マツダ アクセラ新車情報・購入ガイド 大幅改良された新型アクセラが、国内販売不調のマツダを救う!? 1.5Lクリーンディーゼルエンジンに歩行者検知式の自動ブレーキが追加され商品力を大幅向上! [CORISM]

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【マツダ】2016/07/25

ガソリン、ハイブリッド、ディーゼルと多彩なエンジンラインアップを誇るものの販売不振。その理由は?

マツダ アクセラ
 マツダ はCセグメントに属するアクセラに、大幅改良を施し発売を開始した。

 マツダ アクセラ は、2013年にフルモデルチェンジし3代目となった。アクセラは、5ドアハッチバック のスポーツとアクセラ セダン の2タイプのボディをもつ。

 改良前のハッチバックのアクセラスポーツには、1.5Lと2.0Lのガソリン、2.2Lクリーンディーゼル という3つのパワーユニットを用意。アクセラセダンには、1.5Lガソリンと2.2Lクリーンディーゼル、そしてトヨタからの技術供与を受け、マツダのスカイアクティブと組み合わされた2.0Lハイブリッド という3つのパワーユニットが用意されていた。国産では同一車種で、ガソリンとディーゼル、ハイブリッドと3つのパワーユニットをラインアップさせているのはアクセラだけだ。

 アクセラの中で、特徴的なのが2.2Lのクリーンディーゼル車だ。22XDと呼ばれるグレード。このモデル、スペック上はアテンザCX-5 と同じなのだが、かなりパフォーマンス重視のセッティングになっている。実際に走行すると、同じディーゼルエンジンを搭載したモデルより、かなり元気がいい。そのため、ひとクラス上のボディサイズで車重も重いアテンザより、燃費が若干悪いのだ。なかなかエキサイティングな走りが楽しめるモデルに仕上がっている。

 そんなアクセラだが、販売面では少々微妙な状態になっている。発売直後の2014年こそ新車販売台数ランキングで30位以内を毎月キープしていたものの、徐々に圏外へ。現在では、稀に30以内圏内に入る程度の販売台数になっていて、2,000台/月売るのも厳しい状況が続いていた。

 アクセラの属するクラスはCセグメントと呼ばれていて、グローバルでは非常に需要の多いクラス。ただし、日本ではそれほど人気が無いカテゴリー。フォルクスワーゲン ゴルフメルセデス・ベンツAクラス などの輸入車の人気が高い。

 ただ、そうは言っても、同じカテゴリーに属するスバル インプレッサ は好調だ。新車販売台数ランキング30以内に入れないアクセラに対して、2016年1~6月の販売台数でインプレッサは19位にランキング。約2.1万台を売った。インプレッサは2011年に登場しモデル末期。2016年秋にフルモデルチェンジを予定している。モデル末期で、エンジンのラインアップが少ないインプレッサにアテンザが負けている状態だ。

 その理由は複雑だが、まずアクセラの価格が高い上に、値引きをしないという営業面がある。さらに、歩行者検知式の自動ブレーキが無く、インプレッサにはアイサイトがあるというプロダクト面も加わる。2.2Lのクリーンディーゼル車は、高価過ぎで一部のファン向きのグレードになっている。こうした要因が複雑に絡み合い、アクセラの販売台数が伸びない状況だ。

マツダ アクセラ
マツダ アクセラ
マツダ アクセラ

マツダ アクセラ

待望の歩行者検知式自動ブレーキが装備され、ライバルのインプレッサと互角の安全性能を得た!

マツダ アクセラ
 こうしたアクセラに足りなかった部分を補うことも新型アクセラの大幅改良のひとつのようだ。相変わらず価格は高価なままだが、エンジンラインアップが整理された。

 まず、2.0Lガソリン車が廃止。その代りにCX-3 に搭載されている1.5Lクリーンディーゼルエンジン が搭載された。この1.5Lクリーンディーゼルエンジンには、「ナチュラル・サウンド・スムーザー」、「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」が採用され、ノック音自体を抑制し心地よいエンジンサウンドを追求している。

