BMWは、基幹モデルであるBMW3シリーズ セダンに、車両価格399万円の「BMW320i SE」を合計340台限定で追加し、発売を開始した。

　BMW3シリーズは、2012年1月に日本デビュー。ガソリンエンジンだけでなく、クリーンディーゼルにハイブリッドモデルも投入し、国内で唯一3タイプのパワーユニットを用意するなど、輸入車としては幅広いラインアップを誇る。また、BMWらしく走りと低燃費を両立した3シリーズは、日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど高い評価を得たモデルだ。

　今回導入されたBMW320i SEは、BMW全ラインアップの中で最も人気の高いモデルの一つである「BMW 320i」をベースに標準装備をさらに厳選し、HDDナビゲーション･システムやUSBオーディオ・インターフェース、コンフォート･アクセスなどを装備しながら、魅力的な価格を実現したモデル。

　ベースとなる320iが450万円なので、51万円も安いことになる。これは、なかなかお買い得なモデルで、パッとみたところで大きなところでは、キセノンヘッドライトがオプションになっているくらいでナビやETC車載器などは標準装備されている。

　当然、135kW（184ps）/5,000rpm、最大トルク270Nm（27.5kgm）/1,250-4,500rpmを誇る2.0L直列4気筒BMWツインパワー・ターボや8速ATなどの変更もなく、燃費も16.6㎞/Lのままで、ハード類が大きく変更されてはいない。豪華装備はないもの、素のBMW320iを味わうには、価格的にも充分満足のいく仕様といえるだろう。

　なぜ、こういったお買い得モデルが登場するか。それは、ライバルであるメルセデス・ベンツCクラスの存在がある。メルセデス・ベンツCクラスは、大幅なマイナーチェンジ以降、安全装備の充実などもあり、モデル末期に入ってきたとはいえ販売台数はかなり好調。その好調さを支えているのが、399万円からのメルセデス・ベンツCクラスというプロモーション効果だ。このクラスのクルマを購入する所得があり、クルマに対して詳しくない層に「あのメルセデス・ベンツCクラスは400万円くらいで買えるのか」と認知させた。結果的に、399万円のCクラスでは、装備が若干貧弱なので、最終的にそれより1つ2つ上のクラスを購入することになるのだが、多くの顧客が店舗へ足を運んだという。

　そんな中、BMW3シリーズはフルモデルチェンジし、話題のクリーンディーゼルも導入した。しかし、2012年度の販売台数では、わずかにメルセデス・ベンツに届かなかった。2013年度に入っても、その傾向は強っく、AクラスBクラスとコンパクトカーで販売を伸ばすメルセデス・ベンツに微妙に追いつけないのが現状だ。

　今回の399万円の狙いは、再び3シリーズの価格訴求をし話題にすることと、340台という限定車とすることで値引きを抑制し、さらに台数の早期積み上げを狙いたい思惑があるのだろう。

　最近の輸入車は、価格を引き下げると売れる傾向にある。今まで高価だったためか、価格を下げるとお得さを感じるという顧客の心理的なものもあるだろう。そんなことを含めても、このBMW320i SEは、必要以上に豪華さを求めない顧客にとって、価値ある1台になるはずだ。また、実際に買う場合は、商談で通常の320iと同じ値引き金額にしてもらうようにしたい。限定車だから、もともと安い価格なので値引きはできない、なんていうセールスからは買ってはだめだ。価格的メリットが大きいクルマが値引きが少なく、通常の320iの値引きが大きいのなら、価格差が縮まり320i SEを買うメリットが少なくなるからだ。

■BMW 320i SE価格　
2.0リッター直列4気筒DOHC 　BMWツインパワー・ターボ・エンジン　8速AT　¥ 3,990,000

ドラインビング・パフォーマンス・コントロール（ECO PROモード付）
コンフォート･アクセス（トランク・リッド・スマート・オープナー機能付）
自動防眩ドア・ミラー/ルーム・ミラー
レイン・センサー、オートライト・システム
マルチファンクション・レザー・ステアリング・ホイール
8.8インチ・ワイド・コントロール・ディスプレイ
HDDナビゲーション･システム（VICS3メディア対応）
iDriveコントローラー（コントロール・ディスプレイ用、ダイレクト・メニュー・コントロール・ボタン付）
スピーチ・コントロール（音声入力システム）
インテグレイテッド・オーナーズ・ハンドブック
USBオーディオ・インターフェース
ハンズフリー・テレフォン・システム
ETC車載器システム（ルーム・ミラー内蔵タイプ）
ノンスモーカー・パッケージ