【ポルシェ カイエン 新車試乗評価】熟成進む最終モデルを"あえて"試す!

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【ポルシェ】2010/04/09

 

見た目は”デカイ”、でも乗ると”小さい”!

ポルシェ カイエン

 今回の試乗車は2002年にデビューして、次期モデルのデビューまでカウントダウンが始まっているポルシェカイエンである。「今さらカイエン」と思うかもしれないが、ワインと同様に欧州車は日々熟成を重ね、モデル末期が一番完成度が高いと評価。特に今回は5日間借り出し約700キロを走った。いつものチョイ乗り試乗と違って、長い距離を試乗したのでユーザーに近い視点で評価が出来たと思う。結論から言えば、私のお気に入りの車になってしまった。

試乗したカイエンは最上級モデルのカイエンターボS(550ps)ではなく、その約半分の出力の素のカイエン。半分の出力と言ってもV6 3600cc 290psもあるが、車重が2.2トンオーバーで荷が重いのも確か。このエンジンに6速AT(6速MTもあり)の組み合わせで227km/hの最高速とスタートから100km/h迄8.5秒で引っ張る。
駐車しているカイエンは”デカイ!”。しかし運転席に座ると見切りが良いので外から想像するよりは大きさを感じない。走り出すと更に2サイズダウンしたように小さく感じる。初めて運転しても自分の思う通りにクルマが動いてくれる。この大きさでも身体にフィットする。取り回しがいいので一車線しか無い狭い路地も自信を持って走れ、コンビニの狭い駐車場にも気楽に行ける。試乗車にはオプションのパークアシストが付いていたので前後の障害物迄の距離を音と表示で示してくれて、望めばバックカメラも装備出来るので駐車時の心理的なストレスは少ない。

やはりコイツはポルシェ一族

ポルシェ カイエン
 アクセル、ブレーキ、そしてハンドルは適度な重さで運転していると2トンを軽くオーバーしている事を忘れてしまう。ピッチングもロールも少なく、サスペンションは硬めであるが程よい硬さで、ストロークがしっかりあるので不快の硬さはなくポルシェに相応しい乗り心地である。またアイポイントの高さは渋滞時も先が遠くまで見通せるので精神衛生上好ましく、セダンより都内での運転は快適である。高速道路に入っても好印象は続く。軽くハンドルに手を添えるだけで車は真っ直ぐに進み、ハンドルに少し力を加えれば自分の考えているラインを簡単にトレース出来る。全ての動きが自然で想像した通りに車が勝手に追従する。一生懸命運転する必要がなく、助手席に乗っているかのように快適である。しかし退屈ではなく運転が楽しく、ポルシェ一族の共通点を持っている。
荷が重いと言ったが3000回転からの加速は、アクセルとスピードがシンクロしているかのようなスムーズでトルクに乗った気持ち良い走りを楽しめる。200キロを一気に走ったが疲れは無く、この車だったらガソリンが無くなるまで(100リッタータンク!)楽しく疲れずに運転出来そうである。シートの良さも疲れを感じない大きな要素である。剛性が高く、形状も最適で、今まで乗った車では3本の指に入るほど良いシートである。試乗車は季節柄冬季だったのでスタッドレスタイヤを装着してあり(ミシュランX-ICE)丁度、軽井沢付近の上信越道で雪に遭遇したが乾燥路のように走れて不安感が無いのが不安の程、車は安定していた。

あえて狙うべき最終モデル

ポルシェ カイエン
 所々雪が残っている峠道も走ってみた。ロールがしっかり押さえられておりSUVといえども間違い無くポルシェである。アウディQ7も走りが良いと感じたが、カイエンの方が一枚上手と評価。他のSUVに乗っている人には一度カイエンに試乗して欲しい。普通のSUVはタイヤとボディ、そしてシートが、それぞれに別個に動くように感じる。しかしカイエンはタイヤの接地面からシートまで一本のしっかりした心棒が繋がっているかのように一体感があるのだ。又4WD特有のターンインでのアンダーも無く、気持ち良く運転出来る。楽と気持ちよさが共存している車である。リヤシートも広く、広大なトランクスペースもある。室内のデザインは古さは感じるが、これはこれで良い。オプションのシートヒーターとステアリングヒーターが装備された試乗車は寒い朝でも快適であった。
結論。ターボの憧れもあるが、ポルシェ カイエンはV6 3600ccで十二分である。熟成極まる今、あえて狙うのが吉だ。また今後、ニューカイエンがデビューすると、乗り換えで程度の良いカイエンが市場に出てくるだろう。そういった高年式かつ良質な中古車を狙ってみるのも面白いだろう。
ポルシェ カイエン

(レポート:丸山 和敏

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