ガソリンスタンド減少中! どうなる電気自動車の普及【御堀 直嗣 コラム「EV(電気自動車)の未来」 Vol.5】[ CORISM ] [CORISM]
【ビジネス・経済】2009/12/24
※写真はイメージです。
ハイブリッドカーの普及とガソリン車の燃費向上でガソリンスタンドが減少
トヨタの08年の報告によれと、97年から07年までの10年間に、新車の平均燃費が約28%向上。つまり、それだけガソリンを使う量が減ったということだ。
ガソリンスタンドの数は、94年(平成6年)を最多とする6万0421件から、08年(平成20年)には4万2090件に減っている。3割以上のガソリンスタンドが15年間になくなったのだ。
最近、誰と話をしても「そういえば、この間、近所のガソリンスタンドがなくなった」と聞く。拙宅最寄りのガソリンスタンドも、つい数週間前に廃業となった。また、セルフスタンドでさえ廃業となったのを私自身目撃している。
ガソリンスタンド減少の傾向は日本だけでなく、先進国でも、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ各国で、75年の最多時期から半減、また1/3にまで減った例もある。
現在、世界の自動車保有台数は9億5000万台(07年時点)だ。75年に3億2000万台、90年に6億台に満たなかった世界の自動車保有台数が、何倍にもなっているのに、なぜ、ガソリンスタンド数は激減しているのか?
トヨタの08年の報告によれば、97年から07年までの10年間に、新車の平均燃費が約28%向上しているという。トヨタは、97年にハイブリッドカーのプリウスを初めて市販したが、あわせてガソリンエンジン車の燃費が大幅に改善されてきたことをこの数字は物語っている。
今後について、日本国内では2015年の燃費規制によって、04年実績に比べ乗用車で約23%の燃費改善が求められることになっている。当然ながら、燃費規制強化は世界的動向だ。ハイブリッドカーに限らずとも、クルマの燃費は今後益々改善され、すなわちガソリン消費は激減していくことになる。
また、民主党が政権を奪い、予算編成における事業仕分けが行われたが、ここで、ガソリンスタンドの地下タンクが老朽化し、燃料が漏れ出して土壌汚染するのを防止するため、タンク取り替えに際し国から助成されてきた48億円(09年度の総額)の補助金が廃止された。
ただでさえ収益が悪化しているガソリンスタンド経営に、今後の継続を困難にさせる追い討ちが掛かったといえる。
最近、誰と話をしても「そういえば、この間、近所のガソリンスタンドがなくなった」と聞く。拙宅最寄りのガソリンスタンドも、つい数週間前に廃業となった。また、セルフスタンドでさえ廃業となったのを私自身目撃している。
ガソリンスタンド減少の傾向は日本だけでなく、先進国でも、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ各国で、75年の最多時期から半減、また1/3にまで減った例もある。
現在、世界の自動車保有台数は9億5000万台(07年時点)だ。75年に3億2000万台、90年に6億台に満たなかった世界の自動車保有台数が、何倍にもなっているのに、なぜ、ガソリンスタンド数は激減しているのか?
トヨタの08年の報告によれば、97年から07年までの10年間に、新車の平均燃費が約28%向上しているという。トヨタは、97年にハイブリッドカーのプリウスを初めて市販したが、あわせてガソリンエンジン車の燃費が大幅に改善されてきたことをこの数字は物語っている。
今後について、日本国内では2015年の燃費規制によって、04年実績に比べ乗用車で約23%の燃費改善が求められることになっている。当然ながら、燃費規制強化は世界的動向だ。ハイブリッドカーに限らずとも、クルマの燃費は今後益々改善され、すなわちガソリン消費は激減していくことになる。
また、民主党が政権を奪い、予算編成における事業仕分けが行われたが、ここで、ガソリンスタンドの地下タンクが老朽化し、燃料が漏れ出して土壌汚染するのを防止するため、タンク取り替えに際し国から助成されてきた48億円(09年度の総額)の補助金が廃止された。
ただでさえ収益が悪化しているガソリンスタンド経営に、今後の継続を困難にさせる追い討ちが掛かったといえる。
「安くて便利」を求める消費者心理が電気自動車普及のカギか!?
