プジョー308SW試乗記・評価 安定感と優れた乗り心地は、ワゴンに求められるロングツアラーの要素を凝縮

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【プジョー】2015/03/27

 

■ダウンサイジング化された308だが、SWは70mm全長を伸ばし、使い勝手を向上

プジョー308SW

プジョー308SW がフルモデルチェンジを受けた。最近のプジョー車はモデルを重ねるごとに306、307、308という形で数字が増えてきたが、今回は308のままでフルモデルチェンジされることになった。

新型プジョー308シリーズは、全体にボディが小さくなった。308SWに限っていうと、全長だけは70mm延長されているが、全幅は15mm狭く、全高は85mmも低くなっている。今回の308SWでは、これまでボディの肥大化が進んだことへの反省もあったのだろう。全長の拡大は、ステーションワゴンとしての使い勝手の追求によるものだ。

308SWは、ホイールベースは20mm延長され、後席の居住空間が拡大されるとともに、全長の延長と合わせてラゲッジスペースの容量は37L増えて610Lになった。これまで以上に、合理性が徹底されたパッケージングと言っていい。

このように、ボディの大きさが変わったのは、新しいプラットホームを採用したからだ。シトロエンのC4ピカソと共通の柔軟性に富んだ新プラットホームを採用することで、308と明確な作り分けがなされた308SWが作られている。

プジョー308SW
プジョー308SW
プジョー308SW
プジョー308SW

 

 

 

■一部グレードには、クラス初のLEDヘッドライトを装備。308SWのデザインをより引き立てている

プジョー308SW

 外観デザインは、ステーションワゴン らしい伸び伸びとしたもので、上級グレードのシエロにはルーフレールが装備されてワゴンらしさを強調する仕様となる。フロントにフルLEDのヘッドライトを採用したのは、クラス初である。ただし、308SWの試乗車はベースグレードのプレミアムだったので、これらの仕様はなかった。

308SWの運転席に座ると、小径のステアリングホイールとその上から見る形になるメーターパネルのデザインが独特の個性を表現している。これは208や2008などにも採用されていたプジョーの最新インパネデザインである。

ただ、私の体型で最適の運転姿勢を取ろうとすると、メーターの一部がステアリングホイールの陰に隠れてしまう。なので個人的にはあまり好きな仕様ではないが、プジョー の個性であるのは間違いない。

ドライバー側にやや傾けられたタッチスクリーンは、ショートカットボタンを設定して使い勝手を向上させている。インパネは全体にスイッチ類を減らしてすっきりした感じのモダンなデザインとしたのも特徴だ。

プジョー308SW
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■想像以上のパフォーマンスを発揮した直3 1.2Lターボエンジンと、期待通りの懐の深いフットワーク

プジョー308SW

 308SWに搭載されているエンジンは、直列3気筒1.2Lの直噴ターボ仕様で、これに第三世代になった電子制御6速ATが組み合わされている。直噴ターボ仕様とはいえDセグメントの、それもステーションワゴンのボディに対して1.2Lの排気量でどうかと思ったが、これが意外なくらいに良く走った。

動力性能は130ps/230N・mの実力だから、2.0L級のエンジンかそれ以上の性能である。1320kgの車両重量に負けない動力性能といっていい。上級グレードのシエロだと1360kgになるが、それも問題のない範囲だろう。

燃費性能は16.1㎞/Lと、ゴルフ の21.0㎞/Lと比べると、やや物足りない。実燃費に期待したいところだ。また、5ドアHBとSWは車重やボディサイズも異なるが、燃費は同じとなっている。

6速ATもスムーズな変速フィールを示し、とても滑らかな走りが可能。スポーツモードを選択して走れば、アクセルワークに対するレスポンスが良くなるほか、ステアリングの手応えも増して一段と軽快かつキビキビした感じの走りが楽しめる。

パワートレーン以上に好感が持てたのは、やはり足回りだった。プジョーらしい乗り心地に優れて、懐の深さを感じさせる足回りは本当にデキの良さを感じさせるものだ。箱根のワインディングロードを気持ち良く走らせることができた。ショックアブソーバーの内製にこだわるプジョーならではの乗り味で、この味付けは日本車ではどうにもまねのできない部分である。

308SWは、308に比べてホイールベースが110mmも長いので、その長さが一段と優れた乗り心地につながっている部分があると思う。コーナーでも安定感もあった。5ドアハッチバック より、上質でロングツーリングに向く印象だ。

プジョー308SW
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■装備されていないクルマよりは高く評価できるが、やや性能的に物足りない安全装備

 新型プジョー308SWには、アクティブクルーズコントロールやディスタンスアラート、エマージェンシーブレーキサポートなどの運転支援装備が採用された。ただ、これは上級グレードのシエロのみの設定で、試乗したプレミアムには設定がなかった。

しかも、クルコンが全車速対応ではなく、ブレーキサポートも停止までは制御しないなど、仕様についてはやや物足りない部分もあるのが実情である。まあ、今回が先進安全装備の最初の導入なので、取り敢えずは手堅い設定にしたのだろう。

プジョー308SWの価格はプレミアムが305万円で、シエロが345.8万円の設定だ。価格差は40万円ほどと大きいが、やはり安全装備などが充実したシエロを選ぶべきだろう。シエロには、さらにLEDヘッドライトやパノラミックガラスルーフ、ルーフレール、左右独立調整式オートエアコンなどなど装備が大きく異なっているので満足感もある。安全装備の仕様には、物足りなさがあるとはいえ、300万円を超えるクルマであることを考えれば、より安全な仕様を選ぶのが正解だ。

プジョー308SWは、大きなラゲッジスペースを持つステーションワゴンなので、アウトドアレジャーに出かけるときの足として使うなど、アクティブなカーライフを楽しみたい人向けのクルマだ。

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■プジョー308SW価格、燃費、スペックなど

■プジョー308SW価格
・プジョー308SW Premium 3,050,000円
・プジョー308SW Cielo  3,458,000円

 

代表グレード プジョー308SW Premium
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,585×1,805×1,475mm
ホイールベース[mm] 2,730mm
トレッド前/後[mm] 1,555/1,555mm
車両重量[kg] 1,320kg
総排気量[cc] 1,199cc
エンジン最高出力[kW/rpm] 96/5,500rpm
エンジン最大トルク[N・m/rpm] 230/1,750rpm
ミッション 6速AT
タイヤサイズ 205/55 R16
JC08モード燃費 16.1㎞/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 3,050,000円
レポート 松下 宏
写真 編集部

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