トヨタ サイ新車情報・購入ガイド クラウンより高価な高級ハイブリッド セダン。キレ味抜群のスタイリッシュな大人のセダンに大変身! [CORISM]

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【トヨタ】2013/08/31

燃費&静粛性をアップし、着実に進化! トヨタ サイ新車試乗評価

 燃費を向上させる一方で、スポーティな走りも実現できるようスポーツモードを設定した。これを選んで走ると、軽くアクセルを踏み込むだけで力強い加速が得られるのが分かる。エコモードとの違いは明確だ。

 当然ながら、スポーツモードで走ると燃費は悪い方向に向かうから、普段はエコモードやEVモードを選び、走りを楽しみたいときにスポーツモードを選ぶという走り方をすれば良い。

 走りに関連して、もうひとつ良くなったのが静粛性だ。SAIはハイブリッド専用車としてそもそも静かなクルマだった。クラウンハイブリッドには及ばなかったが、プリウスよりは静かなクルマという印象があった。

 新型サイでは、エンジン音の遮断が徹底され、風切り音も低減させるなど、静粛性の向上を図っている。高速クルージングなどで一段と静かな走りが味わえる。

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ハイブリッド車とはいえ、クラウンより高価なセダンだったから、売れなかったのか?

トヨタ サイ
 トヨタはミドルサイズのセダンでハイブリッド専用車であるトヨタ サイをマイナーチェンジし発売を開始した。

 トヨタ サイは2009年に、待望のハイブリッド専用車としてデビュー。ハッチバックスタイルのプリウスシリーズに対して、サイはセダンということもあり、多くのセダンユーザーをもつトヨタにとって期待のモデルだった。

 また、2.4Lエンジンを搭載するハイブリッドシステムなど、基本部分をレクサスHS250hと共通とした高級セダンでもある。

 ハイブリッド車は、なんでも売れると思っていたトヨタだが、サイの販売台数は、わずか1年で勢いを失っていった。2012年になると、1,000台以上販売する月は稀な状態。売れない理由は、セダンマーケットの激減などもあったとはいえ意外な結果となった。サイは高級セダンということと、ハイブリッド車であるということもあり、かなり強気な価格設定がされていた。当時、人気のGグレードで370万円で、もう少し良い装備となると400万円に近くなる。

 それに対して、トヨタ マークXの2.5L車で高級グレードであるプレミアムは300万円を切る292万円。コストがかかるFR車よりも、ハイブリッドのFF車の方が圧倒的に高価だったのだ。これだけの価格差があると、優れた燃費のハイブリッド車とはいえ、ガソリン代で差を無くすことは不可能といえる。クラウンのエントリーグレードである、クラウン2.5アスリートが357万円なので、新型クラウンよりも高価なセダンだったのだ。

 ほとんど売れなくなったトヨタ サイは、マーケット側から見れば、このまま初代で姿を消すのかとも思われた。それもそのはず、2011年9月にサイより100cc排気量をアップしながら、燃費でも上回るハイブリッドシステムを搭載したカムリ ハイブリッドが登場したからだ。サイズもカムリの方が、サイよりも一回り大きい。それでいて、ハイブリッドGパッケージの価格は、322万円と安い。クルマも大きく燃費も良く、価格も安いのなら、カムリ ハイブリッドという選択になるのも当たり前だ。そうはいっても、セダン離れは深刻で、そんなカムリ ハイブリッドも1,000台弱/月という販売台数で低迷している。

トヨタ サイ
トヨタ サイ
トヨタ サイ

トヨタ サイ

スタイリッシュなデザインと、細部に渡る高品質感で、他のセダンと差別化

トヨタ サイ
 トヨタのハイブリッド車ラインアップの中でも、価格も高く、ハイブリッドシステムも最新ではないとなれば、差別化するのはデザインしかないというのが現状だ。

 今回マイナーチェンジされたトヨタ サイが、大幅なデザイン変更されたのも必然といえる。ボンネットからバンパー、ヘッドライト、フェンダーなどが刷新されている。とくに、ヘッドライトまわりのデザインは個性的だ。ほぼ車両の全幅をカバーする超ワイドサイズヘッドランプを採用。精悍で鋭い眼差しでキレのあるデザインになった。ライト点灯時には、白色LEDの閃光が切れ目なく中央から両サイドへ力強く発散し、夜にはひと目でトヨタ サイであることをアピールする。