電気自動車が普及すれば、ますますガソリンスタンドが急速に減る可能性が高い。エネルギースタンドとして、水素や電気といったガソリンと違う物を提供する時代が来る
民主党はまた、マニフェストにおいて自動車関連諸税の暫定税率を撤廃するとしてきたが、揮発油(ガソリン)税の暫定分が廃止されても、税がなくなるわけではなく、代わりに地球温暖化対策税という名の環境税が、ほぼ暫定分と同じ金額(数円下がるとの話も出ている)で賦課される予定だ。
揮発油税や軽油取引税は、自民党時代に今年度から一般財源化されているが、そもそも道路特定財源の名目であったため、灯油には消費税しか掛けられていなかった(原油全般に掛けられる石油石炭税は関わる)。ところが、地球温暖化対策税となれば、灯油にもガソリンなどと同じように税金が賦課され、価格が上昇し、灯油の販売にも影響が及ぶだろう。
暖房用の灯油販売量が、それによってどのような動きをするかは地球温暖化対策税が施行されるまでわからないが、いずれにしても節約ムードは起こらざるを得ない。
ガソリンスタンド経営は、益々圧迫され、数の減少は止まるところをしらなくなるだろう。こうなると、給油に行くのが面倒と感じるのが消費者心理だ。
一方、電気自動車なら家で充電すれば日々使うことが出来る。
これまで、電気自動車は走行距離が短いとか、急速充電スタンドが整備されなければ普及は難しいと一般に思われてきた。だが、これからは、エンジン車に給油するのが面倒だという時代になる。そして、使ってみれば、日常的には走行距離も困らない電気自動車の充電が家で出来、しかもガソリン代より電気代が安いとなれば、「安くて便利」を求める消費者が、エンジン車から電気自動車へ目を向け始めるのは必至ではないか。
性能や社会基盤整備の視点ではなく、ガソリンスタンド減少にともなう消費者心理から、電気自動車の普及は想像以上に早まるかもしれないのである。
揮発油税や軽油取引税は、自民党時代に今年度から一般財源化されているが、そもそも道路特定財源の名目であったため、灯油には消費税しか掛けられていなかった(原油全般に掛けられる石油石炭税は関わる)。ところが、地球温暖化対策税となれば、灯油にもガソリンなどと同じように税金が賦課され、価格が上昇し、灯油の販売にも影響が及ぶだろう。
暖房用の灯油販売量が、それによってどのような動きをするかは地球温暖化対策税が施行されるまでわからないが、いずれにしても節約ムードは起こらざるを得ない。
ガソリンスタンド経営は、益々圧迫され、数の減少は止まるところをしらなくなるだろう。こうなると、給油に行くのが面倒と感じるのが消費者心理だ。
一方、電気自動車なら家で充電すれば日々使うことが出来る。
これまで、電気自動車は走行距離が短いとか、急速充電スタンドが整備されなければ普及は難しいと一般に思われてきた。だが、これからは、エンジン車に給油するのが面倒だという時代になる。そして、使ってみれば、日常的には走行距離も困らない電気自動車の充電が家で出来、しかもガソリン代より電気代が安いとなれば、「安くて便利」を求める消費者が、エンジン車から電気自動車へ目を向け始めるのは必至ではないか。
性能や社会基盤整備の視点ではなく、ガソリンスタンド減少にともなう消費者心理から、電気自動車の普及は想像以上に早まるかもしれないのである。
(御堀 直嗣)
トヨタ プリウスに代表されるハイブリッドカーの普及やガソリン車の燃費向上により、保有台数に反比例してガソリンスタンドが減ってきている。
現状では電気自動車は三菱のi-MiEVなど、ごく一部のクルマに限られる。インフラが整っていないこともあるが、車両価格も普及のネックになっている。
電気自動車の利点のひとつは、家庭や職場でも充電できるということ。ガソリン車やハイブリッドカーのようにガソリンスタンドまで行く手間が省ける。
(レポート:CORISM編集部)
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