「こうすれば高齢者事故は減る!」高齢者ドライバー予備軍自動車評論家の回答は? その1
高齢者だから事故なのか
ここしばらく、高齢者だけが事故を起こしているわけではないのに、ニュースで報じられるのは高齢者の事故ばかりという状況が続いている。
まあ、これは日本のテレビ業者や新聞業者が良くやることである。池袋での重大事故の後、高齢者以外が事故を起こしても大して報じられないのに、高齢者が事故を起こすと大々的に報じられるため、高齢者=事故との刷り込みが入ってしまいそうだ。でも、実際に高齢者の事故が多いかというと、必ずしもそうではない。
警察庁の統計で今年1~5月の自動車乗車中の死者数を見ても、65歳~69歳は前年比20.4%の減少、70歳~74歳は同32.2%の減少、75歳~79歳は同27.1%の減少という具合だから、高齢者の事故はむしろ減っている。これは必ずしも高齢者が運転していたとは限らないのだが、高齢者の事故が多いというのは必ずしも事実ではない。
高齢者も人それぞれ?
高齢者になると、運動能力が低下するのを始め、認知能力や判断能力が若いときに比べて劣ってくるという説も根強く流されている。これも全体として正しいかどうかは疑問である。ある程度はそうした傾向があるのは確かだろうが、高齢者といってもさまざまな人がいて、認知症が始まっている人がいればそうでない人もいる。元日産自動車の社員で、“フェアレディZの生みの親”と言われた片山豊さんは生前、90代になってもポルシェを運転していた。
高齢者でも元気に運転ができる人がいれば、逆に認知症が入って信号を見ることなく運転してしまうような人もいる。それをひと括りにして高齢者=事故という考えるのはいかがなものか、と言いたい。
最近、高齢者の事故が目立ったのは、ある意味でたまたまであり、また高齢者の絶対数が比率が増えることで、高齢者が交通事故を起こす絶対的な件数が増えているだけのこと。高齢者だけの問題としてとらえると本質から外れてしまう可能性が高いことをまず認識しておきたい。
トヨタ車だから事故なのか、プリウスだから事故なのか?
池袋での母子死亡事故が旧型プリウス、市原の保育士負傷事故が現行プリウス、名古屋の衝突事故がプログレ、福岡の夫婦死亡事故がエスティマであったため、プリウス、あるいはトヨタ車に事故の原因があるのではないかという“デマ”もネット上に流されている。
中には“プリウスミサイル”などという言葉を使ってプリウスの危険性を指摘する例もあったりするが、これらはいずれも全く根拠のない話である。トヨタ車のシェアが高いから、トヨタ車に乗っている人が事故を起こす比率が高くなっているだけのことで、トヨタ車だから事故を起こすというわけではない。
電気式シフトレバーが、暴走の原因ではない
プリウスなどのハイブリッド車では、電気式のシフトレバーが採用されていて、これが暴走の原因ではないかとの主張も見受けられる。トヨタのハイブリッド車では、レバーを右に寄せて手前に引くとドライブ(D)に入って前進し、右に寄せて前方に押すとリバース(バック)に入って後退する仕組みだ。
一般的なマニュアル車では、右に寄せて手前に引くとリバース(バック)という方式が採用されていて、これと混同して、バックするつもりで前進してし暴走してしまうという指摘だ。これも全くの見当外れである。実際にプリウスを運転したことのない人が言っているとしか思えない。
私が乗っているトヨタ ミライでもプリウスと同じ電気式のシフトレバーが採用されているが、そもそもレバーを動かしただけでは“Dレンジ”にも“Rレンジ”にも入らない。レバーを操作したいならブレーキペダルを踏んでから操作しろという意味の警告が表示されるだけで、ギアが入らずにクルマは前進も後退もしやしない。電気式シフトレバーは、ブレーキをしっかり踏んで、動かない状態でないと操作できないのだ。これが“暴走”の原因になるわけがない。
ブレーキを踏んで停止した状態でなら“Dレンジ”や“Rレンジ”に入るが、このときにはブレーキを踏んでいるのでクルマは動かない。そこからゆっくりブレーキペダルを緩めていくとクルマが動き出すのだ。ハイブリッド車用の電気式シフトレバーが“暴走”の原因などというのは、このレバーを操作したことのない人の言い分と考えていい。
<レポート:松下宏>
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