【スズキ スプラッシュ 試乗記】スズキの世界戦略モデル第3弾がハンガリーからやってきた! [CORISM]

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【スズキ】2008/12/03

世界に通用するコンパクトカーとして開発されたハンガリー生まれの小型車

スズキ スプラッシュ エンブレム
 スズキのクルマ作りは04年11月に発売したスイフトで大きな革新を遂げた。それまでの軽自動車を中心にしたとにかく低コストのクルマ作りから、世界に通用するしっかりしたクルマ作りへと変化を遂げたからだ。
 その後、スズキはスイフトをベースにしたSX4を投入するなど、新しい基準に基づいてクルマ作りを続けているが、今回投入されたスプラッシュもそのひとつだ。
 これは主にヨーロッパ市場向けに開発されたモデルで、スイフトの基本プラットホームをベースにしたハイトワゴン。ヨーロッパでは従来から、オペルにアギーラの名前でワゴンRソリオをOEM供給していたが、その後継モデルともなるクルマ。ハンガリーのマジャールスズキで生産されるクルマを日本に“逆輸入”するもの。スズキとしては初めての逆輸入車となる。

独特の存在感を放つ個性的なエクステリア

スズキ スプラッシュ リヤコンビランプ

縦長の大きなリヤコンビランプはダイナミックな印象を与えてくれる。位置も高めなので、視認性も抜群だ。

 スプラッシュとは水が跳ね、飛び散ることを意味する言葉で、スプラッシュと暮らす毎日がみずみずしく新鮮であるようにとの意味を込めた車名とのこと。
 外観デザインはたくさんのコンパクトカーが販売されるヨーロッパ市場で独特の存在感を発揮できるよう、デザイナーなどがヨーロッパに駐在して開発が進められたという。シンプルでクリーンなFF2BOXのハイトワゴンとして、それなりに特徴的なクルマに仕上げられている。特にダイナミックなコンビランプを採用したリヤビューが印象的だと評価していい。
スズキ スプラッシュ フロント

強力なライバルがひしめく欧州のコンパクトカー市場で個性的な存在感を発揮できるよう、デザインはヨーロッパ主導で進められたという。

スズキ スプラッシュ リヤ

どっしりした安定感を感じさせる前後フェンダーの張り出しや、Cピラー周辺のデザイン処理などが非常に個性的だ。

スズキ スプラッシュ フロントマスク

シンプルなデザインながら、丸みのある立体的な造形のフロントマスクは個性的。大きめのヘッドランプも存在感十分だ。

スズキ スプラッシュ インテリア

欧州生まれらしい硬めのシートを採用する

スズキ スプラッシュ インテリア

シンプルな雰囲気が印象的なインテリア。コンパクトカーらしく収納スペースも豊富で、実用性はとても高い。

 スプラッシュはハイトワゴンらしくシート高がやや高めに設定されている(ヒップポイントは620mm)ので、自然な姿勢で乗り降りできる。乗り込むと頭上には大きな空間が広がっているから、小さめのボディながら室内空間に窮屈さは感じない。後席に乗っても頭上空間はもちろん足元にも余裕がある。
 乗り込んだ瞬間に感じるのはシートの硬さだ。ヨーロッパ向けに開発された硬めのシートをそのまま採用しているので、国産車に乗り慣れた人が代替すると、かなり硬めの印象を受けると思う。このクルマが、ワゴンRを卒業して軽自動車から小型車に移行する女性ユーザーをターゲットにしているとしたら、このシートの硬さはどんなものかと思う。

シンプルで好感の持てるインテリアは安全装備も充実!

スズキ スプラッシュ メーター

シンプルなデザインのメーターはとても見やすい。燃費や外気温を表示できるインフォメーションディスプレーも装備する。

 インテリアの雰囲気もコンパクトカーらしいシンプルな仕上がりだと評価していい。インパネ回りは楕円をモチーフにしたデザインが採用され、インパネ全体、エアコンのアウトレット、インナーミラーなどに楕円形が採用されている。
 メーターパネルは大型の単眼タイプで、スピードメーターは装備されるがタコメーターの設定はない。欲しい人はディーラーオプションで装着することになる。
 ヨーロッパ車らしく後席の中央にも3点式のシートベルトが装備されているし、ヘッドレストも用意されている。またSRSサイド&カーテンエアバッグも標準なので、日本製のクルマよりも進んだ仕様となる。ただ、横滑り防止装置の ESPは設定されていない。
スズキ スプラッシュ フロントシート

シートはスイフトなども含めた他のコンパクトカーと比べると、かなり硬めのものを装着している。だが長時間乗っても疲れにくい、ヨーロッパ車に良くあるタイプの座り心地だ。

