ユーザーは、新型サイが環境に深く配慮したクルマであることに、高い誇りを持って乗れる。資源・環境のためには再生樹脂などの使用拡大が必須なので、ほかのクルマも新型サイに続いて欲しいと思う。このようにまじめなクルマ作りという面から見ても、今回の新型サイは大きく前進している。

残念なのは、最近注目のプリクラッシュセーフティシステムが最上級グレードでしか選べないこと。それもミリ波レーダー方式のままで進化しておらず、人間認識などは相変わらずできない。それでもSAIを買うならプリクラッシュセーフティシステムが付くG“Aパッケージ”がお勧めだが、最上級グレードなので価格が高い。安全装備は極力幅広い設定が望まれる。

トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)

 

トヨタ サイ(SAI)価格、燃費、スペックなど

トヨタ サイ(SAI)

■トヨタ サイ(SAI)価格
・S 3,210,000円
S“Cパッケージ” 3,310,000円
・G 3,820,000円
G“Aパッケージ” 4,210,000円

代表グレード トヨタ SAI(サイ)G
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4695×1770×1485mm
車両重量[kg] 1590kg
総排気量[cc] 2362cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 150ps(110kw)/6000rpm
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 19.1kg-m(187N・m)/4400rpm
モーター最高出力[ps(kw)] 143ps(105kw)
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] 27.5kg-m(270N・m)
ミッション 電気式無段変速機
JC08モード燃費[km/l] 22.4km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 382.0万円
発売日 2013/8/29
レポート 松下宏
写真 編集部
トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)
トヨタ サイ(SAI)

 

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(レポート:松下 宏

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