 インテリアも同様に、大幅な改良が施された。センタークラスター、フロントコンソールを含むインストルメントパネルを一新。木目調加飾やメッキ加飾をアクセントにしながら、ハイブリッド車らしい近未来感と高級感を上手に融合させた。また、高価な価格帯のクルマである理由をよりアピールするために、ディテールにもこだわり高級感を演出。ステッチ加工を施したシフトノブやアームレスト、メーターフード、無垢のアルミから削り出したオーディオノブなど、細部へもこだわることで、上質感を追求している。

 デザインといった見た目の分かりやすさだけで終わらせないのが、トヨタの真面目なところでもある。基本性能部分では、吸遮音材の増強や遮音ガラスの採用、エンジンマウントの改良など、車室内の騒音低減大幅にアップ。ラージクラスの高級セダンを凌ぐ静粛性へ向上させた。

 さらに、ボディのスポット打点追加によるボディ剛性が強化された。さらに、空力特性までも見直され、エアロスタビライジングフィンやパフォーマンスダンパーの設定により、空力も含め走行安定性を向上させている。ボディの剛性アップや空力の特性アップは、快適な乗り心地と安定感あるハンドリングを実現している。

 ここまで、徹底的に見直され、まさに生まれ変わったようなトヨタ サイ。しかし、肝心の2.4Lハイブリッドシステムは、キャリーオーバーとなった。ハイブリッド制御の変更などにより、JC08モード走行燃費22.4km/ Lと、マイナーチェンジ前に比べ1.4㎞/Lほど向上。しかし、カムリ ハイブリッドに搭載される2.5Lのハイブリッドシステムの燃費23.4㎞/Lには届いていない。

 散々、トヨタ サイは高価と書いてきたが、トヨタ自身もサイ不振の理由のひとつが価格にあると思っているようで、価格アップは極力避けたいと考えていたからだ。すでに、これだけ大掛かりのマイナーチェンジなので、価格アップは避けられないにせよ、なんとかマイナーチェンジ前に比べGクレードで12万円アップの382万円に抑えている。

 もし、最新の2.5Lハイブリッドシステムを搭載するとなると、大幅な価格アップは避けられず、そうなるとクラウン ハイブリッドアスリートの410万円に、さらに近くなってしまい、トヨタのセダンの中で価格バランスをさらに失う結果となるからだ。それを回避するため、ハイブリッドシステムはキャリーオーバーとなっている。

 ミドルサイズのセダンで、小さな高級車を目指しダウンサイザーの受け皿としての価値をもつトヨタ サイ。セダンマーケットがドンドンと縮小しているのにもかかわらず、大幅なマイナーチェンジを施し、カッコだけでなく、中身も進化させるなど、トヨタの真面目なセダン作りの姿勢をアピールする1台でもある。多くの国産メーカーが、このクラスからほぼ撤退している中、少数のセダン顧客に向けて作り続けるだけでなく進化させているのは、トヨタだけといってもいい。

 そういった姿勢を含め、マイナーチェンジされたトヨタ サイの志に共感でき、新しくなったデザインに好感がもてた顧客には、価格以上の価値をもつセダンと評価されるだろう。

トヨタ サイ
トヨタ サイ
トヨタ サイ


トヨタ サイ
トヨタ サイ
トヨタ サイ

トヨタ サイ価格、スペックなど

■トヨタ サイ価格
・S 3,210,000円
 S“Cパッケージ” 3,310,000円
・G 3,820,000円
 G“Aパッケージ” 4,210,000円

代表グレード トヨタ SAI(サイ)G
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4695×1770×1485mm
車両重量[kg] 1590kg
総排気量[cc] 2362cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 150ps(110kw)/6000rpm
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 19.1kg-m(187N・m)/4400rpm
モーター最高出力[ps(kw)] 143ps(105kw)
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] 27.5kg-m(270N・m)
ミッション 電気式無段変速機
JC08モード燃費[km/l] 22.4km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 382.0万円
発売日 2013/8/29
レポート 編集部
写真 トヨタ

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(レポート:CORISM編集部

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