 さらに、「人馬一体」感を更に高める「DE精密過給制御」も採用。アクセル操作に対するクルマの反応がやや遅れてしまっていた軽負荷領域においても、ドライバーの意思に沿った一体感のある走りを実現した。こうした技術はデミオやCX-3にも採用されている。

 Cセグメント車は、実用車としての側面をもつことから、ランニングコストが下がる実用的なクリーンディーゼルエンジンの搭載は重要な要素。車両価格は高いが、1.5Lクリーンディーゼルエンジンを搭載した15XDグレードの売れ行きにも注目したい。

 そして、安全面でも大きく進化した。従来のアクセラには、歩行者検知式の自動ブレーキが無かったが、今回の大幅改良で歩行者検知式の自動ブレーキである「アドバンスト スマート・シティ・ブレーキ・サポート」が、一部グレードを除き標準装備化されている。全車標準装備化されていないのは、少々物足りないものの、アクセラはサイド&カーテンエアバッグが全車標準装備。全体的に高い安全装備を誇っている。こうした優れた安全装備の充実さも高価な価格設定になる理由のひとつでもある。

 今回、新たに装備された「アドバンスト スマート・シティ・ブレーキ・サポート」は、従来の近赤外線レーザーセンサーだった検知デバイスをフォワード・センシング・カメラに変更。検知対象を車両のみから、歩行者まで拡大。作動速度域を約4~30km/hから、車両検知で約4~80km/h、歩行者検知で10~80km/hまで拡大している。歩行者接触による死亡事故は、30㎞/hを超えると致死率が大幅にアップすることから、80㎞/hまで歩行者に対応可能なので、新設定された自動ブレーキは非常に効果の高い装備といえるだろう。

マツダ アクセラ
マツダ アクセラ
マツダ アクセラ

車両挙動をコントロールするG-ベクタリングコントロールは、おせっかいな機能なのか?

マツダ アクセラG-ベクタリングコントロール
 そして、人馬一体の走りにこだわるマツダが独自の技術である「SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS」の第一弾「G-Vectoring Control(G-ベクタリング コントロール)」をアクセラに初採用した。このG-ベクタリングコントロールは、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを緻密に変化させることで、横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールする機能をもつ。また、タイヤの接地荷重を最適化して人間の身体感覚に合った自然で滑らかな車両挙動を実現する制御技術だ。

 G-ベクタリングコントロールは、日常域から緊急回避シーンまで一貫した制御効果を付加し、あらゆるドライバーへ運転の安心感を提供する。特に降雪、降雨時などの滑りやすい路面でより高い効果を発揮し、操縦安定性を向上。乗員にかかる加速度の変化をより滑らかにつなぐことで、体の揺れが減り、乗り心地も改善する。

 ただ、考え方次第なのだが、こうした運転テクニックに関連する技術は、ある意味、ドライバーのテクニックが必要なくなる。クルマを上手に操るために、クルマ好きドライバーは何度は繰り返し練習し会得する。そして、さらに上手くなるための練習を繰り返す。しかし、なんでも電子技術で制御をかけて、誰でもこうしたテクニックが使えるようになると、ますますクルマがオートマチック化する。雑なステアリングワークやアクセル&ブレーキ操作でOKということになれば、人馬一体どころか、人がクルマを操るというより、クルマに乗せられているということになる。運転好きにとっては、おせっかいな制御にも思えてくる。逆に、クルマに興味の無いドライバーにとっては、勝手に運転スキルが向上することになるので、非常に便利な機能。こうなると、こうした機能の有無の評価は難しい。

 外観デザインも若干変更された。クルマとしての骨格を重視し、水平基調の造形で左右への広がり感と前後方向の軸の強さを追求。ワイド&ローなスタンスを際立たせた。「機械の持つ精緻な美しさの追求」をテーマに、力強い陰影のコントラストと表面の緻密さを高次元で両立することで、リアルな金属質感を実現した新色「マシーングレープレミアムメタリック」を採用。他、新色の「エターナルブルーマイカ」と「ソニックシルバーメタリック」や、デザインテーマ「魂動」のイメージカラー「ソウルレッドプレミアムメタリック」など、全9色を設定。