スズキ スプラッシュ リヤシート

コンパクトカーには珍しく後席中央には3点式シートベルト(写真は収納した状態)と、ヘッドレストが標準装備されている。あまり目立たない部分ではあるが、歓迎できるポイントだ。スペースは頭上、足元ともに十分あるので、安全かつ快適に移動できる。

スズキ スプラッシュ シフトレバー

ミッションはCVTを採用し、燃費にも配慮している。エンジンとのマッチングも良く、滑らかで力強い走りが楽しめる。

低速域から力強いトルクを生み出すエンジンは燃費も良好高評価

スズキ スプラッシュ 排出ガス基準&燃費基準ステッカー
 搭載エンジンは直列4気筒1.2リッターの自然吸気DOHCエンジン+CVTという組み合わせ。すでにスイフトでも07年5月のマイナーチェンジから採用されているもので、パワー&トルクの数値には微妙な違いがあるものの、基本的に共通と思っていい。
 動力性能は 88ps(65kW)/11.9kg-m(117N・m)の実力で、スイフトよりはちょっと重くなるものの、1050kgという軽いボディに対しては十分な性能といった印象。走り出した瞬間からトルク感を感じさせる低速重視のチューニングが施されているので、性能以上の力強さを感じさせる。CVTの滑らかさも上々のレベル評価だ。
 エンジンが☆☆☆☆の低排出ガス仕様で燃費も基準値+15%なので、グリーン税制の適用が受けられる。10・15モード燃費で18.6km/Lはコンパクトカーとしてはまずまずの数値だ。

スズキ スプラッシュ 1.2リッターエンジン

スイフトにも搭載されている1.2リッターエンジン。セッティングは若干異なり低速重視のチューニングが施され、カタログの数値以上に力強い走りを披露してくれる。

ヨーロッパ仕様そのままの硬めの足まわり

スズキ スプラッシュ フロントマスク
 エンジンやトランスミッションには不満を感じなかったものの、走り出した瞬間から感じたのは足回りの硬さ。シートと同様にヨーロッパ仕様をそのまま持ち込んだとのことで、スプラッシュの性格がはっきりして良いのだが、これまたシートを上回るくらいの相当に硬い味付けだ。
 個人的にはこうした硬めの味付けが好みだが、日本の多くのユーザーはもっと柔らかめの味付けを好むのが普通だから、このままで幅広いユーザーに受け入れられようと思うのはちょっと無理があると思う。それくらい硬い印象なのだ。日本ではかつて、日産のプリメーラが極めて硬い足回りで人気を集めた例があるが、スプラッシュの想定ユーザーを考えるとそうはいかないだろう。
 室内の騒音などはまあコンパクトカーの平均レベルだが、路面の荒れたところではロードノイズの進入が大きめ。エンジン音はあまり気にならないが、ロードノイズは気になった。
 また5.2mの最小回転半径はちょっと大きめだ。スイフトでは165タイヤを選ぶと4.7mの仕様も選択できるが、スプラッシュでは全車とも185タイヤを履いているため5.2m以外は選べない。小さなクルマの割には意外に小回りが効かないといった感じを受ける。
新しくクルマが欲しい!!でもその前に・・・
スズキ スプラッシュ 15インチタイヤ&ホイール

15インチのタイヤ&ホイールが標準装備。しっかり感のあるハンドリングが味わえるが、乗り心地は日本の基準では硬めな印象だ。

スズキ スプラッシュ 走り

しっかり感のあるハンドリングが特徴の硬めの乗り味だ。

スズキ スプラッシュ 走り

騒音レベルはコンパクトカーの平均レベルだがロードノイズはやや大きめだ。エンジン音が気にならないだけに少し残念なポイントといえる。

●お勧めグレード

 スプラッシュは単一グレードのモデルで価格は123万9000円。ヨーロッパのメーカーが輸入しているコンパクトカーに比べると格段に安い価格が設定されている。なので、500台の月間販売目標台数を超えて売れると思うが、ヨーロピアン感覚のコンパクトカーがどこまで人気を集めるかは見極めにくいところがある。また各社の“逆輸入車”に大成功した例がないのも厳しいところだ。

スズキ スプラッシュ 走り

代表グレード スズキ スプラッシュ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3715×1680×1590mm
車両重量[kg] 1050kg
総排気量[cc] 1242cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 88ps(65kw)/5600rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 11.9kg-m(117N・ m)/4400rpm
ミッション CVT
10・15モード燃焼[km/l] 18.6km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 123.9万円
発売日 2008/10/21
レポート 松下宏
写真 宮越孝政

(レポート:松下 宏

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