【トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス 試乗記】気軽に使える3列小型ミニバン[CORISM] [CORISM]

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【トヨタ】2009/02/12

コンパクトなボディサイズと多人数乗車を両立させた新型ミニバン

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス リヤコンビランプ

縦長のリヤコンビランプは立体的な造形。ブレーキランプは大きく視認性も良好だ。

 ダイハツとトヨタの新しい姉妹車となったブーン ルミナス/パッソ セッテは、ダイハツが企画していたコンパクトなサイズの3列シート車に、トヨタも乗ってOEM供給されることなったとのこと。ダイハツとしては、ムーヴなどの軽自動車からミニバンに移行するユーザーを何とか自社ブランド車にとどめたいという考えから、コンパクトなミニバンを企画したという。
 といっても3列シートのミニバンであることを最優先させるのではなく、手頃なハッチバック車として日常的な使い勝手を重視しつつ、イザというときには7人乗りが可能な3列シート車を目指したとのことだ。
トヨタ パッソ セッテ フロント
ダイハツ ブーン ルミナス フロント
トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス リヤ

パッソ セッテ(写真左)とブーン ルミナスの違いは車名のエンブレムのみ。シンプルで好感が持てるデザインで、エアロ付き(写真左)と標準車ではバンパーやフロントグリルのデザインが大きく異なる。リヤビューは、ミニバンというよりはコンパクトカーのようなフォルム。全体的にはシンプルながら、フェンダーの造形は立体的だ。

シンプルでクリーンなエクステリアデザインが好印象!

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス ルーフスポイラー

エアロ付きのモデルはルーフスポイラーが装着される。見た目のアクセントにもなり、個性的な印象だ。

 外観デザインはワンモーションのルーフラインがシンプルでクリーンな印象を与えていると評価しよう。デザイナーとしてはスタイリッシュな外観ということになるのだろうが、デザインに飛びついて買うようなタイプのクルマではない。
 サイズは全長が4200mmを切り、全幅を1695mmと5ナンバー規格内に収めているから、かなり手頃なサイズという印象。さすがに全高は1620mmに達していて、タワーパーキングなどに入れるのは難しい。
 左右のリヤドアはセダンと同じヒンジ式を採用した。コンパクトなミニバンでは08年に登場したホンダ フリードが良く売れているが、フリードはリヤドアがスライドドアなので、ブーン ルミナス/パッソ セッテがその競合車になるかどうかはやや微妙。トヨタとしても、そのあたりを考えたためか、スライドドアのシエンタも継続して生産・販売している。
トヨタ パッソ セッテ フロントマスク
ダイハツ ブーン ルミナス フロントマスク
トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス ヘッドランプ

エアロの有無で顔つきは大きく異なる。フロントグリルの形状の違いは、まるで別のクルマのような雰囲気がある。ウインカーなども一体化された大型のヘッドランプを採用する。上級グレードにはディスチャージヘッドランプがオプション装着可能だ。

2列目まではゆったり広々したインテリア

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス インテリア

センターメーターを採用したインテリアは、広々とした雰囲気。ブラウンとアイボリーのツートーンがとても印象的だ。

 室内空間の広さはまあまあのレベル。3列目のシートにも大人が座れるくらいの空間が確保されているが、それも2列目のシートをちょうど良い位置にスライドさせてのこと。大柄な大人が2列目に座ると3列目の足元が狭くなり、子供しか座れない。その意味でまあまあのレベルだと評価したい。
 ブーン ルミナス/パッソ セッテは日常的に3列シートを使うクルマではなく、ふだんは3列目のシートを倒してラゲッジスペースとして使うのが一般的だろうが、この使い方であるなら、2列目のシートにはゆったりした広さがあるし、2列目のシートも倒せば最大で1810mmのラゲッジスペースが生まれる。
トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス サードシート

サードシートは日常的に使用するというよりは、いざというときのためのスペースと割り切るべきだろう。だが3点式シートベルトとヘッドレストはきちんと装着されている。

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス セカンドシート

セカンドシートは大きくスライドさせることができる。頭上の空間にも余裕があるので、快適なドライブが楽しめる。

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス フロントセパレートシート

フロントシートまわりは小物入れなども豊富で、使い勝手はとてもいい。グレードによりセパレートシート(写真)とベンチシート仕様をラインアップしている。

快適装備はコンパクトカーの平均レベルをクリア!

