初代コペンは、2002年にデビューし2012年の生産中止まで、約10年に渡り発売され続けたロングセラーモデルだ。軽自動車という小さく軽いボディに、爽快なオープンボディを組み合わせ、多くの自動車ファンを魅了した。また、軽自動車ながら電動開閉ルーフをもつなど、小さくても高級オープンカー並みの装備が施されていたのも特徴。さらに、愛嬌のある可愛らしいルックスも人気のひとつだ。

　初代コペンは、価格設定も魅力的だった。豪華な電動開閉ルーフをもちながら、200万円を切る価格だったこともあり、多くの人が気軽にオープンカーを楽しめることができた。コペンでクルマの楽しさに魅了されたオーナーも多い。

　そんなコペンの2代目は、コペン ローブとコペンXという2つのデザインをもつモデルとなった。コペン ローブは、スタイリッシュな正統派オープンスポーツといったデザイン。先代コペンの可愛らしいルックスとは大きく異なっている。この大きなデザインの変更は、賛否両論あるかもしれない。そういったことも想定しており、初代コペンを彷彿させるヘッドライトを丸目に変えた外板パーツも準備しているという。

　そして、もうひとつのコペンXは、SUV とのクロスオーバーモデルともいえる独特なテイストをもつ。ワイルドでアクディブな印象をもつユニークなオープンカーだ。このコペンXは、発売がやや遅れ2014年秋の発売予定だ。

　コペンには、こうしたクルマのキャラクターを変更することができる内外装着脱構造「DRESS-FORMATION（ドレスフォーメーション）」が採用されている。外板を13個の樹脂パーツで構成し、コペンの購入後でも自分の嗜好に合わせデザインやカラーが変更できる。取り外した外板パーツの収納スペースがある人でないと楽しめないが、コペンを所有する間に色々と外板を替えて楽しめるのはおもしろい。こうしたやり方が浸透して、中古の外板パーツが安く流通するようになれば、より積極的にドレスフォーメーションを楽しめるようになるだろう。

　搭載されるエンジンは、タント などにも搭載されているKF型直3ターボ。64ps＆92Nmを発揮。燃費は、5MTが22.2㎞/LでCVTが25.2㎞/Lとなっている。面白いのは、コペンのCVTが870㎏という車重に対してタントは960㎏。タントの燃費は26.0㎞/Lで、90㎏軽いコペンの燃費の方が悪いという結果になっている。これは、タント ローブ専用チューニングによる結果だろう。

　このパワーユニットを搭載するプラットフォームは、新骨格構造Dフレームと呼ばれる高剛性ボディだ。より安価にオープンカーを楽しめるように、コストの低いミラ・イース のプラットフォームをベースとしてチューニング。まさに、まさにダイハツの技術力というべきもので、なんと初代コペン比で上下曲げ剛性が3倍、ねじれ剛性は1.5倍を達成している。この強靭なボディがあるからこそ、重量バランスが良い訳ではないコペン ローブだが、絶妙なサスペンションセッティングなどにより、想像を超えた楽しい走りが可能となった。

　ただし、走行性能や価格などについては、高く評価できるものなのだが、少々気になる部分もある。それは、ムーヴなどで大ヒットした追突被害軽減自動ブレーキであるダイハツのスマートアシストが装備されていない。

　また、サイドエアバッグなどのオプションも用意されておらず、こういった安全装備に関しては少々物足りない状況だ。

　また、スポーツドライビングにはドライビングポジションが重要となる。新型コペンには、上下のチルトは可能だが、前後に調整できるテレスコピックステアリングが無い。これはドライビングを楽しむうえで重要なアイテム。また、女性のドライバーが多いというのであれば、尚更、シートとステアリングに調整幅が必要になる。このあたりも、今後の課題だろう。

　新型コペン ローブでは、オープンスポーツカーを楽しむための多くのチャレンジがされている。生産現場を見学し、身近で親しみのある開かれた向上をアピール。また、ラブ･ローカル by コペンと題して、コペン認定ショップ「コペンサイト」を設置。さらに、コペン認定スタッフである「コペンスタイリスト」を常駐させ、コペンの楽しみ方を提案する

　そんな新型ダイハツ コペン ローブの価格は、CVTが1,798,200円。5MT車が1,819,800円となっている。この価格も高く評価できるもので、より多くの人がオープンスポーツカーを堪能できる設定だ。

　来年には、ホンダ がミッドシップのS660 の発売を予定しているという。こういった軽自動車のオープンモデルに対して、スズキ は現在静観中。新型コペン ローブの販売台数次第では、スズキも追随する可能性もあるだけに、コペンの販売台数にも注目だ。

＜ダイハツ コペン ローブスペック＞