トヨタ ミライ(MIRAI)長期評価レポートVol.7 ミライの価値は、単に水素で走るクルマだけではない! [CORISM]

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2015/06/25

ミライは、完全に炭素フリーのクルマではないが・・・、

トヨタ ミライ(MIRAI)
 トヨタ ミライ は、究極の環境性能車と言われている。水素と酸素を反応させて電気を取り出し、そのときに発生するのが水だけなので、CO2の排出量がゼロで大気を汚染することの無いクリーンなクルマだ。

 だが、現状では、燃料となる水素は天然ガスなどの炭化水素から炭素を取り除いて水素を取り出す方式を採用している。そのため、燃料電池車のミライも完全に炭素フリーの自動車ではない。走らせるときに発生しないだけのことである。

 ただ、ガソリン車やディーゼル車 のように、1台1台のクルマが発生するC02を処理するのは難しい。ところが、炭化水素から水素を取り出すような形で1ヶ所で発生するC02なら、それを処理するのも容易になる。そう考えると、やはり燃料電池車は環境負荷の少ないクルマと考えていい。

トヨタ ミライ(MIRAI)
トヨタ ミライ(MIRAI)
トヨタ ミライ(MIRAI)

トヨタ ミライ(MIRAI)

電気を水素にして貯蓄する。環境で左右される再生可能エネルギーを効率よく使うことができる!

トヨタ ミライ(MIRAI)

ミライ走行概念図

 現在は、燃料電池車の走る台数が少なく、水素がまともな商品として成立していない段階。今のところ、水素の生産方法も限られているが、今後はいろいろな形で水素が生産されていくものと見られる。

 例えば、現在は水素を捨てている精油所や製鉄所などのいろいろな工場で、生産の過程で副次的に発生する水素も、回収して商業ルートに乗せることが考えられていくだろう。

 それ以上に、太陽光や風力など再生可能エネルギーを使って水素を作る方法がいろいろと考えられていくはずだ。

 自然エネルギーでの発電は、環境や場所に大きく左右される。今の技術では電気を蓄えることは難しく、効率の良い供給ができない状態だ。しかし、発電した電気を水素に換えることで蓄えることが容易になれば、必要な時や場所を自由に選択して使える。水素を媒介にすることで、総合的なエネルギー効率が大きく高まるという期待もある。

 CO2が地球温暖化につながるという前提に立つなら、炭素社会から水素社会への流れはかなりの時間がかかるにしても、歴史的な必然ともいえるものだ。

トヨタ ミライ(MIRAI)

ミライFCスタック。この中で、水素と酸素が反応させ電気を取り出す。体積出力密度は3.1 kW/Lと世界トップレベルの性能をもつ

トヨタ ミライ(MIRAI)

上部にあるのがパワーコントロールユニット。その下に駆動用モーターがある

トヨタ ミライ(MIRAI)

FCスタックや高圧水素タンクなどのパワーユニットを床下に配置。低重心化に寄与し、操縦安定性を高めている

日本は、ミライによってクリーンな水素社会への第一歩を踏み出した!

資源エネルギー庁燃料電池推進室 水素社会の実現に向けた取組について  

【出典】資源エネルギー庁燃料電池推進室 水素社会の実現に向けた取組について     http://www.meti.go.jp/committee/kenk...

 政府の施策なども将来的な水素社会の展望を明確にしたものであり、いろいろな動きが水素社会の実現へと向かっている。

 化石燃料を中心にした資源がほとんど採れない日本では、水素社会へ向かうことはエネルギーの政策からも大きな意義がある。いろいろな水素の生産方法が考えられることで、化石燃料の消費を大きく減らすこともできるからだ。主に中東などから輸入している原油の使用量を減らすことができれば、ほぼ100%原油を輸入に依存している日本にとって、エネルギーの自給自足ができ日本全体にとって良いことになる。

 日本は2020年の東京オリンピックで、こうした水素社会への技術を世界中にアピールしたい目論みがある。資源エネルギー庁によると、日本の燃料電池分野の特許出願件数は世界一位。日本が強い競争力を持つ分野で、水素関連産業を振興させ日本の経済力をより強固なものとする考えだ。

 燃料電池車のミライは、そうした明るい未来をミライを目指したクルマでもある。単に水素で走るクルマというだけではなく、日本はミライによってクリーンな水素社会へ向けた一歩を踏み出したといえる。だからこそ、トヨタ ミライに乗ることが誇りに思える。

【FCV】HOPE~水素社会と、これからのエネルギーのはなし~(動画)

トヨタ ミライ価格、航続距離、スペックなど

■トヨタ ミライ価格:7,236,000円

代表グレード トヨタ ミライ(TOYOTA MIRAI)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,890×1,815×1,535mm
ホイールベース[mm] 2,780mm
トレッド前/後[mm] 1,535/1,545mm
車両重量[kg] 1,850㎏
最小回転半径[m] 5.7m
FCスタック型式 FCA110
FCスタック最高出力[kw(ps)] 114(155)kw(ps)
高圧水素タンク容量[L](2本) 122.4L(前方60.0L/後方62.4L)
モーター最大出力[kw(ps)] 113(154)kw(ps)
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] 335(34.2)N・m(kg-m)
駆動用バッテリー ニッケル水素電池
容量[Ah] 6.5Ah
サスペンション(フロント/リヤ) ストラット式コイルスプリング/トーションビーム式コイルスプリング
最高速度(㎞/h) 175㎞/h
一充電走行距離距離[㎞] 約650㎞(JC08モード走行パターンによるトヨタ測定値)
定員[人] 4人
税込価格[円] 7,236,000円
発表日 2014年11月18日
レポート 松下 宏
写真 トヨタ/編集部

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