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中国の日系自動車工場でスト勃発、操業停止も~どうなる中国の自動車産業~[国沢光宏 コラム]

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【ビジネス・経済】2010/06/25
※写真は中国・東風日産エンジン工場の様子[Photo:日産自動車]

原因は日本人との賃金格差だけにあらず!?

中国市場で販売開始された新型「日産 マーチ」
中国市場で販売開始された新型「日産 マーチ」
 中国の部品工場で労働争議が続発し、ストも勃発。トヨタやホンダなど日本の自動車メーカーの工場は生産を停止する事態になってしまった。なぜこんな状況になってしまったのだろうか? 大手メディアでは賃金問題を原因として挙げている。確かに直接的な原因を見ると賃金問題だ。
 詳細に事態を分析すると少しばかり複雑。まず中国の企業構造から考えてみたい。トヨタやホンダといった自動車メーカーは中国に進出する際、必ず現地の企業と対等合弁というカタチにさせられる。ホンダなら広州汽車や東風汽車と組んで広州本田や東風本田といった具合。
 ちなみに広州汽車はトヨタとも合弁しており、広州豊田という会社を持つ。また広州汽車は中国共産党政府の持ち物。すなわち国営企業である。日本の自動車技術を吸収しようという国家戦略でもあるのだった。同じく東風汽車(日産やホンダと提携)や第一汽車(トヨタやVWと提携)も国営企業。
 したがって自動車組み立て工場で働く従業員は政府がコントロールしている。どちらかといえば技術面や生産管理といった理系の仕事を日本企業が行い、人事や給与などの文系の仕事は中国側が担当しているのだった。従業員の不満も上手にガス抜きしていると考えていいだろう。
 さて。ストが続発している部品工場の多くは、日本企業の単独資本。従業員の給与や待遇、人事も日本側がリーダーシップを取って決めてます。御存知の通り中国の国民性って、メンツを重んじる。うまくコントロール出来ているウチはいいけれど、暴れ始めたら日本人だと扱いに手を焼く。
 加えて中国の若者は今や一人っ子世代が中心。自分の要求通らないと大きな不満を抱く傾向。その上で中国もインターネット社会だからして、様々な情報がフィルターを通さず直接氾濫してしまう。「ここだけの話」とか「ナイショだけれど……」みたいな交渉戦略も使えない。
 インターネットは国の東西を問わず原理主義になりがち。「課程」を経ないで「結論」を出されてしまうワケ。「日本人と中国人の給料が違う」というのも、途中経過やバックボーンを理解できれば納得できるのだけれど、インターネットだと全て端折られてしまうのだ。原理主義的には当然「不当だ」。
 ここにきて日本人と中国人の賃金格差より、組み立て工場と部品工場の賃金差がヤリ玉に挙げられるようになってきた。これまた賃金差あっても不思議じゃないけれど、原理主義的には許し難い問題。かくして労働争議は今や中国全土の工場に広がり始めている。しばらく収まるまい。
 どうしたらいいか? こうなると賃金体制の見直さざるを得ないだろう。さりとて賃金が上がれば(ここにきて中国通貨の為替レートも円安元高)、中国で部品を作る妙味は薄くなってしまう。最終的にはベトナムやラオスなどに転戦しなければならなくなるハズ。しばらく厳しい状況は続くと思う。

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(レポート:国沢 光宏

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