マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ新車試乗評価 走りへのこだわりは捨てられない! スカイアクティブ技術で、走りの質と燃費約20%向上!!

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【マツダ】2013/07/22

 

■ミニバンに走りの質は必要なのか?

 ミニバンコンパクト軽自動車しか売れないのが、今の日本マーケットの現状だ。どのカテゴリーも、燃費戦争になっていて、各社クラスナンバー1燃費やら、販売台数ナンバー1をアピールする。

そんなミニバンカテゴリーにおいて、マツダ ビアンテはひとり蚊帳の外状態が続いている。トヨタノアヴォクシー日産セレナホンダ ステップワゴンが熾烈な販売合戦を繰り広げていながらも、各車着実に販売台数を伸ばしていた中、マツダ ビアンテは2008年に大きな期待の中デビューした。

しかし、デビュー直後から不振が続く。発売直後から、販売台数は1000台を超えることも稀という現状が続く。販売不振の理由はいくつかあるが、あまりに好き嫌いが出る先鋭的なデザインだったため、ファミリー層が上手く取れなかったのだろう。ミニバンはファミリー的過ぎてもダメだし、迫力があり過ぎてもダメ。トヨタのノア&ヴォクシーの関係が、まさにそうで、ファミリー色の強いノアより、適度にワイルドなヴォクシーが売れているのもそういった理由からだろう。

そんな状況下でも、マツダは真面目だ。今では当たり前になっているアイドリングストップ機能をいち早く2009年に導入している。トヨタのノア&ヴォクシーなどは、未だにアイドリングストップ機能さえ装着されていない。そこまでやっても売れないのは、マツダにとって、なぜ? の連発だったろう。

最近の傾向なのだが、もはやクルマは均質化しているので、一般の顧客にとって、どのクルマに試乗しても、その差が分からないからだ。そうなると、CMイメージや、燃費ナンバー1、販売台数ナンバー1、購入に大きな影響力を与えている妻や子供が好きそうな装備の有り無しが影響する。そういった戦略が上手いのが日産セレナだったりする。つまり、今時、走りの機能をアピールしても意味が無いかもしれないということなのだ。ただ、燃費が約20%向上したことは、売る側買う側双方にメリットがある。

それなのに、マツダはビアンテで、また機能をアピールする。スカイアクティブエンジンに6ATが、今回のビアンテのセールスポイントだ。この販売状況なら、外装関係と装備類を見直しくらいで十分なのだが、スカイアクティブという低燃費技術がだんだんと認知されてきとこともあり、あえてエンジンとミッションという大きな機能部分に手を入れて、再びミニバンマーケットに挑む。

マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ

■クラス唯一(FF)のATを搭載! CVTでは味わえないダイレクト感のある走行フィールは「クルマ通の味付け」?

マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ

 マツダ ビアンテスカイアクティブに搭載されたエンジンは、PE-VPS型となっていて圧縮比は12.0。これは、圧縮比13.0の最新アテンザ用のものではなく、プレマシーアクセラと同じ。これにスカイアクティブドライブである6ATが組み合わされる。プレマシーと同じパターンだ。この結果、燃費は約20%アップし、 14.8km/L向上。エコカー減税の免税対象車となった。

試乗したのは、グランツと呼ばれる、さらにビアンテをアグレッシブにしたモデルだ。マツダの新デザインテーマ「魂動(こどう)」のモチーフとなるシグニチャーウィングをフロントデザインに採用。 専用のフロントバンパーや大型メッキグリルなどをもち、強烈な存在感を主張する。

搭載された2Lのスカイアクティブエンジンは、151ps&190Nmというスペック。今までのモデルと同じ出力だが、最大パワーの発生回転数が200回転、最大トルクの発生回転数が400回転下がっている。5ATから6ATと多段化されたこと、最大トルクの発生回転数が下がったことは、スペック上から見ても乗りやすさにつながり、高いエンジン回転数で走らなくてもいいということは、単純に低燃費につながる。

試乗してスグに気がつくのは、トルコンのスリップをほとんど感じさせないダイレクトなフィーリングだ。従来の5ATが49%というロックアップ率だったのに対して、6ATは82%まで引き上げている。トルコンを使うのは、発進時のくらいだという。トルコンを多用するとギクシャク感は薄まるものの、効率が悪くなり燃費に影響、同時にトルコンのスリップがドライブフィールを悪くする傾向にある。この6ATは、ロックアップ時に多板クラッチを使うことで、効率とフィーリングの良さ、ギクシャク感を軽減しているのが特徴だ。

クルマ好きに多いのだが、CVTを嫌う傾向が強い。それは、必要なトルクを出そうとすると、CVTの場合、回転が先に上がり、回転が上がったまま速度が後からついてくる。その昔、MTでブイブイいわせていた経験があればあるほど、速度とエンジンの回転が比例しないCVTに違和感を感じるのだろう。ただ、CVTとはそいうもので、エンジンの効率のよいところを上手に使って走ることができる。もともと、ミニバンにドライブフィールなんて期待しない、そもそも分からない。効率重視で燃費が重要と考えるならCVTでも、なんら問題はない。ただ、ミニバンとはいえ少しでも運転を楽しみたいというのなら、このクラスでATなのはビアンテだけなので、必然的にビアンテを選ぶしかない。

このダイレクなフィーリングは、パドルシフトを使うと、より鮮明に楽しくなる。加速したいときに、シフトダウンさせて、アクセルをグッと踏み込むと、エンジンの高鳴りとともにクルマが加速するフィーリングは、CVTでは味わえないものだろう。高速道路でイッキに加速するとき、ちょっとしたコーナーで軽く自らシフトダウンして、旋回、コーナー出口でジワァーっとアクセルを開けていく時のフィーリングは「ビアンテやるじゃん」と思う瞬間だった。

マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ

■更なる多段化が望まれるスカイアクティブ ドライブ

 マツダ渾身とも言えるスカイアクティブドライブの6ATだが、これからが肝心だ。ミッションの多段化は、6速ATでは少ない状態になってきている。フォルクスワーゲンゴルフのようなCセグメントのクルマでも、もはや7速になっているし、BMW1シリーズなどは8速だったりする。欧州メーカーは、多段化することで、CVTのもつワイドなギヤレシオに対応し低燃費化や走行フィールをアップしている。マツダも6ATで満足するのではなく、8速くらいのものを作っていかないと、5年後には「まだ6速なの?」という状況になるだろう。

参考までに、首都高速をおよそ20㎞ほど走行。少し渋滞したので、平均速度は約50㎞/h。そこでの燃費は、13.4km/hだった。テストのため、全開加速もした結果だ。完全に同じ条件ではないのだが、燃費では日産セレナが勝っていた。ビアンテの試乗時は、雨でちょっとした渋滞がありハンデもあったが、クルージング時のエンジン回転数がセレナの方が低い。セレナのギヤ比が0.394、最終減速比5.407に対して、ビアンテはギヤ比が0.599、最終減速比4.325である。やはり、ワイドレンジなギヤ比をもつCVTが燃費面では有利のようだ。

マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブの価格は2,598,750円。ライバルセレナの売れ筋であるハイウェイスター S-HYBRID Vセレクションが2,661,750円。装備の有り無しがあるものの、若干ビアンテが安めの設定。この価格差と、デザイン上のインパクトの差、燃費効率とドライブフィールをどう判断するかが、購入の鍵となるだろう。

マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
マツダ ビアンテ グランツスカイアクティブ
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■マツダ ビアンテ価格、スペック、マイナーチェンジ概要

■マツダ ビアンテ価格
20C-SKYACTIV 2WD(FF)6EC-AT 2,278,500円
20S-SKYACTIV 2WD(FF)6EC-AT 2,493,750円
グランツSKYACTIV 2WD(FF)6EC-AT 2,598,750円
20C 4WD 4EC-AT 2,488,500円
グランツ 4WD 4EC-AT 2,829,750円

■マツダ ビアンテマイナーチェンジ概要
・快適な走りと優れた環境安全性能
高効率直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」と高効率6速オートマチックトランスミッション「SKYACTIV-DRIVE」を搭載。力強さと、家族みんなが楽しめる快適さ、上質で気持ちの良いドライビングフィールを獲得。(2WD)
SKYACTIV技術を搭載して燃費性能が向上。(2WD)
エコカー減税によって取得税と重量税が免税。(2WD)
運転の楽しみを広げる「ダイレクトモード機構付ステアリングシフトスイッチ」や、走行中に運転操作の評価の状態がひと目で分かる「インテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)」(ティーチング機能)を新たに装備。(2WD)
DSC(横滑り防止機構)とTCS(トラクションコントロールシステム)に加え、ヒルローンチアシスト(HLA)を標準装備。(2WD)

・精悍さと上質感を高めた内外装
新機種「グランツ-SKYACTIV」「グランツ」は、専用のフロントデザインとなり、マツダの新しいファミリーフェイスであるシグネチャーウイングを採用。
ボディカラーは、精悍なイメージの新色「ジェットブラックマイカ」をはじめ、全6色を用意。
「ジェットブラックマイカ(新色)」「ラディアントエボニーマイカ」「ストーミーブルーマイカ」
「クリスタルホワイトパールマイカ」「アルミニウムメタリック」
「クリアウォーターブルーメタリック(「グランツ-SKYACTIV」「グランツ」を除く)」
インストルメントパネルのセンターパネルに、質感の高い「ブラックメタリック」と「グロッシーダークグレー(「グランツ-SKYACTIV」「グランツ」専用)」の2色を設定。

・機能的かつ快適な室内空間
「電動両側スライドドア」と「スライドドアイージークロージャー(運転席側/助手席側)」を標準装備。
運転席/助手席両席に「シートバックポケット」を標準採用し、リアドアポケットの「ボトルホルダー」を使いやすい形状に変えるなど、各部の機能性を向上。
荷室の床下収納スペースを拡大。(スペアタイヤを廃止、パンク修理キットを装備)
3列目席に乗降する際のシート操作性を向上。
3列目席の乗員が操作するための2列目席スライド用レバーを赤色に変更
2列目シートバックに、シート操作方法をイラストで表示したラベルを設定
2列目席を横方向にスライドさせるレバーにアイコンを表示
好評のシートアレンジを引き続き採用。
「リビングモード」: 3列目席をたたんで、2列目席を最後端へスライドさせ、広い室内空間と広大な足元空間を確保
「セミリビングモード」: 3列目席をたたまず荷物スペースに活用しながら、2列目席で大人が楽に足を組める空間を確保

・新機種「グランツ-SKYACTIV」「グランツ」の専用装備
フロントデザイン(バンパー、メッキトップバー&アッパーグリル、シグネチャーウイング)
リアフィニッシャーモール(シルバー)
ブライトモールディング(フロントバンパー、サイドシル、リアバンパー下部)
LEDリアコンビネーションランプベゼル(シルバー/ブラック)
16インチアルミホイール(高輝度塗装)
マフラーカッター
インストルメントパネルのデコレーションパネル(ヘアライン)
センターパネル(グロッシーダークグレー、専用オーナメント付)
スカッフプレート

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(レポート:大岡 智彦

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