BMW 傘下に入ってから3代目となるミニ がデビューした。ボディは、またもひと回り大きくなった。これは先代ミニのクロスオーバー用プラットホームをベースにしているためで、サイズ面ではミニらしくなくなった感もある。

でも、ボディが大きくなったといっても、見た目は完全にミニである。“見るからにミニ”というか、“ミニにしか見えない”というか、要するにミニらしさがしっかりと継承されている。

ミニが全く違うデザインを採用したならミニではなくなってしまうから、ミニはこのようにデザインにするしかないのだろう。それでもオーム型のLEDスモールライトを採用するなど、新しい要素も取り入れている。

　変化が少なかったエクステリアに対し、インテリアは大きく変わったと言っても良い。全体的なデザインイメージは変わっていないのだが、センターメーターが廃止されてスピードメーターが運転席の正面に置かれ、以前はメーターのあったセンター部分にカーナビ用の液晶画面が配置されたからだ。

これまでミニは、欧州では純正のカーナビが装着できたのに、日本では装着することができなかった。だから、今回のミニから純正ナビを装着できるようになったのは歓迎していい。

インテリアでは、上下に動かして操作するトグルスイッチが引き続き採用されている。このあたりは、ミニらしさを継承した部分である。エンジンのスターターもインスト中央の下部に設けられたトグルスイッチによる方式になった。

　ミニの搭載エンジンは、クーパー用が直列3気筒1500ccの直噴ターボ仕様、クーパーS用が直列4気筒2000ccの直噴ターボ仕様だ。この2機種のエンジンは1気筒当たり500ccの排気量を持つ。3気筒にするか4気筒にするかによって総排気量を変えるモジュール方式が採用されている。

だったら、今後登場してくるベースモデルのミニONEには、直列2気筒1000ccエンジンが搭載されるのかといえばそうではない。ミニONE 用のエンジンは3気筒1200ccの直噴ターボ仕様だ。

クーパー用のエンジンは100kW／220N・mの実力。ターボによるトルクの太さを特徴とする。しかも、その最大トルクをわずか1250回転という低回転域で発生するので、低速域から力強く滑らかな加速が得られる。

試乗した箱根ターンバイクの上り坂では、もっとパワーが欲しいと感じるシーンがないではなかったが、まあ必要にして十分な動力性能であることは良く分かった。ターンパイクは、勾配のきつい坂が連続するから、ここで物足りなさを感じても一般道では全く問題がない。

クーパーS用のエンジンは141kW／280N・mの実力で、クーパーに比べると格段にパワフルな走りを実現する。こちらは箱根ターンパイクの急な坂道も全く苦にすることなく、ぐいぐい上っていく感じの走りを示した。

　新型ミニでは、走行モードの選択が可能で、グリーン、ミッド、スポーツの3種類が選べる。グリーンを選ぶと徹底した効率の良さが発揮され、スポーツを選ぶ相当にキビキビした走りになる。とてもメリハリの効いたモード設定なので、交通環境や走行条件などに合わせて設定を変えて走ったら良い。

スポーツにしたときの足回りは、かなり硬めの印象で、ミニのゴーカート感覚を具現化した走りになる。ミニらしさを味わいたいときに選ぶのがスポーツの走りだ。

ミニの価格は決して安くはない。クーパーのMT車が266万円から始まり、クーパーSのAT車で332万円までの設定だ。実際にミニを買うときには、いろいろなオプションを装着したくなり、100万円を超えるようなオプションを装着する人も多い。それを考えると、ちょっと高めというべきなのかも知れない。

■ミニ クーパー/クーパーS（MINI Cooper/Cooper S）価格
・ミニ クーパー　6速MT　¥2,660,000
6速AT　¥2,800,000

・ミニ クーパーS　6速MT　¥3,180,000
6速AT　¥3,320,000