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス フロントベンチシート
 快適装備は全体にコンパクトカーのレベル。グレードによってクリーンエアフィルター付きのオートエアコンが装備されるほか、オーディオはブーン ルミナスでは標準で装備されるが、パッソ セッテでオプション設定となるなど、姉妹車間での違いも設けられている評価したい。
 それがはっきりするのが安全装備で、パッソ セッテでは主要グレードに標準となるSRSサイド&カーテンエアバッグが、ブーン ルミナスではオプション設定となる。パッソ セッテにしても、トヨタは07年のイストの発売時に、今後はSRSサイド&カーテンエアバッグを標準装備化していくと明言したというのに、今回のパッソ セッテではベースグレードのXでオプション設定になってしまった。
トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス メーター

視認性に優れるセンターメーターを採用する。燃費計も装備しているので、エコドライブにも貢献。

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス シフトレバー

ミッションは全車4速ATとなる。燃費面でも有利になるだけにCVTが欲しいところだが、カタログ燃費はそれほど悪くはない。

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス 収納スペース

大型のグローブボックスや、助手席下の収納など、小物の置き場所には困ることはない。使い勝手は非常に優れている。


トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス ラゲッジ
トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス ラゲッジ
トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス ラゲッジ

セカンド、サードシートともにアレンジは背もたれを倒すだけだが、フロアは完全にフラットになるので使い勝手は文句なし。使わないシートアレンジがたくさんあるよりは、実用的で好感が持てる。

トヨタ パッソ セッテ 走り

過不足のないパワーを生み出す1.5リッターエンジンを搭載

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス 1.5リッターエンジン

エンジンは1.5リッター直4のみ。パワーは十分あり、街中でも扱いやすい特性だ。

 搭載エンジンは直列4気筒1.5リッターの3SZ-VE型で、109ps(80kW)/14.4kg-m(141N・m)のパワー&トルクを発生する。ブーン ルミナス/パッソ セッテの車両重量は1200kg前後で比較的軽いので、1.5リッターエンジンでも特に不満のない走りを示す。ただ、不満がないのと同時に、これといってほめられる部分もないというのが実際に走らせた後の正直な感想だった。
 アクセルを踏み込めばそれなり力強い加速が得られるものの、元気の良さは平均レベルだし、回したときのエンジン音はそれなりにうるさい。電子制御4速ATの変速フィールも可もなく不可もなくといった感じである。何ともとらえどころのないクルマという感じを受けたのがブーン ルミナス/パッソ セッテの走りだった。
トヨタ パッソ セッテ 走り
ダイハツ ブーン ルミナス 走り
トヨタ パッソ セッテ 走り

ロールの少ないしっかりしたハンドリングが味わえる

トヨタ パッソ セッテ&ダイハツ ブーン ルミナス 15インチタイヤ&アルミホイール

15インチのタイヤ&アルミホイールは一部のグレードに標準またはオプションで装備される。

 そんな中で好感が持てた点を挙げるなら、ロールを抑えた安定感のある走りが実現されていたこと。ミニバンというとどうしても柔らかめの足回りが採用されがちだが、ブーン ルミナス/パッソ セッテは比較的しっかりした印象の足回りを採用していた。
 このあたりはミニバンとして使うことよりもハッチバック車としての日常的な使われ方を意識したものだろう。
トヨタ パッソ セッテ 走り
ダイハツ ブーン ルミナス 走り
トヨタ パッソ セッテ 走り

トヨタ パッソ セッテ 走り

代表グレード トヨタ パッソ セッテ G Cパッケージ(FF)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4180×1695×1620mm
車両重量[kg] 1190kg
総排気量[cc] 1495cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 109ps(80kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 14.4kg-m(141N・m)/4400rpm
ミッション 4速AT
10・15モード燃費[km/l] 15.6km/l
定員[人] 7人
税込価格[万円] 159.5万円
発売日 2008/12/25
レポート 松下宏
写真 高木博史

(レポート:松下 宏

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