中古車が品不足の今、下取り車処分の大チャンス?【損しない新車購入術】松下 宏コラム [CORISM]

はてなブックマークに追加 Googleブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録
【ビジネス・経済】2011/10/22

新車が売れないと、中古車も売れない?

 東日本大震災の影響を受けて新車の売れ行きが伸び悩む中で、中古車の売れ行きも伸び悩んでいます。毎月の販売台数と見なされる登録台数(自販連調べ)を見ると、5月にわずか0.3%の伸びを示したほかは、毎月マイナス成長を続けています。

 月によって多少のばらつきはあるものの、中古車販売台数は過去10年にわたり、マイナス成長を続けていますので、中古車の売れ行き不振はある程度構造的なものともいえますが、今年に限っていえば、東日本大震災の影響で新車の売れ行きが落ち込んだため、新車の販売に伴って発生する中古車が減少し、流通量の少なさから販売が伸び悩んでいるといった図式になります。

なぜ、買取専門店が高くて、ディーラー下取りが安い傾向になるのか? クルマ売却の謎とは?

 中古車販売店が品不足に悩む中で、東日本大震災の被災地では復興が進むに連れて中古車需要が盛り上がるといった局面も見せています。

 中古車が品不足状態にあるため、今は中古車を手放すのに比較的有利なタイミングになっています。販売する商品を確保するため、仕入れ価格が少々高くなっても積極的に買い取る動きが出ているからです。

 新車購入時にそれまで乗っていた自分の愛車を手放すとき、新車ディーラーの下取り査定だけでなく、中古車販売店や買い取り専門店などの買い取り価格と比較検討するのはもはや常識になっていると思います。

 今ではトヨタのTアップのように、新車ディーラーも買い取りに力を入れるような状況さえ生まれてきています。

 一般に新車ディーラーの下取り査定より、中古車販売店などの買い取り価格が高い理由のひとつにタイムラグがあります。

 新車ディーラーが下取り車の査定をするときに考えるのは、そのクルマを中古車として売る3カ月くらい先のことです。下取り車が入庫するのは新車を納車するときで、その後で商品としての仕上げをして店頭に並べ、実際にユーザーに売れるタイミングとなると、査定の時点から3カ月くらい先になります。

 中古車は時間の経過によって値落ちが進みますから、3カ月先のことを考えたら、現在の相場よりも安めの査定価格を提示せざるを得ません。

複数の店で「比べて売る」のが高く手放すコツ

 これに対して中古車販売店の買い取りは、その場でクルマを引き取って現金と引き換えたり、遅くても数日後には現金を振り込む形で処理しますから、勝負が即決の形になります。これが高く買える理由のひとつです。

 また、新車ディーラーでは中古車としての商品性がないクルマでも新車の下取り車として引き取らなければなりませんが、中古車販売店などで売れるクルマしか買い取りません。どちらにしても解体回しになるようなクルマだと、中古車販売店では「ウチ、そのクルマ、扱ってないんだよね」などと、体よく買い取りを断られることもあります。売れるクルマだけを買い取るから、それなりに高い価格が提示できるのです。

 なので、中古車販売店や買い取り店なら無条件で高く売れるワケではありませんが、必要なのは新車ディーラーや販売店、買い取り店など、複数の店で査定を受け、比べて選ぶことが大切です。

 買い取り店などでは、来た客は返さないといった感じのしつこい営業をする例もあるから簡単ではありませんが、実際に店頭まで行かなくてもインターネットで複数の店から同時に価格の提示を受けることもできます。

 中古車は、買うときにも比べて選ぶことが大切ですが、売るときにも比べて売るという姿勢を忘れないようにしたいものです。

【関連記事】

(レポート:松下 宏

【オススメ記事】