 インテリアは、ひとつひとつ細かな質感アップを積み重ね、スポーティでありながら落ち着きと品格を表現。インストルメントパネルの中央から左右への広がり、ダッシュボードからドアトリムへのつながりを強め、左右方向のワイド感と前後方向のスピード感を際立たせる造りこみに注力した。
 
 2.2Lクリーンディーゼルエンジン搭載車には、電動パーキングブレーキ(EPB)を採用。上質ですっきりとしたコンソールデザインとしている。

マツダ アクセラG-ベクタリングコントロール
マツダ アクセラG-ベクタリングコントロール
マツダ アクセラG-ベクタリングコントロール

やや高価な分、安全装備などが充実した15XD PROACTIVEがおすすめ! もはや、ライバルは輸入車か?

マツダ アクセラ
  大幅改良を受けたマツダ アクセラ。注目はやはり、1.5Lクリーンディーゼルエンジンを搭載した15XDだ。中間グレードのアクセラ15XD PROACTIVEの価格は2,430,000円。価格的には安く見えないが、歩行者検知式の自動ブレーキに加え、後側方の車両を検知し警報を発するブラインドスポットモニタリングなどの高い安全装備とアダプティブLEDヘッドライト、最小の視線移動で情報確認ができる「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」なども装備されているので、非常に充実した装備が標準装備されているので、納得できる価格ともいえる。アクセラ15XDの燃費は、21.6㎞/Lと良好だ。

 エントリグレードの15XDと比べると、価格アップは約13万円。この金額アップで上記の安全装備などがプラスされるのであれば、買い得感もありお勧めはやはり15XD PROACTIVEとなる。輸入車であるフォルクスワーゲン ゴルフの中間グレード「コンフォートライン」の価格は、約281万円。装備関係は若干違うものの価格差は38万円。ディーゼルエンジンを搭載したモデルであるということも含めると、対輸入車という点から見れば、かなり買い得感がある。

 全般的にアクセラは、ボリュームゾーンのCセグメントに属しているものの、価格という点で国産車のライバルと販売台数を争うというモデルというよりは、輸入車Cセグメントをターゲットにしたプレミアムゾーンへ移行した感がより強くなった。

 ただ、単純に販売台数を売るクルマではないというのも理解できるが、製造業である以上、一定の販売台数を確保しなくてはメーカー側の利益確保も難しくなる。マツダは、2016年1~6月の半期販売台数が前年比76.1%と大きく落としている。確かにクルマは非常に魅力的だ。しかし「好きな人だけ買ってくれ」というビジネスがいつまで続けられるのか、マツダの営業力とブランド力が今後問われるだろう。

マツダ アクセラ
マツダ アクセラ
マツダ アクセラ

マツダ アクセラ価格

マツダ アクセラ
■マツダ アクセラスポーツ価格
・15C 2WD 6MT/6AT 1,760,400円 AWD 6AT 1,981,800円
・15S 2WD 6MT/6AT 1,922,400円 AWD 6AT 2,143,800円
・15S PROACTIVE 2WD 6MT/6AT 2,138,400円 AWD 6AT 2,359,800円
・15XD 2WD 6AT 2,303,640円
・15XD PROACTIVE 2WD 6AT 2,430,000円
・15XD L Package 2WD 6AT 2,689,200円
・22XD PROACTIVE 2WD 6AT 2,781,000円 AWD 6AT 3,002,400円
・22XD L Package 2WD 6MT/6AT 3,088,800円 AWD 6AT 3,310,200円

■マツダ アクセラセダン価格
・15C 2WD 6MT/6AT 1,760,400円 AWD 1,981,800円
・15S 2WD 6MT/6AT 1,922,400円 AWD 6AT 2,143,800円
・15S PROACTIVE 2WD 6MT/6AT 2,138,400円 AWD 6AT 2,359,800円
・22XD PROACTIVE 2WD 6AT 2,781,000円 AWD 6AT 3,002,400円
・22XD L Package 2WD 6AT 3,088,800円 AWD 6AT 3,310,200円

■マツダ アクセラハイブリッド価格
・HYBRID-C 2WD 2,473,200円
・HYBRID-S 2WD PROACTIVE 2,651,400円
・HYBRID-S 2WD L Package 2,879,000円

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(レポート:CORISM編集部

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