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日産に大きく出遅れ! 世界の大トヨタがEV(電気自動車)開発に積極的ではないワケ[国沢光宏 コラム]

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【ビジネス・経済】2010/11/23
2012年に少量台数が市販化される予定のトヨタ 小型電気自動車(EV)[画像はiQをベースにしたプロトタイプ車両]

■ハイブリッド技術があるからトヨタはEV(電気自動車)には積極的ではない?・・・しかしiQのEVに乗って驚いた!

トヨタ 小型電気自動車(EV) 充電口
 トヨタは電気自動車に対し積極的ではない。おそらくハイブリッドという素晴らしい技術を持っているからだろう。日産が持てる力の全てを電気自動車に投入しているのと対照的である。本来なら電気自動車など作りたくないという姿勢ながら、そうもいかない。カルフォルニア州の規制をクリアしなければならないからだ。
 トヨタもホンダも2012年に年間1200台程度の電気自動車をカルフォルニア州で販売する必要があります。だからこそトヨタもホンダもイヤイヤ電気自動車を開発し、今回のLAショーで発表した。しかし最近の流れを見ていると、トヨタも「電気自動車にもっと注力しなければアカンか?」と考え始めたように思う。だからこそテスラモータースに資本参加したのだろう。ここまで読んで「トヨタなら簡単に電気自動車なんか作れるでしょ?」と思うかもしれない。確かに量産しないとコストが下がらないインバータやモーターなど、すでにトヨタは持っている。iQの電気自動車のインバータ、プリウス用だ。

 試乗してさらに驚く。車体や制御技術は世界一と言ってよかろう。プリウスと同じ協調制御ブレーキ(回生と油圧のコントロールを電子制御する)を使っているため、効率の良い回生が可能。プリウスで燃費を稼ぐために得たノウハウ(アクセルオフで電車のような滑走状態になる)もキッチリ入ってます。日産ですら、アクセル戻すとエンジンブレーキ程度の回生を行う、というムダな制御をしているのに。また、車体を徹底的に軽量化。どうやら1050kgしかないらしい。これにより40kWのモーターでもビックリするくらい元気良く加速する。試乗したiQ、年内発売でも不思議じゃない仕上がり。

■トヨタが陥ったEV開発の落とし穴とは

トヨタ 小型電気自動車(EV)[プロトタイプ]
 ではどこがダメか? 二つある。まず電池。パナソニックと共同開発した電池(性能良いが危険性高いニッケル正極タイプ)は大失敗作。しかもスバルが持っていたNECの電池(今は日産)を手放させてしまうという2重の失点となった。スバルに持たせておけば、どんなに有利だったことだろう。
 あわてて買収したサンヨーも、どうやらトヨタの意のままにならない模様。加えてコスト的に高いようだ。だからこそiQの電気自動車は高価なバッテリーをなるべく少なくする、ということを最大の開発テーマにしている。バッテリーに関していえば、完全に2周遅れになってしまった。
 もう一つはニーズ。トヨタによれば「電気自動車は近距離のコミューターである」。耳への聞こえはよい。でも走行距離の少ないコミューターだと安い電気代を活かせません。走行距離が10万kmになれば、ガソリンより車両価格50~70万円高くても、安い電気を使うことでペイ可能。
 けれど近距離しか使わないコミューターなら、安価なガソリン車の方がコストパフォーマンス高い。誰も電気自動車なんか買わないです。必要とされる電気自動車は、ムーブやタントのような広い室内を持つヴィッツ級(価格は150~200万円)。トヨタの電気自動車戦略は練り直しが必要だと思う。
トヨタ 小型電気自動車(EV) システム概念図

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(レポート:国沢 光宏

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