トヨタ ミライ(MIRAI)試乗記・評価 燃料は水素! 排出するのは水のみ! 究極のエコカーがついに市販化! 未来のクルマの車名は「ミライ」
自動車史に残る金字塔!夢の未来カーが燃料電池車トヨタ ミライだ!
水素を使って発電しながら走り、走行中に発生するのは水だけ。そんな夢の環境性能車と言われるのが、燃料電池車(FCV) だ。そんな燃料電池車(FCV)が、一般ユーザーにも買えるようになり、本格的に走り出すことになった。トヨタ が11月18日に発表した燃料電池車(FCV)新型ミライ(MIARAI) がそれだ。
何十年も前から、世界中の自動車メーカーが次世代車として研究開発が進められてきた燃料電池車は、実用化やコストダウンが大きな壁として立ちふさがっていた。それを打ち破って初めて市販にこぎつけたのがトヨタのミライだ。我々は、このトヨタ ミライに乗ることで、自動車の歴史に記された新しい1ページを体験することになる。
燃料電池車は大誤訳!!? 水素発電自動車と呼べば分かりやすい!
燃料電池車についてもう一度おさらいしよう。フューエル・セルを燃料電池と訳したのは、直訳であると同時に世紀の大誤訳であると思っている。発電自動車、あるいは水素発電自動車といったほうがずっと分かりやすいからだ。文句を言っても仕方がないが、燃料電池の仕組みは、水の電気分解を逆にしたものだ。
小学校で実験をした水の電気分解では、水に電気を加えると水素と酸素に分解することを確認したと思う。だったら、それを逆にして、水素と酸素を結合させたら水ができ、水ができるときに電気が発生するはずと考えた人がいる。
この原理は大昔から考えられいて、いろいろな人がいろいろな形で挑戦してきた。一部は動力を得ることが難しい宇宙空間で、人工衛星などの動力源として小さな燃料電池が使われてきた実績もある。ただ、それを地球上で、しかも1t〜2t級の重量のある自動車を動かすような高性能の燃料電池としてまとめあげるのは実に難しいことだった。
また、水素と酸素を結合させるには、その反応を促すために触媒が必要で、触媒には白金などの稀少金属をかなり大量に使う必要があった。稀少金属のコストや、反応させるスタックの製作コストなども高かった。さらにいえば、クルマに水素を搭載するための水素タンクも製作も課題だった。
このような、さまざまな課題を乗り越えて作られたのが世界初の市販燃料電池車である新型ミライなのである。
カッコは良くない!? しかし、ひと目でトヨタ ミライと分かるデザイン
トヨタ ミライの外観デザインは、写真の通り。大胆な面構成を持ち、ルーフが浮いたように見えるデザインを採用したのが特徴。フロントの左右に大きな空気の取り入れ口が開いているのが、燃料電池車であるトヨタ ミライらしさを主張をしている部分である。
ただ、個人的には、この開口部の形状などはあまりカッコ良いデザインとは思えない。というか、見ただけで飛びつきたくなるようなデザインにして欲しいところだった。
まあ、買う気をなくすほどカッコ悪いデザインでもないし、またひと目見ただけでトヨタ ミライと分かるデザインであることは何とか救いとなる部分である。
未来感あふれるインテリア。ただし、ボディサイズと最小回転半径が日本マーケットに合うとはいいにくい
トヨタ ミライのインテリアは、エクステリア以上に未来感覚にあふれている。基本的に自動車であるために、必要な要素を盛り込んでいるから、既存のクルマと違いすぎることはないが、中央のカーナビの画面から大きく左右に広がるようにデザインされ、明快な立体構成も採用されている。インパネ中央の上部に配置されたメーターは、先進感を表現するものとされた。
ミライのインテリアカラーは3色が用意され、プレミアム感覚のある室内空間が作られている。後席は明確に分割された左右2人掛けで、乗車定員は4名とされている。
トヨタ ミライのボディサイズは4890mm×1815mm×1535mmだから、かなり大きい。長さと幅がほぼクラウン並みで、全高は少し高めだ。全幅が1815mmと1800mmを超えてしまったのは、誠に残念なところである。またホイールベースが2780mmと長く、最小回転半径が5.7mもあるのは狭い日本の道で使うことを考えると不満な点だ。
トヨタ ミライ(MIRAI)価格、燃費、スペックなど
■トヨタ ミライ価格:7,236,000円
代表グレード | トヨタ ミライ(MIRAI) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,890×1,815×1,535mm |
ホイールベース[mm] | 2,780mm |
トレッド前/後[mm] | 1,535/1,545mm |
車両重量[kg] | 1,850㎏ |
最小回転半径[m] | 5.7m |
FCスタック型式 | FCA110 |
FCスタック最高出力[kw(ps)] | 114(155) |
高圧水素タンク容量[L](2本) | 122.4(前方60.0/後方62.4) |
モーター最大出力[kw(ps)] | 113(154) |
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] | 335(34.2) |
駆動用バッテリー | ニッケル水素電池 |
容量[Ah] | 6.5 |
サスペンション(フロント/リヤ) | ストラット式コイルスプリング/トーションビーム式コイルスプリング |
最高速度(㎞/h) | 175 |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 7,236,000円 |
発表日 | 2014年11月18日 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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