英国のジャガー といえば、言わずと知れた高級車ブランド。以前は、ややクラシカルな外観を身にまとい、イギリス の紳士のようなトラディショナルな雰囲気を感じさせることで他の高級車メーカーとの差別化を図っていましたが、「XF」 登場のあたりからモダンに変身！ ドイツのライバルたちにガチンコ勝負を挑むような感じになりました。

オープンカータイプの車も、'60-70年代に大ヒットした「Eタイプ」の伝統を受け継いだロングノーズ、ショートデッキの優雅なボディをまとう「XK」 に加え、2013年、新たに2シーターの「F-TYPE」 を発表しラインナップに加えました。

このFタイプはジャガー得意のアルミニュウム・ボディをはじめとしたさまざまなテクノロジーを詰め込み、最新鋭のライバルたちに対抗するモダンなスポーツカーとなっています。

そんなジャガーの車たちですが、その魅力の一つはやはり希少性。ドイツ のプレミアム御三家が年間百万台以上を販売しているのに対し、ジャガーの2013年の世界販売台数はセダン、スポーツカーすべての車種を合わせて76,668台。

「プレミアムな外車が欲しいけど、ドイツ車は最近見かけることが多くなったからなー」と思っている人の選択肢としてアリかも、です。

　今回試乗したのは、発売されたばかりなのでまだ街では見かけないFタイプの、ハイパフォーマンスモデルの「V8S コンバーチブル」。

希少なジャガーの中でも特に希少な一台ということで、乗る前から興味津々でした。おっと！ でも乗り込む前にまずは主要諸元を見ておきましょう。

ボディサイズは全長4,470mm☓全幅1,925mm☓全高1,310mm。これは「XKコンバーチブル」の全長4,790mm☓全幅1,895mm☓全高1.330mmと比べ、32cm短く3cm幅広といった感じ。近年のジャガーの車の中では最も全長が短い車です。

エンジンは5リッターのスーパーチャージャー付V8DOHCで、最大出力は364kW（495ps)を6,500rpmで発生。最大トルクは625N・m（2,500rpm時）。乗車定員2名で車両重量は1,810kgなのでパワーウエイトレシオは3.66kg/ps。0-100km/hの加速にかかる時間は4.3秒と、この車がタダモノではないことが運転する前から分かります。ちなみに燃費は、JC08モードで8.1km/Lです。

　さて、そんな「Fタイプ V8S コンバーチブル」ですが、試乗した印象を一言でいうとともかく「獰猛」！

試乗車はオプションの「アクティブ スポーツ エグゾースト システム（スイッチ機能付）」というマフラーの音色が変えられる機能が付いていたこともあり、オープンにしていると勇ましい排気音が耳に響いてきます。

そして、もちろん加速も強烈！ さらに強大なパワーを受け止める足回りもしっかり強化され、ちょっと走りだすだけで獰猛なスポーツカーを走らせてるんだぞというシグナルが体中に送られて、アドレナリンがムンムン湧いています。

きっと、近くのコンビニに行こうとこの車を出したが最後、最低40-50kmは走ってこないと気がすまない感じがするのではないかと思いました。

助手席側だけにあるセンタコンソールの斜めの棒は、猛々しい走りをした時のアシストグリップにもなると分かり合点がいきましたが、できればこの獰猛なジャガーはジェントルに乗りこなして、助手席のパートナーと夜の摩天楼をゆっくり見上げながら大都会を流して走るのが一番似合うんじゃないかと思います。

そんな生活が送れれば幸せだなー、と夢想しながら運転席から降りた後、我に帰って考えるとこの車の購入代（車両本体価格1286万円）とパートナー、どちらも持ち合わせていないことに気が付きました・・・。

■ジャガーF-TYPE クーペ価格
F-TYPE 8,230,000円
F-TYPE S 10,290,000円
F-TYPE R 12,860,000円

■ジャガーF-TYPE コンバーチブル価格
F-TYPE 9,770,000円
F-TYPE S 11,830,000円
F-TYPE V8 S 12,860,000円